Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

聖なる薄っすらと靡く霧

2007-11-03 | 
ホタテ道が話題になっている。何やら映画やらベストセラー本やTV放送について、BLOG「ケルン、るんるん♪」で知った。映画に関してはBLOG「Bonjour, c'est veronique」の記事を読んでいた筈なのだが、コキールとはなっていなかったのでヤコブスヴェークとは結びつかなかった。

少なくとも、今年の六月と先週の日曜日には、この聖ヤコブに纏わる道を巡礼する二人のご婦人と行動を共にした。昨年出会ったスペインに移住して戻って来た人もその事を語っていたようであった。

六月には、道中に使うリュックザックを試しに担いだご婦人と、ライン河沿いを二日間ご一緒した。現地スペインへ飛んで本格的に目的地を目指すと語っていたが、無事サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着しただろうか。二本ストックを進めたが、巡礼に突く一本杖があるとかだった。

先週のご婦人は、ドイツ国内の道からスペインへと近づいて行く巡礼を分断して行なっている。そのリュックザックにはホタテの貝殻が付けられていて、これで水を飲めるのよと語っていた。

そのような按配で、ドイツ国内では大ブームのようである。それも女性が多いようだ。巡礼の目的は、どうも贖罪と精神の浄化にあるようで面白い。

「裸体」の参考にした古い記事に貼ってあるリンク先のベネッサ・ビークロフト女史のサイトを久しぶりに訪れ、新たにアップロードされていたVIDEOを鑑賞した。どれも思っていたよりも良質で、話題になる集団ヌードがスキャンダラスに捕らえられるのとは反対に、政治・社会的なのは当然ながら、かなり内省的なパフォーマンスのようである。ベルリンにおけるそのVIDEOをみると、まさにドイツ人向けの殆ど瞑想の精神状態を裸の演者に求めているようである。

先日のご婦人もシュヴェービッシュ訛りで話し、その話を聞いているとシュトッツガルト周辺で盛んなようなカトリックの座禅などを思い起した。巡礼グッズをみながら、ほたて貝を焼きその殻で飲む酒を空想して、日本の札所巡礼の話をした。ネットで知った野党党首が頭を丸めて白装束での巡礼パフォーマンスをしたのと、保守党政治家の似非神道イズムでの禊を比較しながら、ホタテの道での巡礼を説明したのである。

万聖節から万霊節へと連なる。蝋燭の光は、墓地で輝き続ける。バルコンの向こうに万聖節の夕暮れが広がり、山の中腹を煙のように霧がこちらへと漂い出した。煙なら匂いがするが、しない。これを見て我慢がならなくなった。LPから急いで針を下ろし、ズボンを履き替え、厚手のセーターに着替え、防寒チョッキを来て、カメラを片手に急いで外に出る。

ブラームスのアイン・ドイチェス・レクイエムが、全く異なって鳴り響くことに今日初めて気がついた。ルターの響きのドイツ語によって、チューリッヒ、バーデンバーデン、カールツルーヘと各々の土地で、上の意味からも至極ドイツ的なこの曲が創作されている。



参照:アメリカにもあった「癒しの道」(時空を超えて)

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2 コメント

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日本でもブームに? (old-dreramer)
2007-11-03 16:33:57
ご覧になったかもしれませんが、「日本経済新聞」夕刊(木曜日)に「還暦カミーノ」と題して、編集委員の土田芳樹さんのサンティアゴ巡礼記が15回連載され、11月1日に総集編が出ていました。新聞社のHPを探したのですが、ウエッブ上では読むことができませんでした。ただし、総集編に出ていた記事によると、サンティアゴ巡礼事務所の統計では2005年の巡礼者総数は約9万4千人。全体の92%がヨーロッパ諸国。アジアは約400人。韓国と日本が2分。男女比は6対4、年齢は35歳から60歳までが4割強だそうです。
ちなみに土田さんとほぼ同じ日程45日の旅をした方の費用例が掲載されていて、交通費(航空機代、傷害保険料込み約20万円)を含んで45万円とのこと。現代の贖罪費用?
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悪そうには見えないのに (pfaelzerwein)
2007-11-03 20:52:50
ヨハネ・パウロ二世やEU首脳などの巡礼者の名前が出てきます。UNESCO指定の影響とスペインの観光局の努力もあるのでしょう。簡易ホテルや巡礼宿泊施設から荷物のトランスポートサーヴィスなどもある様で、一昔前の三桁の巡礼者数の時代とは大分変わってきているようです。

上のご婦人の一人は女一人で、もう一人はご主人とぼちぼちはじめているようです。ティーンエイジの娘さんもいる後者から、「奥さん殺しが巡礼の罰で許された」と言う逸話などを聞き、一体この人はそれほど悪そうには見えないのにと思いながら聞いたものです。

45日間、45万円は大変魅力あるでしょう。年間二百人としてもツアーなどを企画出来ますね。
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