Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

啓蒙されたユダヤ人と大俗物

2009-11-01 | 文化一般
作家ゲーテと作曲家メンデルスゾーンの関係はあまり知らなかった。先日訪問したユダヤ博物館にモーリッツ・ダニエル・オッペンハイムが描いた二人のポートレートが展示してあった。オッペンハイムは、ユダヤ人でありながら教育を受けた税務官であり、その故郷で勤めたあと数少ないユダヤ人画家として成功した歴史画・ポートレートを得意とする芸術家のようである。作品の三分の一ほどが失踪していると言われる。

ヴァイマールの大文化人ゲーテを訪れたユダヤ人は少なくないようで、劇場支配人の時はユダヤ人の優秀な作家なども支援していて、その後も作曲家マイヤーベーアの兄弟ミヒャエル・ベーアのユダヤ劇を賞賛している。一方フェリックス・メンデルスゾーンの祖父モーゼスはレッシングの代表作「賢者ナータン」のモデルであり「ドイツのソクラテス」としてユダヤ人を啓蒙した大人物であり、フェリックスの両親とも付きあいをしていたというのが如何にもこの大文化人らしい。

そのような都合、若い作曲家は三度ほどヴァイマールのゲーテ邸に逗留しているらしい。作曲家のイタリア旅行の前にも滞在している。この絵画の背景に描かれているこんもりした木からすると離れ家の方かも知れない。兎に角、ロートシールト家の画家でもあったオッペンハイムによってこうして記録される事となった。

そのような訳で、ゲーテを取り囲むユダヤ人は、モーゼスの妹などを含む多くの啓蒙されたユダヤ人女性ファンだけでなかったのである。

作曲家メンデルスゾーンはフォン・ブール醸造所の顧客であったようだが、この大俗物の作家は今なら評価本を片手にネットでワインを買い漁っていたに違いない。



参照:
欧州のユダ、ユダヤの欧州 2009-10-28 | 歴史・時事
われらが神はかたき砦 2005-03-04 | 文学・思想
闇が重いヘクセン・ナハト 2005-05-01 | 暦
滑稽な独善と白けの感性 2005-03-10 | 歴史・時事
リースリングに現を抜かす 2006-01-23 | ワイン
ベッティーナ-七人の子供の母 2005-03-16 | 女

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