Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

非俗物たちのマスケラーデ

2005-02-08 | 文学・思想
マスクの種類や衣装について、エルツァッハを例に少し詳しく見よう。

先ず赤いうろこ状の羽根の付いた衣装だが、これは元々ストローや麻などを染めてぶら提げて作っていた。それが燃えやすいので皇帝ヨゼフ二世によって1781年に禁止となり、その後は生地で作ったものを下げるようになった。分厚いので結構重量感がある。

バロック風の帽子は、カタツムリの殻で飾られて両サイドに付けたぼんぼりで三角に尖っている。シャークスピアーの戯曲にもこれに似た女性の三角髪結いを見ることが出来るが、当時の流行であったらしい。

マスクの種類は、大きく分けるとここだけで七種類ほどになる。大多数のマスクに加えて、角を生やした黒い悪魔以外に、髭を生やした森の樵の面やゲルマンの熊へ、原生林への畏敬を表す面に混じり、明るい白系の色の面も混じる。そのなかで更に目立つのが白地に黒い斑点をつけた衣服のイモリの面である。その斑点が太陽と月を表すらしい。

同じようなストローの衣装を着ていることからオーストリーの一部ではクネヒト・ルップレヒトも含めてクランプスと呼び、それらは冬季と夏季の葛藤を表すようだ。そこでは十二月の聖ニコラウスの日に子供たちを震え上がらせつつ門付けをして回る。シカネーダーの演出の鳥刺しパパゲーノの衣装を思い出して頂きたい。ストローで作った藁人形を春分に燃やす風習も欧州にある。これらのフィギュアー自体が冬季の植物の精を表すとなると、全体像が更に良く見えてくる。しかしここでバロック的な二律背反する善悪の構造を設置すると理解を誤る恐れがある。

マスクについて気になる文章をネットで見つけた。有名な旅行記「イタリア旅行」に、1787年のローマのカーニヴァル体験を綴ったのがゲーテ氏である。そこで扱われるマスクは、17世紀のコメディア・デラルデで有名なキャラクターであるプルチネッラ等である。劇場のマスクが市内を制圧しているのを指摘している。ここでは、少なくとも市中の祭りより先に劇場が存在している。文豪はそれなりに祭りを体感しようと試みる。それどころか各々の自分の目で以って直に見るべきだと言い切る。この偉大なる俗物は、下級女性の肌蹴た胸や裏町の騒動に古代馬車競技に興奮して突撃取材を遂行する。(アレマン地方のカーニヴァル [ 生活・暦 ] / 2005-02-07 より続く、非俗物たちのマスケラーデ [ 文学・思想 ] / 2005-02-08 へと続く)

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