カーニヴァルシーズンで、最低気温は非常に低いとはいえ俄然春めいてきた。カソリックにおける謝肉祭もしくは断食前の夜を示すファスナハト、ファッシングまたはシュティックというアレマン地方の仮面の行進を紹介する。これもローマ都市ケルンで有名なカーニヴァルと同じくキリスト教化以前の文化に端を発する祭りである。ライン流域のローマ植民地の無礼講の伝統と最も違うのは、ここの興味深いが奇妙ななまはげの様な木彫りのマスクである。バーゼル、ロットヴァイル、エルツァハが有名で、マスクに多くの共通点がある。これらをヴェネチアのマスクと較べるまでも無く、他の多くの土地の覆面はバロック風であったりして祝祭が普及していく過程でより時代様式が取り込まれている。しかしこれら一部地域ではマスクの特異性を根拠として、キリスト教化する以前のケルト人などの祝祭に遡ることが出来る。16世紀ごろに祭りが定着した時点で、既に其々の土地の意匠に大きな差異があったようだ。
ファスナハトの時期を十一月の聖マルティンの日に始めて灰の水曜日に終えるとすると、イタリアの一月六日の東方からの「三人の王の祝日」に訪れる空飛ぶ魔女ベファーナを思い出す。何故ならばそれはイタリアのサンタクロースであり、子供へのお土産の配達人であると同時に、キリスト教以前のフィギュアであるからだ。その魔女も聖ニコラウスのお供クネヒト・ルップレヒトのように懲罰も与える。上のシュティックでは悪魔の面は1200面ほどの中に一つしか存在しないが、全体を煽り先導する。さらに、豚や翁等の特殊面の一部を除いて大多数の標準面は揃って、豚の膀胱で作ったボールを地面に叩き付けて女・子供たちを驚かせる。この要素は、ライン地方の身分ご免の祭りと大きく異なる。(非俗物たちのマスケラーデ [ 文学・思想 ] / 2005-02-08 へと続く)
ファスナハトの時期を十一月の聖マルティンの日に始めて灰の水曜日に終えるとすると、イタリアの一月六日の東方からの「三人の王の祝日」に訪れる空飛ぶ魔女ベファーナを思い出す。何故ならばそれはイタリアのサンタクロースであり、子供へのお土産の配達人であると同時に、キリスト教以前のフィギュアであるからだ。その魔女も聖ニコラウスのお供クネヒト・ルップレヒトのように懲罰も与える。上のシュティックでは悪魔の面は1200面ほどの中に一つしか存在しないが、全体を煽り先導する。さらに、豚や翁等の特殊面の一部を除いて大多数の標準面は揃って、豚の膀胱で作ったボールを地面に叩き付けて女・子供たちを驚かせる。この要素は、ライン地方の身分ご免の祭りと大きく異なる。(非俗物たちのマスケラーデ [ 文学・思想 ] / 2005-02-08 へと続く)
周りのイタリア人に文化人類学好きが多いので勉強になります。時々寄らせてくださいね
こちらからもTBさせていただきました。
こちらに赴任してきて初めてのFastnachtなので
ドイツ歴の長い友人にいろいろと教えてもらいながら見ています。
今夜はいよいよ魔女焼きです
こちらからもTBさせていただきました。
ドイツのカーニヴァルというとお菓子を投げつけるとかいったことを聞きますが、あれは一体何の意味で何を起源にしているんでしょうね。
昔からお菓子だったとも思えませんし。
まめさん、コメントありがとうございます。宜しくお願いたします。
せりかさん、コメントありがとうございます。イタリアと違って全面を隠す木のお面と云うのが面白いですね。
ydrさん、ベルギーは文化圏によって違うでしょうから凄く興味あります。今後も楽しみにしています。
syukoさん、魔女焼きに近いものはフランスやポーランドにある事は分かりましたが、ドイツは知らなかったです。
ピュシスさん、TBとコメント有難うございます。お菓子を投げるのは、ここで触れたラインのカーニヴァル系ですね。サンタに近い。ファスナハトの方は戦闘的ですから、飴でなくて鞭が飛びます。常連の「無精庵徒然草」さんにサンバの話題がありますのでそちらもどうぞ。
2424242さん、コメントありがとうございます。オランダのように自由にやれればよいのですが、難しいです。そこまで進歩的では声が纏まらない。その辺の違う感覚をじっくり読まして頂きます。
私が住んでいる街のカーニヴァルとずいぶん赴きが違いますね。そう言えば、スイスで見たカーニヴァルもかなり違ってました。
ヨーロッパ、これだけ狭い地域なのにカーニバル一つとってもいろいろと微妙に違いがあっておもしろいですね。