どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

三人のりこうな王さま

2017年04月18日 | 創作(外国)

     三人のりこうな王さま/フィオリモンド姫の首かざり/ド・モ-ガン・作 矢川澄子・訳/岩波少年文庫/1996年初版


 跡継ぎのいない王さまが、亡くなった後を、甥の三人に後を託します。
 交代でためしてほしいというものでした。

 最初に王位を継ぐことになったのはアルドヴランド。自由にできると喜んだものの朝は早くおこされ、羽根つき遊びをしていると、ゲームを中断されて、怒って王位をなげだし、農夫に頼み込んで羊の番をすることに。

 二番目に王位を継いだのはアルデベルト。
 何でも側近任せ。都の建て直しを進言されればよきに計らえ、軍隊の士気をたかめるため兵士の給料を倍にしたいと総司令官がいうと、まったくそのとおりとのおことば。
 顧問官が,先代の王さまが浪費したので国庫はほとんどからっぽで、あらゆる公共投資をストップする必要があるというと、その考えでやってくれといいます。すると当然ながら兵士の給料は増やすどころか削減が必要で、都の建て直しもできずません。
 アルデベルトも王位を投げ出し、鋳掛け屋になります。

 三番目のアルデレートは、一切を自分で取り計らう、民は従えばいいといいだし、町の様子を視察にでかけます。
 そこで出した命令は豆スープの臭いが強烈に立ち込めているので、豆スープを禁止します。するともちろん群衆が騒ぎ出します。アルデレートも王位を投げ出し、煙突掃除をすることに。

 迎えに来た宰相と顧問官のいうことを聞こうともしなかった三人でした。

 りこうな王さまというのは、王さまにならなかったことがりこうという意味でした。
 戯画化されていますが、国を治めるというのはとにかく大変なこと。
 言うことを聞かないとすぐに処刑する独裁者は、何を考えているのでしょう。三人の選択は正しいかもしれません。