どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

カナリア王子・・イタリア

2018年12月31日 | 昔話(ヨーロッパ)

       カナリア王子/イタロ・カルヴィーノ・再話 安藤美紀夫・訳/福音館文庫/2008年初版


 まま母から森の奥の城にとじこめられた王女。立派な部屋、好きなものをすきなだけ食べたり飲んだりはできるのですが、城の外に出ることは禁止されていました。

 王女の楽しみは窓からみえる光景だけ。

 ある日、森の小道を王子がとおりかかり、窓にたたずむ王女を見つけます。二人はお辞儀をしたり、手を振ったりしてあいさつ。
 そのあとも王子は、城にやってきますが、二人の間ははなれすぎていて、ことばをかわすことができないまま。

 でだしはグリムの「ラプンツェル」です。二人の距離がどうやって縮まっていったのか?

 二人を結びつけたのは、魔法使いのマスカがくれた古い本。本は「あたりまえに前からめくると人は鳥になり、うしろからくっていくと鳥は人になる」という魔法の本。

 王子がきて、本をめくると王子はカナリアに。すぐに二人は意気投合します。

 それでもまま母の女王の目はだませません。女王は一計を案じ、王女がいつも座る出窓の座布団に、何本ものピンをうずめます。

 それとはしらずにカナリアになった王子が、座布団の上にとまると、カナリアの胸にはピンが突き刺さり、きいろい羽が血で真っ赤にそまります。カナリアは、どうやらこうやら風にのって、ふらふら外に飛び出しますが、すぐに土の上のおちてしまいます。

 人間にもどった王子でしたが、おきあがることもできず、たんかにのせられて城にはこびこまれます。 医者がさじをなげた王子。王さまは王子の傷をなおした者に、どっさり宝物をやろうと、おふれをだしますが、そんな人は誰も見つかりませんでした。

 一方、王女は、敷布を細く切り開き、それをつなぎ合わせて長い長い一本の綱をつくり、高い塔の窓から、下へおります。
 真っ暗な夜に、どこから口笛がきこえてきて、四人のマスカの話から、王子を助ける方法をきいた王女は、古い医者の服とメガネを買って、王さまの館にでかけます。

 粗末な身なりでしたが、王さまは「わしのむすこが、これ以上悪くなることはないだろう」と、診察するのをゆるします。

 王女は、マスカから聞いたように王子の部屋のすぐはずれる床板をさがし、その中にあった小さな瓶の薬を王子の傷口にぬると、王子のからだはもとどおりになります。

 ここで王女は、すぐに正体をあかさず、王家の門のついた王子の盾、王子の旗、胸のところに血のついた王子の服をもらって、立ち去っていきます。

 それから三日後、王子が城をとおりかかったとき、王女が本のページをめくると王子はまたカナリアに。

 死ぬほどひどいめにあった王子は、カナリアから人間にもどると、王女をののしります。

 しかし、盾や旗、血のついた服を見せられ、ピンをさしたのは、女王のせいだと知った王子は、王女の足元にひざまづいて許しをもとめます。

 身分が違うと二人の結婚を許さなかった王さまでしたが、二人の堅い決意を知って結婚を許すと、結婚式には王女の父の王さまとまま母もやってきます。

 さてまま母の仕打ちを知った父の王さまはどんな態度をとったでしょうか?

 じつは、訳では王女がむすめと訳されています

 タイミングよく魔法使いが出てきて、二人の仲立ちをしたり、王子を治す方法を知ることができるのは昔話の世界です。

 鳥や人間にかわるのは王子だけ。城から抜け出すとき王女が鳥になるという選択肢はなかったのでしょうか。そして、昔話で、鳥といえばカラスが多いような気がしますが、カナリアというのははじめてです。


十二支のおもちつき

2018年12月30日 | 絵本(日本)


    十二支のおもちつき/すとう あさえ・作 早川 純子・絵/童心社/2016年


 おじいさん おばあさんが おなかがすいたねずみに もちごめをあげると、次の日、ねずみが仲間をよんできて、もちつきのお手伝い。

 やってきたのは十二支のめんめん。

 かけごえ楽しく ぺたぺた ぺったん ぺったん よいっしょ と もちつきしていると

 ふしぎ ふしぎ 臼が どんどん おおきくなって

 みんな おなかいっぱいのあとは かがみもちをつくります

 おおきな おおきな かがみもちは かみさまへ

 そして おじいさん おばあさんは かがみもちを 村の人にも わけてあげます。

 みんな 笑顔です

 なきごえも まとめて 聞くと なかなか面白いですよ。

 もちつき 酉が午の上で かけごえ
 おもちをたべるのも みんな しあわせそう

 個人の家では、餅つきをしている風景もなかなかみられなくなりました。
 干支は、年末年始の時期にはよく意識しますが、この時期がすぎると、忘れられがち。

 日本には、さまざまな季節の行事があります。大事にしていきたいものです。


なぞなぞな~に ふゆのまき

2018年12月30日 | 絵本(日本)


   なぞなぞな~に ふゆのまき/いまき みち:作/福音館書店/1995年


 子どもたちが大好きななぞなぞ。

 簡単すぎてもだめで、難しぎるのも困ります。

 一回答えを知ったものを繰り返して楽しめるのもなぞなぞです。

 「ふゆのまき」ですから、ほかの季節のものもありますが、この「ふゆのまき」は、六問。

 短い時間で楽しめそうです。ただ冬らしいのは、答えが かるた、こたつの二つでしょうか。

 おばあさんとこどもが交互に問題をだしますが、問題は影絵、答えは鮮やかなカラーです。

 読み聞かせに利用しようと思いましたが、タイミングが悪くて、利用しないままおわりました。


ぼうさまのき

2018年12月29日 | 絵本(昔話・日本)


   ぼうさまのき/松谷 みよ子・文 瀬川 康男・絵/フレーベル館/2002年


 表紙にはベロ出しているぼうさま?よくみると裏表紙もおなじ絵。

 ひどい嵐がおさまり、流れてくる木でも拾おうと、渡し守が船をだすと川上のから流れてくるうすぐろいものがながれてきました。よく見ると、それは死んだ座頭坊さま。
 「目が見えんために みずにながされたか。なんたら むごいことだ」と、渡し守は座頭坊さまを川のそばに埋めました。

 するとすぐに芽が出て、どんどんのびて、見上げるばかりの大木に。そして木にいいにおいの花がひらきます。
 村の衆があつまって、首がいたくなるほど、みあげているおと、ひとりの こもりっこ が「花の真ん中に座頭坊さまがすわっている」と叫びます。

 たまげたことに、そこには、太鼓たたいたもの、三味線をかかえてえいるもの、歌う姿のぼうさま。

 うわさがあっというまにひろがり、どっと見物客がおしよせ、渡し守も大忙し。

 やがて風が吹くと花が川の中へ散り、坊さまはおはやししながら、川をながれていきます。

 花の散るさまも大評判になって、またまた見物人がおしよせ、村の衆は、むしろ貸したり、団子売ったりして、銭もうかってほくほく。

 花もすっかり散ると、こんどは、赤い下駄だの、天まり、駒、竹馬、凧など こどものよろこぶばかり、ずっぱり実になって、またまたさわぎ。

 風っこふくと、こどもたちのてもとにおちてきて・・・。

 実も落ちて、ゆきっこも ちらちら ふりだして じき 正月だった。

 木の見物人、川を流れる花の場面は、まるまる3ページをつかった絵がえがかれ圧巻です。

 結びに「じき しょうがつだった」とあるので、今の時期の昔話でしょうか。火種をわけてもらうかわりに、死体を三日間あずかることにしたが、じつは、この死体が金塊だったという「大歳の火」も死人に絡む昔話ですが、これ例外のものもあるのかどうか?。

 はじめどこの昔話がもとになっているのかわかりませんでしたが、秋田県に伝わる昔話で、表紙の絵は「べらぼう凧」という指摘がありました。

 調べてみると秋田県能代市の能代凧(べらぼう凧)の絵柄は、この絵本の表紙そのものです。舌を出した絵柄は魔除けの意味もあるといいます。そしてこの凧は、頭に芭蕉の葉が描かれた男べらぼう凧、頭に牡丹が描かれた女べらぼう凧の二つがあるようです。


ゆきのかたち

2018年12月28日 | 絵本(自然)


       ゆきのかたち/監修:高橋 健司 写真:片野 隆司 ほか/ひさかたチャイルド/2007年


 以前蔵王のスキー場で樹氷をみて感激しましたが、霧つぶだけでなく、雪も木につもった”モンスター”、”雪ひも””雪まくり”なども、本文と同じページに小さな字で解説されています。
 ”雪ひも”は、ひものように垂れ下がった雪、”雪まくり”は、自然にできた”ぐるぐろだま”です。

 全部写真で構成されていますが、とくにその良さが出ているのは、14枚の雪の結晶。一粒一粒全部違う雪の結晶の造形。すべて六角形というのも不思議です。

 風や木と雪のおりなす風景は、自然の芸術です。どこでも見られないのが残念ですが・・・。

 保育園で写真をみてもらい、数えてもらいましたが、幼児から年長さんまでの混合保育のせいか、まだわかりにくいようでした。雪の上の足跡が誰かをあててもらってもよかったのですが、時間の関係で、ほとんど省略しました。

 ところで、石川県加賀市には、県出身の物理学者・中谷宇吉郎を顕彰する目的で開館した雪の科学館(1994年)がありますから、近くにいったばあいは是非よりたいもの。


保育園おはなし会 2014.10~2021.5

2018年12月27日 | お話し会

2021.5.27

 今日は一時強い雨。しかし夕方5時ごろのはじまりは、ほとんどやんでいました。昨日のスーパームーンを見たという子も。

 1 でてこい でてこい(絵本)
 2 くまさんのさんぽ
 3 ねずみのすもう(語り)
 4 雨(パネルシアター)
 5 こけっこー(手遊び)
 6 いちばんどりないた(ペープサート)

2021.2.25

 日の暮れるのがだいぶ遅くなってきました。

 1 コッケモーモー(語り)
 2 ブレーメンの音楽隊(エプロンシアター)
 3 ブラックさんとブラウンさん
 4 ふくろにいれられたおとこのこ(絵本)
 5 ひな祭り

 ひな祭りの歌と手遊びは、子どもたちから教えてもらいました。

 終わったあと、”ろうそく”はなぜつけるの?と聞かれ、とっさのことでうまくこたえられませんでした。次までの宿題です。

2020.12.24

 コロナ禍ですが、ようやく再開のクリスマス時期のおはなし会。マスクをしたままですが、子どもたちはいつも元気です。

 1 三びきのこぶた(語り)
 2 あわてんぼうのサンタクロース(パネルシアター)
 3 ぐりとぐらのおきゃくさま(大型絵本 福音館書店)
 4 しろい ゆき(しかけ絵本)

2020.2.20

 少しづつ陽がのびてきました。梅が咲き、チューリップも芽を出して、まもなく新しいスタートもはじまります。

 1 手遊び
 2 アナンシと五(語り)
 3 ひなまつり(パネルシアター)
 4 かやぶき屋根(お話の小道具)
 5 こぶとりじいさん(紙芝居)

2019.12.19

 この寒さでも子どもたちは、素足で元気いっぱい。

 1 笠地蔵(語り)
 2 おおきなかぶ(エプロンシアター)
 3 あわてんぼうのサンタクロース(パネルシアター)
 4 まどから おくりもの(絵本 偕成社)
 5 10パンダ(絵本)
 6 手遊び
 7 十のサンタクロース(人形)

 「笠地蔵」「おおきなかぶ」は二日後のクリスマス会とだぶりました。「おおきなかぶ」では、ウントコショ ドッコイショ の掛け声で盛り上がりました。「10パンダ」は、人気の絵本です。

2019.10.24

 年中さんのお泊り会で20時15分から。

 今日は雨模様でしたが、どうにかふられずにすみました。今日の天気ではどうかなと思ったのですが、園庭のドラム缶での お風呂にも入れたようです。

 1 オンドリとネズミと小さい赤いメンドリ(おはなしのろうそく12 東京子ども図書館)
 2 どんぐりころちゃん(手遊び)
 3 もこもこもこ(絵本 文教出版)
 4 もりのてぶくろ(絵本 福音館書店)
 5 おつきさまこんばんわ(絵本 福音館書店)

 こんな人気の絵本をみていませんでした。

2019.8.29

 九州の大雨もあり、雨が心配でしたが、今日は降られずにすみました。

 1 ヤギとライオン(語り)
 2 ごきげんのわわるいコックさん(紙芝居)
 3 ほっぺがおちるよ(パネルシアター)
 4 パン屋さん(手遊び)
 5 まほうのコップ(絵本)

2019.6.27 

 台風前のどんよりした空模様。帰るときには雨がふってきました。

 1 ブラックさんとブラウンさん
 2 みずたまレンズ(絵本)
 3 せんたくかあちゃん(絵本)
 4 七夕(パネルシアター)
 5 わらぶき屋根の家(お話の小道具)
 6 ぞうさんのボタン(絵本)

 密着感があって、いい雰囲気です。絵本をのぞきこみたくなるようです。

2019.4.25
 新年度はじめての夕方のおはなし会。25度をこえる天気で、園庭にはテントも。

 0 手遊び はじまるよはじまるよ
 1 くまさんのおでかけ
 2 とりのみじい(語り)
 3 パネルシアター
   チューリップ
   こいのぼり
 4 みんなのポケット(紙芝居)
 5 かあかあもうもう(絵本)
 6 不思議な部屋

 「不思議な部屋」は、三つの部屋の住人が入れ替わるマジック。自分が見ても楽しめました。

2018.12.27
 今年最後のおはなし会。今日は、もちつきもあったそうです。

1 笠地蔵(語り)
2 おもちの手あそび
3 いろいろおせわになりました(絵本)
4 きょうりゅう一匹ください(絵本)
5 パネルシアター(冬)
6 ゆきのかたち(絵本)

 この時期、「笠地蔵」はかかせません。子どもたちは紙芝居をみていて、親しみやすかったようです。

 「いろいろおせわになりました」「きょうりゅう一匹ください」は、はじめての絵本でした。「いろいろ」はわらべ歌で読む楽しいこの時期ならではの絵本。「きょうりゅう」は、子ども心をつかむようなサンタさんへのおねがいでした。三人でうかがいましたが、まだまだ知らない絵本も多いようです。





2018.10.25
 年中組お泊り保育でのおはなし会。20時頃少し寒いとかんじましたが、元気でお風呂上りでした。

 1 頭に柿の木(語り)
 2 こまったこぐま こまったこりす(絵本 白泉社)
 3 ギーギードア(語り)
 4 わごむはどこまでのびるのかしら(絵本 ほるぷ出版)

 今回ギーギードアを語りました。先輩のようにはいかなかった分、ややオーバー気味に語ってみました。
 この話は、お休み前にはピッタリ。

 山にものぼったようなので、みんなぐっすり眠ったかな! 





2018.8.30
 いつもの時間帯になると歓迎してくれました。

 1 ひなどりとねこ(語り ミャンマーの昔話)
 2 ありとすいか(大型絵本 たむらしげる ポプラ社)
 3 おばけなんてないさ(絵本 せなけいこ ポプラ社)
 4 ぼくらばったのなかまたち(写真紙芝居)
 5 つき、証城寺の狸ばやし(パネルシアター)
 6 手遊び(五つのメロンパンほか)

 大型絵本はやはり迫力があって、スイカの大きさとありの対比がうまくつたわったようです。ありの部屋をひとつひとつ確認していきました。

 おばけのうたも手遊びもみんな一緒に盛り上がりました。


2018.7.19
 この暑さ、夕方にはこどももぐったりのようでした。

 1 おでかけ
 2 ねずみのよめいり(語り)
 3 みんなでトイレ(絵本 福音館書店)
 4 けんいちとみけやのあさごはん(二人で)
 5 こぶとりじいさん(紙芝居)
 6 一匹足りない

 「けんいちとみけやのあさごはん」と「一匹足りない」は手作りの人形で。

2018.6.28
 1 それからのうさぎ(読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話 上 筑摩書房)
 2 どろんこ遊び(絵本)
 3 手遊び
 4 わわゴムは どのくらい のびるのかしら?(絵本 マイク・サーラー・作 ジェリー・ジョイナー
・絵 きしだ えりこ・訳 ほるぷ出版)
 5 ケンイチとミケヤのあさごはん
 6 おいしいおかゆ(富安陽子・文 尾崎幸・絵 フェリシオ出版)

 「おいしいおかゆ」は絵本版で語りました。「おはなしのろうそく」版で、親しんでいる方には、やや不満があるかも。

 「わゴムは どのくらい のびるのかしら?」はゴムが宇宙までのびます。大人気の絵本ですが、はじめてでした。

2018.3.8
 夕方あいにくの雨。
 年度末で保育園の先生は一番忙しい時期。いつもの予定よりやや早めのおはなし会でした
 1 こずずめのぼうけん(語り)
 2 一番どりないた
 3 パネルシアター(ひなまつり)
 4 それでもたまごはわれません(紙芝居)
 5 どろだんご、おにぎり、サンドイッチ(絵本)
 この寒さですが半袖、半ズボンの子がいてびっくり! 素足で元気いっぱいです。

2018.1.25
 1月のものが中心でした。
 1 でてこいでてこい(絵本)
 2 十二支(立体絵本)
 3 もちっこかぞえうた
 4 十二のおこり(語り)
 5 パネルシアター(豆まき)
 6 あなのはなし(語り)
 手遊びは、みんなで楽しめました。全然知らないものより、盛り上がりがあります。
 例年にない寒さの中、みんな素足で元気いっぱいでした。

2017.12.20
 小さな町ですが、この時期イルミネーションがあちこち見られます。個人の住宅でもカラフルに飾っていてクリスマスが近いことを実感させられます。
 夕方?(この時期は夜そのもの)のおはなし会もクリスマス関係の歌で盛り上がりました。
 1 パネルシアター(あわてんぼうのサンタクロース)
 2 おもちゃ(ひっつきむし)
 3 ねずみのごてん(語り)
 4 指あそび(ゆきふるしろい)
 5 けんいちとみけや 二人のクリスマス(語り)
 6 コッケモーモー(語り)
 7 赤鼻のトナカイ(ギター)
 ギロという楽器がありますが、段ボールを利用した段ボールギロで、伴奏?もありました。
 「赤鼻のトナカイ」の途中で、エイという掛け声を子どもから教えてもらいました。

2017.11.1
 20時過ぎから保育園年中組お泊り保育での、お休み前のおはなし会。
 1 でてこいでてこい(絵本)
 2 くまさんのおでかけ(人形)
 3 三びきのこぶた(語り)
 4 にわとりかあさん(絵本)
 5 ギーギードア(語り)
 大先輩と一緒でしたが、すぐにお話の世界に引き込む力に圧倒されました。もっともまわりはほとんどが先輩ばかり。
 うかがった時、園庭にドラム缶?のお風呂があって、聞けば子どもたちがみんな入ったようでした。
 お泊り保育だけでも貴重な経験ですが、庭でのお風呂というのも記憶に残りそうです。
 自分の子も保育園にいっていましたが、こんな経験はありませんでした。
 おはなし会終了と同時に、みんなは布団にはいっていましたから、文字通お休み前のおはなし会でした。
 「ギーギードア」は、お休み前にはピッタリ。朝では雰囲気がでません。
 おはなし会の都度、先輩の引出しの多さに脱帽です。経験の違いでしょうか。

2017.10.25
 18:30分から30分の時間ですが、めっきり暗くなりました。
 1 ひなどりとねこ(語り)
 2 コートの話
 3 パネルシアター(まつぼっくり、どんぐり)
 4 ながいでしょ りっぱでしょ(絵本)
 5 手遊び
 6 赤ずきん(語り)
 保育園にお世話になっている人もいます。今回は卒業生も。

2017.9.27
 1 ついでにペロリ(語り)
 2 しきぶとんさん、かけぶとんさん、まくらさん(絵本)
 3 手遊び
 4 うさぎのかくれんぼ
 5 パネルシアター(月、証城寺のたぬきばやし)
 6 黒ネコのはなし(絵描き話)
 7 ぱんだいすき(絵本)
 「ついでにペロリ」で、ねこがどんどん飲み込んでいくと、そのたびにびっくりした反応。
 手遊びも園であそんでいるので、にぎやかです。

2017.8.30
 1 パネルシアター(海)
 2 新聞紙を使ったマジック
 3 ぐるんぱのようちえん(大型絵本)
 4 ごぼう、だいこん、にんじん(語り)
 手遊びを交えて。
 「ごぼう、だいこん、にんじん」の「アッチッチ」は合唱でした。

2017.7.19
 一週間前倒しでした。
 1 パネルシアター(七夕)
 2 おおきなかぶ(人形)
 3 小さい白いニワトリ(ペープサート)
 手遊び、絵本
 「小さい白いニワトリ」は、ニワトリが小麦をうえるのですが、たねをまくのも、麦を刈るのも、粉にひくのも、粉をねるのも手伝おうとしないぶた、いぬ、ねこ。
 けれども、いざパンをたべようとすると、ぶたも、いぬ、ねこも食べるというところで終わる話。
 小学校のころの記憶に残っている方も多いようですが、働かざるもの食うべからずと、ニワトリがひとりでたべてもおかしくないのですが、子どもからかえってきたはじめの答えは、みんなで食べるというもの。そのあと手伝わなかったから、食べさせないと想定できるこたえ。
 誰が食べる?とといかけるニワトリのたくらみ?にも注目したいところ。

2017.6.28
 1 くまさんのおでかけ(手袋人形)
 2 パネルシアター(あめ)
 3 ヤギとライオン(語り)
 4 だんごむし(絵本)
 5 どうぶつがいっぱい(絵本)
 パネルシアターは歌が三つ。子どもたちがカバーしてくれました。
 「だんごむし」は、身近ですが興味をひく内容も満載。「どうぶつがいっぱい」は、動物で自然に数の世界へ。

2017.5.24
 1 さんびきのやぎのがらがらどん(語り)
 2 三匹のくま(語り) スズキコージさんの絵本から
 3 パネルシアター こいのぼり
 4 動物あてマジック
 5 これはのみのぴこ(絵本) サンリード
 6 あおむしのへんしん(紙芝居)

 「さんびきのやぎのがらがらどん」はみんながよく知っているので、楽しんでくれました。
 「これはのみのぴこ」、はじめてでしたが、早口言葉が楽しい絵本でした。まあ読むのには大変そう。

 おはなし会では、あまり歌のプログラムがみあたりませんが、パネルシアターでは、みんなが知っている歌が多いので、合唱です。
 いくつもの動物のなかから、子どもたちが決めた動物をあてるマジック?には、不思議そうでした。

2017.4.26
 1 ミアッカどん(語り)
 2 手遊び パン屋さんのうた
 3 大型絵本 キャベツくん
 4 パネルシアター チューリップ
 5 ブラックさんとブラウンさん
 絵本のこまかなところまで目がいっていました。手遊びも楽しんでくれました。

2017.3.15
 1 穴の話(語り)
 2 パネルシアター(雛祭り)
 3 おばあさんとブタ(藤田浩子おはなしの小道具)
 4 紙芝居(パンダの赤ちゃんがうまれたよ)
 5 絵本
 絵本は、保育園での読み聞かせで知っているよと声がかかりながらも楽しんでくれました。
 手遊びもよく知っているもの。
 「おばあさんとブタ」は順々に絵が変わり、最後は全部をひっくり返します。

2017.2.22
 「ひなどりとねこ」のあと、時期的にはやや遅めの豆まきのパネルシアター。
 あまり気にしていなかったのですが、赤鬼と緑の鬼がでてきたら、すぐに子どもの反応が。やはりここは青鬼がよかったかも。
 この日は牛乳パックでつくったおもちゃももっていったのですが、おわったあと早速子どもたちもやっていました。少し難しいと思ったのですが、軽々と遊んでいました。
 ほかに、紙芝居と「コートの話」。

2017.1.26
 幼児20人ほど。この日も保護者の方も何人かいて、おはなし会がおわってから帰られたようです。
 お正月にふさわしい干支のはなし。手遊び、絵本など。
 藤田浩子さんの、赤ん坊をあやすのがいろいろでてくる「子守泥棒」を話してみました。
 もとは大分長いのですが、四分の一ぐらいにしてみました。泥棒は小さい子には少し難しかったかも。
 簡単なマジックと不思議なおもちゃも興味津々のようでした。

2016.12.20
 「アナンシと五」、手遊び、絵本、折り紙なども交えて30分間。
 保護者の方も何人か残られていました。家で話題になるといいのですが・・・。
 みんなよく知っているものばかりで楽しんでいました。
 
 私は、「あわてんぼうのサンタクロース」のパネルシアターです。
 「おべんとうばこの手遊び」を、急きょ間に合わせたエプロンシアターで。
 みんなよく知っているので合唱でした。

2016.10.20
 この日は、年中組さんのお泊り保育でのおはなし会。
 お泊り保育は、多分親にとっても子どもにとっても、はじめての経験で、なにかと心配になるところ。
 子どもが小学校の低学年のとき、夏のキャンプに一人で参加させたことを思い出しました。本当にやっていけるのかヤキモキ。
 午後7時にうかがいましたが、食事、お風呂もおわったようでした。
 いつもは朝や昼に行っているおはなし会も、夜だと雰囲気もことなります。
 語りは、仕事が終わった夜が原点だったでしょうから、いつもと違うなかで、手遊びもまじえながら楽しめたのではないでしょうか。
 ・パネルシアター
 ・ふたりのケーキづくり
 ・ギーギードア
 ふたりのケーキづくりは、ケーキの上にいちごやくりを順々にのせていくのですが、てづくりで、うえにのせるものは、ポケットから取り出すので、次にはなにがでてくるか興味津々のようでした。
 「ギーギードア」は、ドアがギーギーいう場面が何回もでてきて、またか!のこどもの声。
 ひとつひとつにこどもの反応があって、楽しい時間でした。

2014.10.23

 保育園でのお泊り保育で7時から話をさせていただきました。
 普段継続的に話はしていませんが、たまに勉強会の先輩から声をかけられて話す機会ももたせていただいているのはありがたいことだと思っています。
 「三匹のやぎのがらがらどん」と新美南吉の「2ひきのかえる」の二つ。

 都内の保育園に子どもを通わせていましたが、お泊り保育というのは記憶にありません。
 こんな実践をしている保育園、床は桧で、建てられてから20年ということでしたが、平屋だての味のある雰囲気。
 年中さんというので、年齢の幅がすくないので、話しやすく、手遊びもみんな楽しんでくれました。
 毎回、どこかで流れがとまることが多いのですが、がらがらどんはみんなよく知っているので、子どもたちがカバーしてくれました。
 時々でもなかなかうまくいかないなかで、小学校で定期的に、しかも1年生から6年生まで、話をされている先輩には、頭がさがります。 


ぼくのおとぎ話からの手紙

2018年12月27日 | 絵本(日本)


    ぼくのおとぎ話からの手紙/作・絵:荒井 良二/フレーベル館/2007年


 おともだちへ、そしておきゃくさんへの四月から三月までのお手紙です。

 とてもかわいい?絵ばかり。絵を見ているだけでも楽しいのですが、手書きの手紙の中身も、ほんとうに優しい感じです。

 二月の手紙
   しずかに しずかに ふってくる.
   ゆきのなかをゆく、ぼくのろうそく。
   ゆっくりゆっくり すすんでね?
   いそぎすぎて、ひをけさないようにね。
   あせりすぎて、ひをkさないようにね。
   いろんなひとに わけてあげてね。
   ぼくのろうそく。
   ちいさな よろこびや、
   ちいさな かなしみや、
   ちいさな ゆめや、
   ちいさな きぼうに
   ひをわけてあげてね
   ぼくのろうそく。
   あさにも、ひるにも、よるにもね!
   ちいさな ちいさなうたを
   うたいながら、ね!

 十二月のおきゃくさん
   ひんやりした よるのくうき。
   ぼくが まどの そとを みると・・・
   そらから ゆきが!
   どんどん ゆきが・・・
   あ、ちいさな ちいさな ゆきだるま!
   たくさん たくさんあつまって、
   みんなで うたを うたいます。、
   ぼくのへやの、まどあかりのしたで、
   ちいさな コーラスたいが うたいます。
   ちいさな ちいさな こえなので、
   よおく みみを すませます。
   ちいさな コーラス、ふゆのおと・・・。
   ひとつぶの ゆき の、
   おおきな おおきなプレゼント。

 ぼくのおともだちは、花、バス、赤い靴、ウクレレバンド、スケッチブックなどなど。
 ぼくのおきゃくさんは、オルゴール、山小屋、タンポポ楽団など。

 誰でもおともだちになれて、おきゃくさんにもなれそうです。

 季節にあわせて、読んでいきたいものばかりです。


グロースターの仕たて屋

2018年12月26日 | 絵本(外国)


   グロースターの仕たて屋/作・絵:ビアトリクス・ポター:作・絵 石井 桃子・訳/福音館書店/1974年


 一時代前のイギリスの街の風景、家の様子、洋服を着たねずみなどの絵が素敵ですが、いまでは珍しくなった手のひらサイズの絵本なので、ややもったいない感じです。

 グロースターの町の腕は良いけれど貧しい仕立屋。

 市長から注文を受けていたクリスマスの朝の婚礼用の上着とチョッキを裁ちあげ、あとは紅色の穴糸さえ揃えば明日の朝から縫いはじめられる用意をして店をでます。自宅は大学の前庭のとなりにあった、大きくもない家の台所。

 家に帰った仕立て屋は、猫のシンプキンに手持ち最後の銀貨で、パンとミルクとソーセージ、そして紅色の穴糸を買ってくるように頼みました。

 市長の上着とチョッキのことを考え、炉の前にすわっているときみょうな物音がします。食器だなのちゃわんのしたからカタコト カタコト カタコトカタという音。紅茶茶碗を、もちあげてみると、小さな 元気な婦人ねずみ、また音がして、茶碗をもちあげると、今度は小さな紳士ねずみ。
 そのうち、カタコトカタの合唱がはじまって、でてくるでてくる小さなねずみ。

 耳にも、首のつけねにも雪のシンプキンが買い物からかえってみると、閉じ込めていたはずのねずみが一匹もみあたりません。シンプキンは、買ってきた穴糸をどびんの中に隠してしまいます。

 悪いことが続き、仕立て屋は疲れから熱が出て寝込み、夢の中でも「穴糸がたりぬ、穴糸がたりぬ!」とつぶやきます。

 さて、市長の婚礼用の上着とチョッキは、クリスマスの朝までに仕立げられるか?。

 ひもじい猫のシンプキンが、いらいらしながら町をあるきまわっていると、仕立屋の店から あかるい光が。のぞいてみると・・・。

 ねずみたちが、上着を仕立てる場面は、たのしげな歌が五曲もあります。

 グリムの「こびととくつや」では、こびとが、くつ屋が裁断しておいた革で靴をつくり、お礼にくつ屋が小さな服やくつを作ってあげると、こびとがいなくなります。

 この話では、仕立屋は、ねずみの命を救ってあげるだけでなく、あまり布で、ねずみのチョッキ、ケープ,帽子のリボンなどをつくってあげているのが伏線になっています。

 職人気質の仕立屋のあじがよく、ねこのシンプキンも、ねずみが上着を仕立てるの見て、隠していた穴糸をかえしますから、そのあとは仕立屋さんとも仲良くできたようです。


芋ころりん、いもごろごろ(絵本)

2018年12月25日 | 昔話(日本)

・芋ころりん(昔話に学ぶ「生きる知恵」➂馬鹿の鏡/藤田浩子:編著 小林恭子・絵/一声社/2006年)

 似たような昔話も多いのですが、藤田さんにかかると本当に笑えるものに変わります。

 早々と年貢米が集まって、喜んだお役人が振舞いをしてくれるというのででかけることにしたお百姓たちでしたが、飯食う作法をしらないとみんながおじけづきます。

 庄屋さんにきいてもよくわからない。

 庄屋さんもでかけることになって、まねをするようにいいます。箸をもち、汁をすい、飯をたべるところまではまあまあ。

 ところが、庄屋様が里芋を食べようとして、里芋がぽとんとおちて、ころころころがると、お百姓も里芋を落とすのが作法とばかり、どんどん落としてしまいます。びっくりした庄屋が、手をふるとお百姓たちも手をふります。

 庄屋が驚いて、納戸の方に逃げていこうとして、ふんどしの端を踏んずけると、お百姓もそのまねをしはじめます。

 お百姓の名前が一兵衛、二兵衛、三兵衛で掛け合いが何回かでてきます。

 庄屋さまの解説も、右手で箸をもちあげ、左手で下からささえ、右手をもちかえる 次には汁を一口、飯をひとくち、また汁を一口、それから飯を二口、それからおかずに手を出すと細かなもの。これではたしかに一回聞いただけではおぼえられません。

 役人のところにでかけたのは、百兵衛さんまでいますから、百人。

 この百人が里芋を落としたら大変なことになりそうです。


・いもごろごろ(川村 たかし・文 村上 豊・絵/教育画劇/1998年)



 山の村を出たことのない男たちが庄屋さんに連れられて、大阪見物にでかけました。村を出るのがはじめてなら、宿屋にとまったこともはありません。「こまったらわしの真似を しとけば ええ」と言われ・・。

 晩御飯にどぶろくがでて すするとこまではよかったのですが、庄屋さんがむせてせきこむと みんなも コッホン コッホン。

 めったにたべたことのない白いごへんを がつがつたべて、息が詰まりそうになり、目を白黒させると、みんなも目を白黒。
 水瓶のあるところまではっていくと、みんなも廊下をはって。
 「そんなことまで まねることはない」と、後ろの人をけりつけると、次々に、後ろの人を けって。

 いもをたべようとすると、いもがころがって・・・。
 「もう まねせんで ええのや」と、庄屋さんが 隣の人を ひじで つっつき 次々とつっついていきますが、最後の人は?・・。

 村上さんの絵が、いい雰囲気です。目を白黒させる場面は、おもわず笑ってしまいました。

 にたような話より、真似をする場面が多いのが特徴です。

 子どもの反応が、いまひとつなのは、「そんなことはしない」よと、冷静なのが影響しているのかもしれません。


かこさとし からだの本 (1) あなたのおへそ

2018年12月24日 | 絵本(日本)


   かこさとし からだの本 (1) あなたのおへそ/作・絵:かこ さとし/童心社/1981年


 今年5月に亡くなられたかこさんの絵本でそだった子もおおいのではないでしょうか。
 工学博士であり、技術士でもあるかこさん。二刀流どころか三刀流です。

 なんで人間には”おひそ”があるのか、にわとり、金魚、かめを例にあげて、やさしく説明され、おへそをみるたびに、お母さんとのつながりを意識させてくれます。

 手足や目、耳などとちがって、一見無用の長物と思いがちがおへそがなければ、人間が生まれないことを再認識させてくれます。
 
 命の誕生の不思議にも目をむけられそうです。


ふうふうぽんぽんぽん

2018年12月23日 | 絵本(昔話・日本)


      ふうふうぽんぽんぽん/文・水谷章三 絵・杉浦 範茂/童心社/2000年改訂復刊


 「和尚さんと小僧」がでてくる話が、三話つながっている贅沢な絵本です。

 ちんとんという小僧さんに、だまって、はばかりで甘酒をのんでいた和尚さん。小僧さんもはばかりで甘酒をのもうと、戸をあけると和尚さんをみつけ、とっさのことに「甘酒のおかわり」という話。

 あゆを”かみそり”といって、子どもの食べるものではないという和尚さん。
 川であゆをみつけた小僧さんに、和尚さんは、だまってついてこいといい、和尚さんの頭巾が風にとばされても、だまっていた小僧さんに、和尚さんは、こんどは馬から落ちたものは、なんでもひろわないかんといい、馬が糞をおとしはじめると、小僧さんは、馬から落ちたものはなんでもひろおうと頭巾でうけて・・。

 和尚さんが夜に餅をたべようと、ふうふうぽんぽんとたべはじめようとすると「ふうふうぽんぽんちゅう」と、名前を変えた小僧さんがやってきて・・。

 食べ物がからむものばかりですが、出し抜こうとした和尚さんと小僧さん、どうやら小僧さんのほうが一枚上手でしょうか?。
 でも、はばかりで甘酒を飲むのも考えものです。

 もしかすると甘酒、鮎、餅は、貴重な食べ物で、いつでも食べられるものではなかったのかも。
 食い物の恨みは怖いですから、お餅を二人で食べられたのはよかったかも。

 小僧さんが馬の糞をおいかける場面や、お餅を食べようと寺の廊下を走る場面の絵が躍動していて楽しめます。


仙人・・芥川龍之介、極楽にいったばさま・・岩手

2018年12月21日 | 創作(日本)

        杜子春、くもの糸/芥川龍之介/偕成社文庫/1978年


 名まえも作品名も知っていても意外と読んだことがありません。

 「仙人」という短編があります。

 大阪の町に権助という男が仙人になりたいと口入れ屋を訪れますが、もちろん口入れ屋はことわります。

 権助は、店ののれんに「よろず口入ど所」と書いているのは、うそなのかといいだします。

 口入れ屋の番頭は、沽券にかかると思ったのでしょうか、その日は権助にひきとってもらい、近くの医者のところへいき、相談します。
 もちろん、医者も仙人になれるような奉公口を知るわけもありません。
 しかし、番頭の話を聞いていた古ぎつねとあだなのある医者の女房が自分にまかせなさいといいだします。

 紋付はおりでやってきた権助に、医者の女房は20年奉公すれば、仙人になる術をおしえる、ただ、給金は一文もやらないといいます。

 すぐに20年たって、約束通り不老不死になる仙人の術をおしえてもらいたいといいだした権助。

 医者の女房は、どんなむずかしいことでも自分の言う通りすれば、仙術をおしえる、そうしないと向こう20年給金なしで奉公しないとすぐに罰があたるとおどろかしておいて、高い松の木にのぼらせます。
 さらに右手、左手を離すように無理難題です。

 それでも、権助が、そのとおりにすると、宙にうき、高い雲のなかへのぼっていってしまいます。

 ここには心理描写も状況描写もほとんどありません。
 最後に本当に仙人になってしまい、愚直な男の望みがかなうというのは昔話のオチです。

 医者の女房のしたたかさをえがきながら、医者夫婦がどうしたか、だれも知らないという結びにも納得です。

 昔話のオチのようだと思っていたら、「極楽にいったばさま」(かもとりごんべえ/稲田和子・編/岩波少年文庫/2000年)という岩手の昔話がありました。

 ひどい貧乏で早く極楽へいかせてくださいと、お寺まいりしていたばさま。

 お賽銭が続かなくなって、一文銭の穴へ麻糸とおして、おまいりのたびに、ジャランジャランさせては、麻糸を手繰り寄せ、お金はもちかえるようにしていましたが、これに怒った和尚さんが、阿弥陀さまの声で、ばさまを池の松のてっぺんにのぼらせ、両手を松の木からはなさせると、五色の光る船があらわれ、ばさまを受けてそのままシューシュー走って、雲の中にきえていくという話。

 和尚さんもおなじようにしますが、池の中にザブンと落ちて、水の中に沈んでしまいます。

 昔話の成立は芥川龍之介より先ですから、両者にどんな接点があったのでしょう。


えんどうまめの上のおひめさま

2018年12月20日 | 絵本(外国)


     アンデルセンの絵本 えんどうまめの上のおひめさま/角野栄子・文 西巻 茅子・絵/小学館/2004年


 えんどうまめひとつぶおかれたベッドの上に、20枚の敷布団と、さらに、その上に20枚の羽根布団を20枚かさねたベッドで眠った女の子。

 翌日「よく眠れましたか」とお妃から聞かれ、「ほんとうに、ひどい夜でしたわ。ぜんぜんねむれませんでした。ベッドの中に、かたいものがはいっていて、いたくてからだがあざだらけになってしまいました。いったい、なにがはいっていたのでしょう」と答えると、この女の子は、ほんとうのほんとうのおひめさまだということが、みんなにわかって、ぷじ王子さまとめでたくゴールインです。

 アンデルセンの中では、ほんとに短い童話。
 この話を聴いたとき、ここでおわるの?と消化不良でした。

 ”ほんとう”というフレーズが22回。これだけ強調されているのは”ほんとう”とは、どういうものか問いかけたかったのかも。

 表紙には、角野さんの文となっていますが、訳というのが正解でしょう。

 角野訳では、”女の子”とありますが、岩波少年文庫(大畑末吉・訳)では、はじめから”お姫さま”とされています。

 王子さまが、ほんとうのほんとうのおひめさまをさがすところに、西巻さんは、王女風、ギリシャ風?アフリカ風、アラビア風、中国風など魅力的なおひめさまを登場させています。


木ぼりのオオカミ・・アイヌの民話

2018年12月19日 | 絵本(昔話・日本)


         木ぼりのオオカミ/萱野茂・文 斎藤 博之・絵/小峰書店/1998年


 骨格が がっしりしていて、「わたしは」と、一人称で物語はすすみます。

 石狩川のほとりでうまれた わたしは 父親譲りの狩りの名人。サケをもって不思議な力にひっぱられてやってきた村。

 一軒の大きな家に泊めてもらいますが、おじいさん、おばあさん、むすこの顔はなにかかなしそうでした。

 家にはクマのあたまの骨がならべてありましたが、あたらしい骨はありませんでした。わたしは、「かりの上手な人の家なら、あたらしいクマの神が まつってあるはずなのに、この 大きな家の人は、このごろ かりを していないのだろうか?」と、疑問を持ちます。

 あまり話をしない家族で、眠れないよるをすごした「わたし」は、また、なにかにみちびかれるように、走り出し遠い山をめざして、夢中ではしっていきます。山をいくつもこえて雪をふみわけていくと、ちいさな家が ぽつんと 一軒ありました。

 そこには,女の人が子どもをだいてすわっていました。

 女の人は、夫が かりにでかけたとき、夫の父から山へたきぎを とりにいこうと いわれ 一緒にやってきたのですが、どういうわけか 心のやさしい夫の父親が 姿をけしてしまったのでした。

 子どもが生まれましたが、毎晩のようにクマがおそってきて、いつ死んでしまうかとおびえた生活。

 クマに 食べられずに 生きてこられたのは、じつはイヌのおかげでした。クマがしのびよってくると、どこからかイヌが、ぱっと あらわれて、クマとたたかい、クマをおいはらってくれました。ところが、そのイヌは、じつは、オオカミでした。

 女の人は、兄が、ほってくれた木ぼりのオオカミを 子どものころからはだみはなさずもっていました。クマがおそってきたとき、木ぼりのオオカミが ぱっと いなくなり、朝になると、いつのまにか もどってくるのです。

 やがてオオカミとクマの壮絶なたたかいがはじまり、わたしが矢を射ると、クマは、ぐわおっと じとこえ うなって たおれます。

 大クマをたおしたわたしの夢に、クマがあらわれ話しかけます。

 クマは、「女の人がすきで、なんとかして妻にしたいとおもい、夫の父に まほうをかけて、山につれてこさせ、ときどき 家にやってきて女の人と話をしようと思った。ところが、ちかずくと、きまって木ぼりのオオカミがあらわれて、おいはらわれてしまう。クマの神のわたしも どうすることも できなかった。どうか わたしのやったことを ゆるしてほしい。」

 女の人とこどもを家におくりとどけると、「わたし」は、山おくへひきかえし、大クマを村へ かついできます。それは「よくないことをしたクマでも、たましいを ていねいに 神のくにへかえしてあげなければ いけません」というものでした。

 「ちいさな木ぼりのオオカミが人間の命を まもってくれた。だから、わたしたち アイヌが こころをこめて ほったものは、どんなちいさいものでも、たいせつに するのだよ。」と、おじいさんになった”わたし”は語ります。

 「よくないことをしたクマでも、たましいを ていねいに 神のくにへかえしてあげなければ いけません」というあたりに、アイヌの人々の思いがこめられているようでした。

 クマの神が、人間に恋したのなら、もっている力でどうにでできそうですが、神さまでも思うようにならないこともあるんですね!


七人のシメオン ロシアのむかしばなし

2018年12月18日 | 絵本(昔話・外国)


        七人のシメオン ロシアのむかしばなし/田中友子・文 大畑 いくの・絵/BL出版/2018年


 ロシアの昔話絵本で、素朴な感じの絵が、この話にぴったりです。

 ある日、王さまが兄弟の畑をとおりかかり、七人の名前はみんなおなじシメオンで、それぞれがもつという「わざ」に興味をもちます。

  一番上のシメオンは、天まで届く鉄の柱をたてられます。
  二番目のシメオンは、その柱にのぼって四方の果てまで見渡せます。
  三番目は船のり。あっというまに船もつくります。
  四番目は弓名人。とんでいるハエもうち落とします。
  五番目は、星占い師で、夜空の星をひとつのこらずかぞえられます
  六番目は、農夫。一日で畑を耕し、麦をかりとれます。
  七番目は、歌って踊り、笛を吹くのが得意です。

 司令官は、末っ子は無駄に飲み食いするだけでおいだしましょうと、王さまに進言しますが、末っ子が笛を吹くとみんなは勢い良く踊りだします。馬も踊り、オンドリが飛び跳ね、牛も足をふみならします。
とくにいちばんはげしくおどったのは司令官でした。
 この踊りは、自分でコントロールできません。いじわるをした司令官はたおれるまで踊ることに。
 このことが、この司令官が、王さまに、とんでもない告げ口をすることになります。

 昔話には引き立て役が欠かせませんが、司令官がその役割です。

 兄弟が与えられた王さまのミッションは、はるかかなたのブヤーン島に住むエレーナ姫をつれてくること。王さまはエレーナ姫を妻にしたくなったのです。

 三番目の船乗りがつくった船でブヤーン島につき、王さまの結婚の申し込みを伝えた兄弟でしたが、同行した司令官は、王さまはとしよりで、とんでもないいくじなし、おまけにオオカミやクマが昼も夜もうろついている国だといいたてると、姫は腹をたてて、兄弟を宮殿からおいだしてしまいます。

 なんとか姫を連れ出した兄弟でしたが、司令官が、末っ子のシメオンは、「姫を自分のものしようと企んでいます。処刑するよう命じてください」と讒言し、処刑されそうになりますが・・・。

 エレーナ姫は、船から逃げ出そうとしますが、もしいかなかったら、王さまが兄弟が首をはねるだろうと聞いて、王さまの妻になることを承諾して旅をつづけます。これだけのわざをもっていたら、王さまだってかなわないはずですが、そこは昔話の世界です。

 バイオリンが活躍する類似の昔話もあります。ただこの話は、島から国に帰るまでの工程がかなり長いのが特徴です。