おおぐいひょうたん/吉沢 葉子・再話 絵:斎藤 隆夫・絵/福音館書店/1999年
こどものとも世界むかし話の旅シリーズの一冊で、西アフリカの昔話の再話です。
フライラという女の子が、小さなまるいひょうたんを見つけて、どうしてもほしくなり、とってもらいました。
そのひょうたんは不思議なことに、フライラがとびはねるといっしょにとびはね、かけだすと追いかけてきます。すっかり気に入ったフライラは、そのひょうたんといっしょに遊びますが、突然そのひょうたんが、「肉が食いたい」といって足の指に噛みつきます。
お父さんは、ひょうたんに化けて肉を食う魔物の話を思い出し、羊のところへ逃げるように言います。
お父さんに言われて、フライラは羊のところへ逃げますが、ひょうたんは羊の群れをさぷさぷと飲み込んでしまいます。
「肉だ、肉、もっと食べたいと」とひょうたんはフライラを追いかけます。
フライラは、牛のところへ逃げますが、ひょうたんは牛たちもこぷこぷと飲み込みます。
ラクダのところに逃げると、ラクダもがふがふと飲み込まれます。
さらに、「やわらかそうな おまえがのこっている」とひょうたんはフライラのひざにがぶりとくいつきます。おとうさんが蹴飛ばしても、びくともしません。
小さなひょうたんが、大きな大きな羊、牛、ラクダも飲み込んでしまうのですからハラハラ、ドキドキのの連続。
ここで、フライラの運命はいかにとなるのですが・・・・。
どうなるかと思っていると、昔話は、ちゃんとうまい終わりかたをします。
かわいがっていたやぎが、つのでひょうたんをずこんとつくと、ひょうたんは地面に。もういちどがっぷーん!とつくと、ひゅるるるるーんとバオバブの木より高く突き上げられ、地面に落ちてぽっからぽんとわれてしまいます。われたひょうたんからはらくだ、牛、羊が元気よくでてきます。
食べるところの擬音語におもわず引き込まれます。でもちゃんと元気で生きています。
お父さん、お母さん、フライラ、空に舞い上がったひょうたんをみあげる村の人達の顔も楽しいですよ。