どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ぼくは ふね

2024年03月23日 | 五味太郎

    ぼくは ふね/五味太郎/福音館書店/2024年

 

 ちいさな船が けっこうきまま かなりきらくに 海を進んでいくと、じゃま! どけ!と 大きな船。

 どこからきたの・・ どこへゆくの・・なにしているの・・むずかしいな・・

 嵐?

 ヘリコプターに助けられ とりあえず ありがとう おせわさま といったら どうやらすてられたようだ  地面の上。

 「あのね きみ みずにうかんですすむことにこだわりすぎているんだよ」といわれ 地面をすすむと すすむすすむ!

 やまにも のぼれる! はたけも いける! どこでも すすめる! どこへでも ゆける!

 くらいところもゆける! もっととおくにも ゆけそうだな!

 ぼくは ぼく ぼくは ふね。 あれこれいわれながらも ぼくは ぼく。自由に生きろ とでも いっているよう。

 

 船は 水の上をすすむものという固定観念を 打ち破ってみれば?

 五味流でいえば、作家は 家を作っても作家?・・

 子どもは学校にいくのが当たり前と思っているのが そうでもなくなるのか?


どこまでゆくの?

2024年02月19日 | 五味太郎

    どこまでゆくの?/五味太郎/福音館書店/2010年

 

 「月刊かがくのとも」500号です。

 「おでかけします いってきまーす」 「いってらっしゃーい どこゆくの?」

 「どこまでも ゆくの ずっととおくまで」 「きをつけて」「きをつけまーす」

 男の子が スーパーを とおりすぎ

 バスに乗り

 バスを降りると 交番をとおりすぎ

 また バスに乗って 

 バスを降りると また歩き

 地下鉄に のって

 町の中心部を とおりすぎ

 海のそばを とおり

 たどり着いたのは 恐竜が展示してある博物館

「だいぶ とおくまで きました だいぶむかしまで きました」

 そこから、家に帰ります。

 

 文字は、最初と最後のページのみ。迷路のようですが、迷路ではありあせん。

 こんなに遠くまできて かえれるの? と心配すると 矢印のぎゃくに いけば ちゃんと かえれます!!

 ただ、歩く、乗る、歩くの繰り返し。矢印にそいながら、風景を楽しんだり、絵を描く人、働く人と、さまざまな人にであったりしていきます。

 男の子の目的は?? どこまでも遠くに いきたかった? 季節を感じたかった?  

 答えは読む人の想像に ゆだねられているのでしょうか。


うるさいぞ・・

2023年11月09日 | 五味太郎

   うるさいぞ・・/五味太郎/福音館書店/2022年/月刊予約絵本「こどものとも年少版」

 
 なにやらつくっていると、頭の上、目の前と、なにかがとんでいきます。うるさいので、つくっている紙筒で捕まえようとするとうまくいきません。それならばと、ハサミや鉛筆をいれてある缶で、えいやっ。はげしく飛び回るので、こんどは袋で。
 
 つかまえてみると、な、なんと・・・。
 
 ハエやカと思っていると、あれれ!
 
 これって、年少向け? 
 
 オチが想像出来たら、あなたも五味さんです。

かくしたの だあれ

2023年09月26日 | 五味太郎

    かくしたの だあれ/五味太郎/文化出版局/1977年

 

 ぺーじの左側に、「かくしたの だあれ」とあって、右のページには動物や昆虫などがならび、そのなかから左側のものを あてていきます。

 たとえば、左側に ロウソクが二本あって 右側のページに並んだ五匹のキリンから ろうそくのあるキリンをさがすといった趣向。

 ちょっと難しかったのは、「とらんぷ かくしたの だあれ」と、十頭のチョウから トランプをさがすもの。

 先入観があると、ちょっと見つけにくいかも。そういっても簡単に見つかるのもつまらないので、作者の挑戦でしょう。


かんづめ あけよう

2023年05月29日 | 五味太郎

    かんづめ あけよう/五味太郎/童心社/2018年(8画面)

 

なんのかんづめかな?とあけてみると

でてきたのは かんづめハンバーガーやさん

そう ハンバーバーをつくるかんづめ

あっというまに スペシャル・ビーフ・ハンバーガーのできあがり

おじいさんのは シャケをいれた ダブル・スペシャル・ビーフ・アンド・シャケ・バーガーでした。

 

かんづめから 人が出てくるという発想は、五味さんならでは! 

頭がかたい大人には無理。五味さんの頭は よほど やわらかいようですよ。

今は珍しい 缶切りであけるのは、おじいさんの シャケの 缶詰でした。


とまとさんに きをつけて

2023年04月23日 | 五味太郎

    とまとさんに きをつけて/五味太郎/偕成社/200年

 

とまとさんが やってきて

はーい とまとさんですよ

「かわいい!」っていってくれないと・・・

こんなかおも できるのよ・・

こんなことも できるのよ

うたもうたえるのよ あなたも うたって

あ なんだか ねむっくなった・・

ちゅっ!

わたしは かえるね あとは ひとりであそんで ばーい

 

とまとさん あそびに きてくれ 泣き顔、変顔、笑い顔 

ちゅっ! して かえっていったよ。

なにに きをつけたら いいの? 

五味さん きをつけるとこ ないよ!

かわいい とまとの顔に 癒されること まちがいなし


もみのき そのみを かざりなさい

2023年03月16日 | 五味太郎

    もみのき そのみを かざりなさい/五味太郎/KEC中央出版/2020年

 

 季節はずれですが、クリスマス・イブをむかえる準備でしょうか。

 白い地に四角な窓枠のような構図。シンプルな絵が続きます。最初のページの枠は青一色、最後のページの枠は緑一色。

 夜空にはポチンと星、船が飛んで、サメが泳いで、花が一凛、・・・・

 「みち こころみなさい」

 「きつね うらみなさい」

 「いえ たびにでなさい」

 「にわとり かえりみなさい」

 「うし まなびなさい」

 ・・・・・

 命令口調。だれが、だれに 命令しているか?。

 「ピアノ みみをすませなさい」というのは、ピアノにいっているようでもあり、ピアノに「耳をすませなせなさい」といっているようでもあり。

 ただ、最後のほうは 

 「もみのき そのみを かざりなさい」

 「ろうそく ゆれなさい」

 「くつした まちなさい」

 「こども いのりなさい」

 「あした ほがらかに めざめなさい」

  と、クリスマス・イブの雰囲気。

 短い含蓄のある言葉。

 クリスマスは、家族で過ごし、その中でプレゼントをもらったりというイメージがありますが、本来は、祈りの日であるのでしょう。


とりあえず まちましょう

2023年01月29日 | 五味太郎

    とあえず まちましょう/五味太郎/絵本館/2020年

 

「とりあえず まちましょう」 何を?

表紙では碁を打っているのでしょうか。相手が打つのをまってます。

病院では、麻酔がきかない人の手術を お医者が待っています。

UFOを見つけようとする人は イメージをもって とりあえず まってます。

宇宙の飛行船 地球に帰還するのを まちます。

トイレの 順番まち 大勢ならんで とりあえず まてるでしょうか。

 

とりあえず 待とうと 一呼吸おくと 何か見出すことができるかも。怒りに手を上げようとするとき ちょっと まったら いがいに バカバカしくおもえることも ありそう。にっこりを追加すると なおいいかも。

オヤオヤ ホー ニヤニヤ する場面が 続きます。

五味さん、この絵本を読んでもらうのを まっているのでしょうか。絵本の初版部数の算出を とりあえず まってます。


きみは しっている

2023年01月10日 | 五味太郎

    きみは しっている/五味太郎/岩崎書店/1979年

 

 コンドル?ハゲタカ?が肉をこんもりした岩かげにかくし、「ここに かくして おいたことを よく おぼえておいて くれたまえ。このほんを よんでいる きみ、ぼくはちょっと ねてくるから・・」

 コンドルにいわれて、そのきになってみていると、おや キツネがみていて、肉をもっていってしまいました。

 つぎの日の朝、肉を食べようとすると 肉がありません。

 「だれかに とられたんだ! きみに ちゃんと みはりを たのんでおいたのに!」「もちろん きみは しっているんだろう! みてたんだもんね。でも いわなくていいよ。犯人は、ぼくが ひとりで みつけてみせる」と、トカゲ、牛、ヘビ、ライオンなどに目をつけていきますが、みんな否定します。

 「はんにんは ほんをみていた きみだ!」と、読者に八つ当たり。でもすぐに「つい カットしちゃって、まさか きみが ほんのなかの 肉を ぬすめるはず ないよね」

 「ねえ、きみ そっと、おしえて くれないか」

 読者は、はじめにキツネが 肉をもっていくのをみていますから わかっているはずですが、そこは五味さん、とっておきのオチがあります。

 

 主人公が、読者に話しかけるという形式。先入観を持ってしまう導入部と さいごのどんでん返し。やられた!となること 請け合いです。


おっと おとしもの

2022年12月27日 | 五味太郎

    おっと おとしもの/五味太郎/福音館書店/1988年

 

 おもちゃのトラックで遊んでいた男の子が、トラックの荷台がなくなっているのに気がつき、荷台を探そうと来た道をさかのぼっていくと、やはり落とし物をしてさがしている人がいたり、子どもを探しているおかあさんがいたり。

 ピンクのリボンを拾い交番にいくと、そこには、探していたトラックの荷台が。

 じつにシンプルですが、そこは五味さん、楽しい仕掛けが。

 はじめは気はつかなかったのですが、もういちど読み返すと、鉛筆をさがしているおじさんの鉛筆は 前のページに転がっています。お母さんが探していた子どもは、何ページか前で泣いていますし、あわてていたせいか、おかあさんのバッグからは、にんじん、キュウリ、リンゴが道に、ころがっています。

 拾ったリボンは、最後のページで、片方のリボンをなくして泣いている女の子とつながります。

 よく見ないと気がつかないのですが、交番の張り紙にある行方不明のねこも、道のなかに。

 ただ、一度に全部探すのは大変そうで、何回か繰り返し読む楽しみもあります。

 裏表紙に本物のトラックの絵がでてきますが、そこには、おもちゃのトラックであそんでいた子が乗っています。


みんなうんち

2022年10月23日 | 五味太郎

    みんなうんち/五味太郎/福音館書店/1981年(1977年初出)

 

 なにか恥ずかしそうでありながら興味をひくウンチ。

 小学生のころ、我慢して家にかえってからウンチしていたことを思い出しました。あの頃なんでなんだろうと思うと、ほかに人の目を気にしていたのかな。

 「いきものは たべるから みんな うんちをするんだね」

 当たり前のことですが、体が大きければウンチも大きい、形も違えば、色も匂いもちがう。

 あるきながら、とまって、きめられたところでウンチと、しかたもさまざま。

 ウンチをしても しらんかおしたり、ちゃんと後始末するなど これもさまざま。

 キリン、ライオン、チンバンジー、シマウマなどが、お尻を向けてウンチするところは、とってもユーモラス。

 人間だけでなく、いろんな動物がでてきますから、それだけでも興味がわきます。


ことばのいたずら

2022年07月13日 | 五味太郎

    ことばのいたずら/五味太郎/絵本館/2015年

 

 悪意のないいたずら大歓迎。うまくいってないときコミュニケーションをとる手段になるかも。

 その1から27まで プラスワンの ことばの いたずら。

 

 その5 このかんばんを読んではいけません。(このあと看板設置局と)

 その10 あえて言いたくないけど しかたないから言うが・・(このあと・・というひとり言・・)

 その15 自分で動く車が 「自動車」だ! 文句あるか!!・・(文句ありません)

 その26 しまうま しまなしうま・・(絵で判読)



 はじめ ”ん” つぎに ”なるほど”  ”こりゃなんだ” ”よくわからん” などなど 

 いつのまにか五味ワールドの世界。


なんとなく

2022年04月18日 | 五味太郎

     なんとなく/五味太郎/絵本館/2011年

 

パン屋さんが なんとなく 自転車をつくった

インタビューのひとが なんとなく 道路をはいた

デパート帰りのひとが なんとなく 表彰台にあがった

恋人たちがなんとなく ボクシングをした

お巡りさん、強盗、買い物の人、文豪・・・

 

「なんでかしら?」と聞いても「なんとなく」

 

どうでもよさそうなことが続きますが 熟慮?すると意味深です。

「小太りの人が綱引きをする」のは、ダイエットのため?

「秘書が水着になる」のは、日ごろのストレスを 解消するため?

 

何かしら理由をつけようと思うと、それなりに解釈が自由ですが なんとなく 流していいことも多いか!

肩の力を抜いて 自然に!


とりあえず ありがとう、とりあえず ごめんなさい

2022年03月27日 | 五味太郎

     とりあえず ありがとう/五味太郎/絵本館/2020年

「とりあえず ありがとう」といっておけば、人間関係に角は立ちません。

「ありがとう」というのはいいにくくても、そこで「とりあえず」を念頭におくと いいやすいかも。

見開きのページで、ひとつのシチュエーション。

ワニの背中で、向こう岸に渡った少年、「とりあえず ありがとう! かえりもよろしく!」

断崖絶壁の雪だるまに車が突っ込み、命拾い。雪だるまに「とりあえず ありがとうございます」

強い風で、帽子とマフラーが吹き飛ばされ 案山子がキャッチ。「ナイス キャッチ! とりあえず ありがとう!!」

雪だるまも、案山子もありがとうと言われても、なんのこっちゃと なるはずですが・・。

まだまだ 盛だくさんです。

 

     とりあえず ごめんなさい/五味太郎/絵本館/2019年

 「とりあえず」は、シリーズなんですね。こちらは2019年の発行。

 「とりあえず」もさまざまなシチュエーション。

 床屋さんで、髪を切っているのは 植木屋さん
 運動会の万国旗のあいだには、洗濯物を干しています

 お母さんの自転車には 子ども9人 ちょっとたくさんでごめんなさい

 鬼が島が高級リゾートで ごめんなさい

 むずかしい 本が好きで ごめんなさい といっているのは、あかちゃん

 「とりあえず ごめんなさい」といわれたら 怒るきもなくなります。まさに、潤滑油の言葉です。


こんなとき きみなら どうする?

2022年01月25日 | 五味太郎

     こんなとき きみなら どうする?/五味太郎/福音館書店/2014年

 

13とおまけつきの五味さんからの質問状です。

回答が出そうなものと、だいぶ考え込むものの二つ。

絵本の背後で、ニヤリしている五味さんの表情がうかんできます。

質問の六番目は、ページいっぱいのヒヨコがかかれ、「ほうっておけば かえってくるかな?」「みんな いなくなってしまうのかな?」「きみなら どうする?」

質問の七番目は、すごく おそいけれど ぜったいおちない ひこうき と すごく はやいけれど ときどき ついらくすることのある ひこうき と きみ どちらにのりたい? どちらにも のりたくない?!

質問の十番目は、きみ どのくすりのむ? のまない? とあって、「あたまが よくなるくすり」「けんかがつよくなる くすり」「おなかが すかなくなるくすり」「せがどんどんのびる くすり」の四種類。

 

人生は 決断の連続。判断の基準を幅広く求めていく必要もあります。