入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「冬」(40)

2022年12月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日は思い付いて、夜ではなく午後の3時過ぎに散歩に出た。いつもの開田を抜け、瀬澤川の谷を渡り、集落を掠めて峠を越え、最後は天竜川の冷たい水の流れを聞きながら歩く約1時間40分ばかりの気分のいい散歩時間だった。開田では上部を雲に覆われた仙丈を眺め、最後の峠を越えたいつもの高台からは天竜川がうねる伊那谷を眼下にした。色彩の乏しい風景だったが、化粧気のない素顔のような気がしてそれにも好感を持った。
 
 明日の今ごろは、法華道を歩いているだろう。過去の約16年間、少し意外だが、例外が二度だか三度ほどあるだけで大概はいつも一人でこの古道を歩いた。それも冬に限って雪道ばかりだから、最近になっては、いい年をして大丈夫かと心配してくれる人もいる。「ゆっくり行くよ」とか「通い慣れているから」などと言ってはみるのだが、どれほどの効果があることか。
 確かに明日も急ぐ必要はないからそれでいい。しかし実際は、ある程度の緊張と、速度を保つ、言ってみれば「挑む、向かっていく」、そういう気持がなければ、登行を維持することは難しい。
 街の中を店をひやかしながらブラブラ歩くのとは違うのだ。荷を背負い、平地ではなく斜面を、単調な歩行を繰り返すわけで、根気忍耐が必要になる。それを支える意志がそれなりに求められる。
 もちろん、雪の古道は味わいがあるし、深く静まり返った森や林には惹き付けられる不思議な何かが棲んでいる。しかしそういうことを感ずるのは限られたほんの一瞬いっしゅんであって、殆どの時間はただ歩き続けることだけに費やされる。

 困難危険な場所はないし、歩く距離は大したことはない。スノーシューズなどという便利な道具もある。もうザックの中にはテント、寝袋、食料、そしてもっと重い登攀具などは入っていない。こういう重い物を背負い、二重靴を履き、ツボ足で何日も雪の中をもがくわけではない。
 上には住み慣れた小屋があり、ドロドロのウイスキーが待っている。今届いたばかりの豪華この上ない正月料理の数々も、選択に悩んだ末、大半は下に残すことになるだろう。送り主の厚意の重さに潰れて、遭難しそうだと悲鳴を上げたくらいだ。

 今年が終わる。その時が、すぐそこで待っている。幾つもの深い思いがよぎり、そして取り返せない過去へと去っていく。別れの言葉は少なめにして、もう会うことのない年と別れていこう。2022年に感謝。

 本年の独り言はこれで最後にいたします。聞いて下さり、ありがとうございました。どうか佳い年をお迎えください。敬白。
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     ’22年「冬」(39)

2022年12月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日は殆ど一日中雲のない冬の青空が拡がっていた。今朝は薄いまだら模様の雲が空の中央から南にかけて見えているが、それでも朝日の光は強く、今にもそんな雲を一掃してしまいそうだ。
 今朝も物置小屋の錆びた屋根の向こうに、雪を纏った経ヶ岳の山頂部分が輝いて見えている。あの山の標高は2296㍍と森林限界以下で、確か自然林や人工林が混生していたと思うが、幾日か前まで、そこにまるで重くのしかかるように相当の量の雪が降った。それも今は一服している状態か。

 冬の気圧配置、西高東低が強まれば強まるほど、県の南部に当たる上伊那、下伊那地域は愛知や静岡並みの好天が続く。ただし、気温はさすがに低い。もうすぐ9時になるが部屋の温度は5度、それでもPCに触れていても手がかじかむことはないし、今着ている物で充分過ぎる。
 また半世紀以上も前の子供のころの話になるが、鉛筆を持つ手がよくかじかんで、息でもかけて暖めなければ文字が書けなかった。いくら今冬は寒いさむいと言っても、池や田圃でスケートができるなどという話は聞かない。そう思えば、あのころは本当に寒かったのだ。
 もう今ごろは毎朝6時からスケートができ、それは良かったが教室は寒くて、唯一の暖房であるダルマストーブは昼前にはとっくに消えていた。今なら、子供への虐待だと叫ぶ親がきっと現れるだろう。因みにH君は学生服の下は肌着だったし、M君の足袋は一冬の間、踵の部分に大きな穴が開いていた。

 話は現代に戻るが、そんな寒い部屋で瞑想などと気取っていては身体に悪くないかと言われそうだ。しかし、その点はご心配なく。寒くては駄目らしいので、薄暗くした別の部屋で、暖房の設定温度を20度にしてやっている。昨日も1時間20分やった。
 どうやって時間を計るかと言うと、ローソクや線香を使うのだが、大体の目安は線香が3本燃え尽きるまでとしている。夜の散歩が1時間半くらいだから、どこら辺まで歩いたかなと想像して、およその時間を知ることもできる。
 正直、瞑想にはそれなりの忍耐が必要になる。終わると、まあ、決めたことをやったという安堵感というのか、達成感というのかがあり、今はそれが唯一の対価だ。まだ止めるつもりはないが、瞑想の効果については週間天気予報をあまり当てにはしていないように、特に何かを期待しているわけではない。
 このごろは、大量の雑念や妄念は湧いてこないが、それはきっとそれらを無理に抑制しなくなったせいだろう。
 
 食べる用意と片付け、入浴、たまに掃除洗濯、本を開く、独り言、これに散歩と瞑想、とこう呟けば冬ごもりもそこそこ充実した毎日のように聞こえるが、実際は虚しく老いの時を浪費しているだけかも知れない。

 きょうのPHぐらいの雪なら問題ないが、またその量がかなり増えて、もう車では無理のようだ。
 本日はこの辺で。
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     ’22年「冬」(38)

2022年12月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  きょうも夕暮れが迫る中、次第に空の青さが薄らいでいく。無音。
 年末のこのころ、この地域の天気は比較的安定して、西の空に浮かんでいるたったひとつの雲に、夕日が射して赤く染まっている。同じ空に、秋に伐ってもらった古い柿の木が、また伐り跡から無数の細い枝を寒空に伸ばしたようだ。椋鳥たちは失望するだろうが来年、春になったら、いまよりさらに半分くらい短く伐ることにする。
 どこにネグラがあるのか、1羽のカラスらしきが深い空を北の方へと飛んでいった。(12月26日記)

 伊那谷を挟んで、西の山と東の山とでは積雪量がかなり違う。特に目の前に見えてる西の経ヶ岳(2296)の山頂付近は、厳冬期並みの積雪量になっている。もっと標高の高い西駒や空木岳は、さらにその量を増やしているだろう。
 対して東は、3000㍍を超す仙丈岳やそれよりやや低い東駒が岳(甲斐駒)は別格として、2000㍍級の山々はそれほどの雪にはならなかったようだ。先日上に行って以来、あの辺りの山も少しは降っただろうが案じていたほどではなく、このまま年末年始が好天であってくれたら有難い。

 車を持てば任意保険の対人については、保険会社の巧妙な料金の仕組みで補償無制限に入る人が多いらしい。以前にも呟いた通り長野県の昨年の交通事故が4722件、負傷者は5696人、死亡事故は45人である。この数字を知ってか知らでか、保険料はかなりの額でも安心を買うためにと言い聞かせて多くの人が加入する。
 ところが、これが国の防衛費になると、次世代に送ろうとしたり、復興特別税から引き出そうとする。たったの、と敢えて言うが、1兆円、政治家はそれを国民に負担させれば選挙で反撥を喰らうのを怖れ、国民は防衛費の増額には賛成しても税金が上がるのは反対する。そういう情けない衆愚政治の一面を言ったまでで、自分の考えを主張するのは控えた。
 また、一発殴ったら、ボカスカに反撃されると分かれば、相手は攻撃してこないだろうという敵基地攻撃能力保持についての理屈も、与太者同士の喧嘩の話ではあるまいに、それほど当てになるのだろうか。
 それに何より、先制攻撃となれば、国際法にも、憲法にも違反することは明白だが、そこは防衛機密として曖昧なままにし、われわれに得意の「丁寧な説明」がなされることは殆ど期待できない。
 
 ロシアは存亡の危機に瀕している。こういう事態に陥ると分かっていたら、当然あんなことはしなかっただろうが、それを言ってももう遅い。強大国であったがゆえに、西側はこの機会に徹底的に叩き潰してやろうと結束し、課した制裁は酷しく、ロシアの国民は今それを身に沁みて感じ、今後も長く感ずるだろう。
 せめてこの「戦争」が、大国間の核戦争のさらなる抑止になるといいのだが。
 
 頂いた通信にはこんなところです。本日はこの辺で。

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     ’22年「冬」(37)

2022年12月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 知ったかぶって、以前に絶対温度が零下273.15だということを呟いたことがある。熱エネルギーがゼロになるのがその温度だとか。当然、では最高温度はということになるが、こっちは10の後ろにゼロが30以上もくっ付く物理学の話になって手に負えない。
 で、何が言いたいかというと、何度も呟くし、世間も寒いの大合唱だが、われわれ人間の温度変化に耐えられる範囲が、情けないほど狭いということなのだ。暖房機の設定温度を22度から2度下げただけで体調がおかしくなったと得意気に訴える虚弱体質のような輩さえいる。
 雪が降れば報道関係者は、どこで覚えてきたか「ホワイトアウト」などという片仮名語を連呼し、除雪に励む老人に、いかにもといった苦労話を語らせる。雪掻きは大変な仕事だし、それだけでなく雪国の暮らしは過酷で、それこそ2度、3度ぐらいの気温差で体調不良を起こすような余裕もあるまいに。
 因みにわが陋屋の室温は1度からようやく7度まで上がった。苦笑。高所用の羽毛服を着ているし、この後風呂に入るから、これで許容の範囲。え、「まるで戦火のウクライナの人たちのようだ」と、トンデモナイ、ここには砲弾など飛んできません。

 クリスマスも終わり、きょうを入れて今年も残り6日となってしまった。まだ先のことのように考えていたら、除夜の鐘が鳴る大晦日がもう、すぐそこまで迫っている。
 一昨日は幾日かぶりに夜の散歩に出た。5時に夕飯を用意し、酒1合と缶ビール500㏄を美味しく飲み、普段なら9時頃に出掛けるのをその夜は7時過ぎに家を出た。酒の影響があって珍しく、開田に上がる洞口(ほらぐち)の坂で息が乱れた。
 それでも広々とした開田に着くと、夜空に冬のダイヤモンド、その中でもひときわ目を惹くオリオン座が、神々しいまでの美しい光を放っていた。2022年前のこの夜だったか、「東方の3博士」が神の子の誕生を告げに現れたという話を頭に置いて眺めれば、キリスト教とは縁なき者にもその光はいつもよりかさらに清浄・神聖な輝きを見せてくれてるようにも感じ、遠い昔のベツレヘムの聖夜を想像した。
 散歩は週に2,3回だけれど、瞑想はほぼ毎日1時間続けている。心身に全く変化なし。クク。

 先日アマゾンからウイスキーが送られてきた。しかしこの場合は、送り主が分からない。これがアメリカ式かどうか知らないが、利用者は知っておいた方がいい。日本人の常識からすればとても考えられない。思い当たる人がいないわけではないが、さりとて間違えたら大変失礼なことになる。是非、ご一報ください。

 本日はこの辺で。
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     ’22年「冬」(36)

2022年12月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 どういう理由かは分からないまま7日間、iCloudとPCが同期しなかったのが昨夜直った。なぜ直ったのかは分からない。気になっていたPHの枚数についても、まだまだ容量を超えていないことがはっきりした。
 牛を探して森の中を歩いていたら、心配していた牛と一緒に見事なハナビラタケでも見付けたようなもので、ようやくモヤモヤしていた気分が晴れた。
 それにしても、こういう不具合をPCで調べようとしても、日本で英語力は100人以内に入ると自ら豪語する有名な数学者でさえあの片仮名語は意味がつかめないと雑誌に書いていた。それが今やウン千万以下かも知れない者になればちんぷんかんぷんは当然だろう。まるで地方の方言を、それと知らずにそのまま片仮名にしてしまっている、と思うくらいだ。
 IT全盛の時代と言われていても、炊飯器も、洗濯機も、いや石油ストーブすら正しく、かつ便利な使い方を知らない者が、この世界にこれ以上首を突っ込む資格も、その気もない。むしろ、これ以上の深みにはまることなく終わりそうで、有難いと思っている。

 冬の日が射し込んでいる。それでも気温はかなり低く、台所のコップに張った薄氷が今も融けずに残っている。先日身内の者が来て、この家の寒さに呆れて帰っていった。そうかも知れない。なにしろ午前11時、ようやく室温が10度近くになって、寒さという荷をやれやれと言って下ろしたばかり、というような状況だからだ。
 暖房はある。前にも呟いた17畳用の石油ストーブと炬燵がある。今いる部屋は15畳くらいだろうから、それで充分のはずだが、しかし設定は最低温度にしてある。なぜか、灯油代がないからだ、年を越す金がないからだ、餅も買えない寝正月になるからだ、と必ずしもそういうわけではない。
 冬は寒い。サンタクロースは雪の道をトナカイの牽く橇に乗ってやって来る。南半球に暮らす人たちが豊満な身体を小さな布切れで隠し、クリスマスを波打ち際でハシャグ姿を見ても、違和感意外に何も感じない。
 同じように、暖房をバンバン効かして冬の寒さを忘れて暮らす、それに抗う気持ちがまだ少しだけだがある。毎朝6時からスケートをして、教室では寒くて足踏みをしていた。学校が終われば夕暮れまで近くの田圃でソフトボールをし、裏山で旧式のスキーに興じた。そんなころの鼻垂らし顔の小僧である自分が、先日この陋屋でも設置できるというエアコンを注文したら、目の前に現れて叱るのだ。困っている。

 本日はこの辺で。
 
 
 
 



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