入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「秋」 (24)

2019年09月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 この見慣れた風景も今年はきょうが最後で、囲いの中に残っていた20頭の牛の全頭が明日で山を下る。役目を終えた安堵感はまだ湧いてこない。
 
 春は鳥の声に興味を持ち、鳴き声の主の姿や名前を覚えようと、早起きをして来るのが楽しみだった。芽吹きのころの淡い新緑の色や、山桜の咲く山、遠くに見える残雪のアルプスに感動したのも、今では遠い記憶になりつつある。
 6月、牛が来た。今年は種牛も上がってきて、それで入牧頭数は少し増えて49頭になった。梅雨の時季だけでは足りなかったのか雨がよく降り、夏らしい夏はついにここには来なかった気がする。それでもこの間のことは毎年と変わらず牛の世話、人の世話に忙しくて、印象に残ることと言えばやはり星空だろうか。天の川銀河やたくさんの星々、星座、星雲を間近に眺め、子供も大人も喜んだ。撮影の仕事が2本入ったのは有難かったが、そのうちの1本は雨に濡れながら、機材の搬出が終わったのは夜中の2時、恐れ入った。
 そして、いつともなく待望の秋が来た。第3牧区の電気柵の調子が悪く、今年は放牧を断念し、そのために長く使用してなかった牧区にも牛を出す羽目になったが、しかしここで牛のこと、就中種牛のことは改めて呟かない。とても1行や2行では終わらない。また鹿による被害の苦労もこれまた尋常ではなかったが、今年はイノシシにも手を焼かされるというオマケまでが付いた。
 8月から始まった映画撮影は27日にようやく終わり、機材搬出も明日で終わる。実質的な撮影は10日ばかりだったが、その準備がかなりの時間と労力を要し大変だった。願わくば今後、牧場を中心としたこの一帯を活かす新たな方法の一つになってもらいたい。そうであれば、苦労も報われる。

 牛のいなくなった牧場で何をするかは、おいおい呟いていきます。牧を閉じるのはまだ先のことで11月の20日、さらに冬の営業も、目下思案中です。
 10月、いい季節がやってくる。まだそれほどでもないが、ポツポツ予約が入るようになりました。
 営業案内 「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」およびその(2)です。下線部をクリックしてご覧の上、どうぞご利用ください。
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     ’19年「秋」 (23)

2019年09月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 山室川を流れる水の量が明らかに減ってきている。台風や一時的な雨は幾度もあったし、例年と格別の違いはないと思っていたが、ここまで水量が落ちてしまったのは降雨量が少ないということだろう。人間の感覚よりか、川の方が正確だと教えてくれているようだ。キノコもその影響を受けたのか、今年は全く駄目だった。

 きょうも山は秋らしく、いい天気だ。青い空が広がり、白い雲が浮かんでいる。それにつけても今の時季、天気予報は難しいのか、また外れた。予報では土、日曜日とも雨だった。あれだけ確定的に言われて、この好天だと肩透かしを喰らった気になる。どころか、腹が立つ。何と言っても牧場の一画で細々やっている山小屋とキャンプ場なのだから、悪天を予報されその都度に予約取り消しが出るのは痛い。気象予報の影響は実に大きい。
 それが、滅多にしか見ない昨日のNHKの番組では、今や気象予報は将来的に有望な事業だと。で、そうした気象情報を当てにする企業が増えている例として、某大手製菓会社を取り上げていたのを、白けた気分で見たものだ。
 まあ、気象衛星や大型コンピューターなども駆使し、入手できる情報を可能な限り集め分析し、最高の予報がなされているはずなのだから、それで外れても仕方がない、と言われれば仕方がない。当たれば当然で、外れたら憤慨し、さらに予報の的中率向上を陰ながら期待するぐらいしか、できることはない。
 こう呟いておかないと、「天気予報に文句を言うな」と、抗議してくる者がいる。クク元気でやっているか? たまには沙汰を寄こしては、待っている。

 おきらくさん、一昨夜、車に枯れ枝が絡まり、赤坂口を少し下った所で車を停めて外しました。そして、その時仰ぎ見た星空の見事さにただただ一人で感動しました。

 それにしてもきょうは最高の秋日和り、爽やかで、静かだ。初の沢に落ちていく落葉松の林の色が、大分黄土色に変わってきた。10月、いい季節がやってくる。まだそれほどでもないが、ポツポツ予約が入るようになりました。
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     ’19年「秋」 (22)

2019年09月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

                               Photo by Ume氏

 先週末から天気は崩れるという予報で、人々は出控えたのか山は静かだ。紅葉にはまだ少し早いが暑くもなく寒くもなく、きょうのような天気の山こそこの季節に相応しく、一番にお勧めしたかった。
 
 昼を過ぎていただろうか、二人の女性の登山者が林道を登ってきた。かなりの年配者で疲労しているように見えたから、つい声を掛けた。そしたら、ヒルデエラ(大阿原)を周回するつもりが誤ってテイ沢を下ってしまったと話し、丸太橋が怖かったとか、どこへ行き着くのかずっと不安だったと言う。
 お節介ついでに軽トラの荷台に乗せて、入笠山の登山口まで送ってやった。そして、別れ際「田部井淳子じゃないんだから」と言ったら頷いて、年齢は二人とも77歳だと聞きもしないことまで教えてくれた。
 昨夜は山彦山荘に泊まったそうで、今朝入笠山に登ろうとしたまでは分かる。しかし、そこから歩きにくい裏道を下り、ヒルデエラを一周しようとしたのは年齢を考えるとどうだろう。それでもまだ湿原までは他にも登山者がいただろうから、何かあれば救援を求めることができた。しかし、間違えてテイ沢を下ってしまったのは明らかに失敗だった。きょうは午前中にテイ沢から来た登山者は二組目にしただけで、人気のない沢の中でもし足でも挫いたり、沢に落ちでもしたら、大変なことになっていた。途中で道を間違えたことは分かったはず。しかし、引き返さず、そのまま行先も分からないまま歩き続けた・・・。遭難事故でよく聞く話だ。
 気心の知れた二人で秋の静かな山歩きを楽しもうとする気持ちは分かるし、装備などを見れば山の経験もあったと思う。もしかすれば、入笠は初めてではなかったかも知れない。しかし道を間違えたということは地図を持っていなかったのか、それを読むことができなかったのか、そこまでは聞かなかった。
 そういうことも確かに大事だが、この人たちの場合にはいくら中級山岳の入笠山でも、杖になるもっと若い同行者が"必携"だった、と。

 10月、いい季節がやってくる。まだそれほどでもないが、ポツポツ予約が入るようになりました。
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     ’19年「秋」 (21)

2019年09月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 まだ囲いの中には20頭くらいの牛が残っているが、それでもすっかり寂しい牧場になってしまった。第1牧区へ上がってみれば、牛たちの消えたその風景には、どこへ行っても主役のいないもの足りなさを感じた。木漏れ日の射す森の中では「こんな所に」、というような場所にも牛の足跡や落とし物があって、一般には愚鈍だと思われているあの牛たちの旺盛な行動力が伝わってきた。
 ジャージー牛のチビはトラックに乗せようとしたら膝を折り、乗るのを嫌がった。どこへ連れていかれるかと、きっと不安になったのだろう。大型の和牛5頭に脅されながらも、いつも給塩の呼び掛けに一番の反応を見せた牛だった。下に行けば、出産が待っている。
 懸念していた種牛と和牛125番の2頭は、やはり一筋縄ではいかずにさんざんに手を焼かせてくれ、就中マッキー奴は、自分の畜主にさえ2度も激しい攻撃を仕掛けて周囲をヒヤッとさせた。



 そしてきょうで撮影も終了する。撮影日数そのものは10日ばかりだったが、その他の打ち合わせや準備などにも日時を要し、これはこれで長い仕事になった。先程、監督を始め主要な関係者に挨拶をしてきたばかりだが、その際に、牧場であることを充分に理解してもらい、今後の放牧に何の問題も残すことはなかったと言い添えた。監督はいつもと変わらず礼儀正しく応じてくれた。

 また下からは、牛の下牧を待っていたかのように鹿の捕獲に関する問い合わせが来た。同じ偶蹄類のせいか、放牧が始まると鹿の行動も大胆になり、一緒になって草を食んでいる光景をよく目にした。それだけでなく、牧柵の被害は圧倒的に鹿のせいで、大型の囲い罠から牛が下りたら、やはり何とかしなければならない。

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     ’19年「秋」 (20)

2019年09月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうの秋空の青さは感動的で、文句なし。朝来る時、初の沢の大曲り手前で、寛いでいたUme氏とT氏に会い、コーヒーを頂戴した。いい一日の始まりになった。感謝。
 おきらくさん、K-cha、それにJAXAのK氏と、きょうは思いがけずいろいろな人に会った。
 
 明日は山を下りなければならない牛たちはそのことを知らず、様子を見にいったらいつものように集まってきた。第1牧区にいる6頭のホルスタイン種の乳牛と5頭の和牛、それにこれも乳牛になるが1頭のジャージー牛、約4か月を同じ牧区内で過ごした。時には風雨に苦労し、心細い思いもしただろうが、中間検査以降に種牛のいる牧区に移動させられた牛たちよりか、広い牧草地で安気気楽に過ごすことができただろう。
 それに比べ、種牛のいる第4牧区へ移った牛たちは、子を宿すという大役を果たさなければならず、意に添わぬマッキーの求愛に耐え忍んだこともあったかも知れない。また、第4牧区のAから久しく放牧してなかったBへ、そしてさらには国有林の第5牧区へと草を求めて環境を変えた。脱柵はあったが、この牛たちも短い生涯の中で自由な時を過ごすことができただろう。
 そしてマッキー、お前は種牛として立派に大役を立派に果たすことができたろうか。さんざん手を焼かせてくれたが、来年も来ることになったら、反対はしない。1年ぶりだったか2年ぶりだったか、随分と印象が変わって猛々しく、しかも独占欲は驚くばかり強くなったな。来年は是非、人間の男と、牛の雄とは、相当違うことを学習してから来い。さもなくんば、教えてやる。

 夕暮れが近付いてきた。西日を浴びながら囲いの中の牛たちが、草を食んでいるいつもの風景が見えている。口は動かしているのだろうが、ほとんど止まったままで、動きはない。長い影がその牛たちを追うように少しづつ上へと伸びていく。

 ゴンドラの山頂駅からここまでは約1時間ほどです。入笠登山口を過ぎれば、ゆっくりとした下りになります。秋の山を楽しみながら来るにはちょうど良い距離かと。

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