入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「冬」(23)

2022年01月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうから2月。と、呟いて投稿してやれやれと思っていたら、海老名出丸さんからまだ1月と、連絡を頂戴した。ボケも極まれりだ。
 寒さはこれから最も酷しくなるとずっと思っていた。ところが、入笠において昨年最低気温を記録したのは確か1月の末だった。これは、第1牧区に伊那有線放送が常設した温度計があり、その記録を見て知ったことで、マイナス20度を超えると思っていたら意外にもそこまで落ちてなかった。
 今年はいつになく寒く、諏訪湖の御神渡りなども期待されたほどだが、今はそれも悲観的なようだ。

 世の中は相変わらずcovid-19の変異株が猖獗を極め、ウクライナだ、台湾海峡だ、北朝鮮のミサイルだと緊張の高まる報道が絶えない。にも拘らずここでは、暇に飽かせて日々能天気なことばかりを呟くだけ、それでよく続くものだと呆れられていると思う。
 確かに努めて、思慮の足りなさを晒すようなことは呟かないようにしている。例えば、オミクロン株は若者には毒性が低く、重症化率も高齢者に比べ高くないと言われている。それを良いことに若者や中年が、夜なよな盛り場を徘徊して感染を拡大し、そのくせ検査キットが無料とあればこれを欲しがり、PCR検査が行われると聞けば検査場に走り、気の弱い基礎疾患を持つ高齢者を憂鬱にさせている、なんて言えばどうか。
 あるいは、これは性病のようなもので、文字通りの男女の濃厚接触が感染拡大のかなりの割合を占めていて、それが家庭内感染にも影響を及ぼしている。よって「禁欲しろ!」なんて言えばどうか。
 後遺症の問題を無視して、4,5日我慢すれば若者は感染しても回復し、その上免疫という土産までもらえるから恐れることなどない、どんどん罹れ、なんて言えばどうか。
 ウクライナの問題にしても、プーチンの立場に立てば・・・、もう止そう。

 以上は、あくまでも例に過ぎない。このようなことをこの場で、いくら呟いてみても詮ないことが分かって頂けるだろう。悪くすれば、若者からはこんなヤロウが管理人をしている山小屋やキャンプ場へなんか行くか、ということにもなる。それではこの独り言の趣旨と合わなくなるので、どうか誤解のなきよう。たまには浮世のことも聞こえてくるので、冬ごもりのつれづれに見た午睡の夢のようなものと理解されたい。
 高尚なことは、それを語るに相応しい人たちが大勢いる。何もここで静かな湖面に小石を投げるような真似は慎みたい。そう、花が咲いた、鳥が囀る、風が吹く、といった入笠牧場や牛、それにこじつけた他愛ないことを話題に、一人称を使わず、カタカナ語も極力排除して呟く、ということでこれからもやっていきまする。

 ところで、キャンプの人気が大分高まっているらしい。かつてのスキー場のように、あれほどの面積は不要ながら、ウムー。本日はこの辺で。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’22年「冬」(22)

2022年01月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 思い出ついでに、きょうは山にちなんだ二人の女性について呟いてみたい。
 
 戦後間もなく、伊藤正一氏が、北アルプスの中央に位置する三俣蓮華小屋の経営を譲り受け、併せて湯又からの新しい登山道・伊藤新道に挑戦していたころの1冊の写真集がある。その1枚に、掘立小屋のような壊れかけた小屋の前で、「黒部の山賊」などと呼ばれた荒くれ男たちと一緒に写っている一人の若い女性がいた。顔はよく分からないが面長で美人ということにしておきたい。背丈もそれなりにあって、セーターにズボン、髪は長め、突然に現れても、現在の世に充分通用する女性だという気がした。
 どんな事情か知る由もないが、あんな山の中に、それこそ掃き溜めに鶴となって、人相のあまり良くない男たちと並んで写っていた。あれから何年が過ぎたのか、きっともう故人となってしまっているだろうが、それでもその写真の中に入っていければ、「こんにちは」ぐらいの声をかけてみたいと思ったものだ。
 いやいや、呟きが突拍子もないことになってしまったのだが、そんなことを考えてしまうほど、あの写真の女性には不思議な関心を覚えた。
 ついでながら、その写真集とは別に、伊藤氏の書いた「黒部の山賊」という本がある。F破氏に進呈してもらったのだが、あるキャンパーに貸してあげたらそのままになってしまった。本はまた入手できても、貸した相手には回復し難い気持ちが残る。

 もう一人、この女性も背丈は高い方だったと思う。場所は上高地辺りだったがその正確な場所をどうしても思い出すことができない。縦長のザックを背負い、颯爽として、一緒にいた男女の山仲間と越年の登山に向かうところのようだった。頭にはバンダナをして、上衣は着ずにこの人もセーター姿だったような気がする。厚手のタイツがスラッとした長い脚に似合っていたことが目を惹いた。印象的だった。
 むこうが橋を渡った所ですれ違った。それは間違いない記憶だ。こっちは一人で山から帰るところで、たったそれだけのことなのにそれでもなぜか覚えている。それが不思議だ。特別に目立つような恰好ではなかったはずだが、それでも目立ったのだ。顔立ちなどはもう覚えていないが、この人も美人にしてしまおう。
 まるで通勤のように気負いが感じられず冷静で、しかしその山姿からはそれなりに経験を積んだ人の雰囲気が伝わってきた。屏風や奥又、滝谷へ行くのだと言われても驚かなかっただろう。

 他愛もないそれだけの話だ。女性を仲間に加えて山へ行ったことがないというわけではないが、それでもこの人たちに勝る印象を残した人は少ない。
   
   ゆきずりの花の宴さびしくもたふとしや  檀一雄
 
 あの邂逅は宴でも何でもない。それでも、記憶は正確ではないかも知れないが、つい、この言葉を思い出した。本日はこの辺で。明日は沈黙します。
 
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’22年「冬」(21)

2022年01月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日あんなことを呟いたら、山道具に詳しい「裏番長」の異名を持つFさんから、さらに情報が寄せられた。それによれば、山道具には幾つかの「三種の神器」があって、まずザック、靴、雨具。これらは昔と変わらないが、他にも3種ほどの「三種の神器」を紹介するネット記事が添えられていた。
 この中の1種で、地図とコンパス、ヘッドランプ、ツエルトというのがあった。ヘッドランプは納得がいったが、地図とコンパスはいいとして、ツエルトと来た日には少し首をかしげた。確かに地図やコンパスは重要ではあるが、しかしそれが正しく読めなければ闇夜で文字を見るようなもの、せいぜいコースタイムの参考に役立つ程度だろう。また、ツエルトは簡単に扱えそうに見えて実際はそうではない。それより、水筒の方が大事だろうに。
 そして別の三種の神器には、やはりストックがまずあり、サポートタイツ、アミノ酸と列挙され、これらを三種の神器というなら最早なんでもござれで、ヘルメット、サングラス、気圧計、高度計、傷薬・鎮痛剤から最近の便利な用具が、まさかの酸素ボンベまで含めて続々と登場しそうだ。当然、山用品の製造会社やそれらを販売する店はほくそ笑む。
 
 きょうも昔話になるが、山は金がかからないから、というのが登山を始めた理由だという人が結構いた。会社の作業衣、帽子に地下足袋などという登山者も見た。「三人寄れば山岳会」なんてことも言われ、大学山岳部に伍して社会人山岳会が隆盛を見せた時代でもある。
 それが、ハイカラでおしゃれな格好をした登山者が目に付くようになり、便利で快適の法則に加え、格好良さもまた大事にされるようになった。ひところ「山ガール」などという言葉を耳にし、買ったばかりの短いスカートとタイツの組み合わせばかりを見せられた。かなり年配の女性も、そういう格好をしていた記憶がある。
 
 山も次第に都会化する。それに対して、昔がイイなどと言う気は毛頭ない。あの頃の方が山岳事故も多発したし、新聞記事にもなって社会問題化した。思い出せばいろいろあって、キリがない。
 当時の高度成長とは裏腹に、その波に乗れなかった若者が都会には多数いて、そういう人たちの中には山は救いでありであり、天国であると、酒のようなことを言う人もいた。「都会に暮らす田舎者が、週末ザックを背負い山に行くのは典型的な俗物だ」と揶揄されても、それでも山へ行けて嬉しかった。この嬉しかったという気持ちには少し後ろめたさもあり、人の目を盗んで逃げ出したような気分と近かった。
 今、山に来てそんなふうに思う人などいないだろう。あのころの山は、まだまだ里からも街からも遠かったような気がする。山は趣味かと聞かれれば、それよりもっと重いと捉え、抵抗を感じたくらいだから。
 
 本日はこの辺で。Fさん、了解しました。
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’22年「冬」(20)

2022年01月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 日の過ぎていくのが早い、週にしてもそうだ。ところがまだ1月、雪の入笠で新年を迎えてからのことを考えると、あれから大分時が経った気がして、令和4年の最初の月はそれなりに長かったと思う。これで2月、3月ともなれば、加速度が付いたようにまた時の去っていく速さを感じるはず、寒いながらも日々「人生の日向ぼこ」、まだしばらくはあまり急かさずに続いてほしい。

 入笠のことしか知らないが、最近は登山者の殆どが杖を利用者している。登山道が痛むから石突にゴムを付けるべきだと主張する人もいたりしたが、今ではそういう声も聞こえてこない。あれば杖は確かに楽だし、高齢者には最早や雨具と同じくらい、いやそれ以上の必携品のようだ。
 冬の季節が終わり、ピッケルが必要でなくなった最初の山行では、それまで頼りにしていた道具が手許からなくなり、よく手持ち無沙汰のようなものを感じたものだ。
 そんな記憶があるから、登山における杖の利用は理解できる。足元の悪い場所で、安定感を得るには頼りにもなるし、歩行の助にもなる。そうやって、便利な道具が山にどんどんと登場するようになってきたのに異を挟むようだが、個人的にはそういう物は使わない。
 ヨーロッパのまき場で老いた羊飼いが吊りバンをして、杖を持つ姿などを写真や絵で見れば、もちろんサマになっていて好ましくも思う。それでも、その真似をしてニッカーズボン、チェックのシャツにチロリアンハット、杖を持って牛の尻を追いかけようなどとは思わない。まだ、笑い殺されるだけの覚悟はできていないからだ。
 杖ばかりではなく、最近の進出目覚ましい登山やキャンプの用品に踊らされているような気がし、そう思えば遠慮しているしかない。有効性は充分に認めている。反対もしない。しかし、なくてもそれほど困る物ではないと思うが、違うだろうか。それと、咄嗟の場合に、惜しまず杖を放り出せるだろうか。
 いくら役に立つからといって、街中で若い女性が杖を突いたりした姿は、やはりおかしいだろう。それが、山では少しも違和感がないようになってしまった。老いも若きもで、面白い風潮だ。おそらくは、中高年から始まって、それが若い人たちにも波及していったのではないだろうか。
 
 自然に接する方法に商業主義の色合いが強まり、その象徴が杖だなんて(そんなことは思っていない)、どこかで聞いたようなことを言って締めくくったりすれば、「お前だって長靴にワカンを履いて、スノーシューズや山スキーなど使うな」と言われ、話はややこしくなる。
 以上、本日は世相に落ちこぼれた古い男の戯言、この辺で。2月4日から上に行きますゼ、皆の衆来なはれ!
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’22年「冬」(19)

2022年01月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 寒気が遠のいたのか、この時季にしては暖かい。もう午後も大分過ぎているのに、久しぶりにストーブを切っても、まだしばらくは窓から差し込む冬の日射しだけでも充分のようだ。気のせいか、ここから見える青空にも無機質な冷たさよりか、どことなく親しさのある温もりを感じる。どこかから聞き慣れない鳥の声も聞こえてくるが、それもきょうの陽気のせいだろう。
 また昔話になってしまうが、子供のころは本当に寒かった。それでも寒風吹きすさぶ戸外でよく遊んだ。今の子供たちにとってはシモヤケ、アカギレと同じく、寒中休みも、校庭でのスケートも、いつにか縁のない、過去の物語、風物でしかないだろう。子供と接することなぞ絶えて久しく、仮にそんな機会があったとしても、もう、何を話したらよいのかさえも分からない。
 
 2月の4日に上に行かないかと、東部の所長にメールで誘われているのに気付いた。まだ決めかねているが、足手まといになりはしないかという心配がある。急にそんな気持ちに襲われ、自分でも思いがけないことだと感じている。登山においても、登攀においても、これまでにこんな気遅れめいたことを思ったことなどないはず、初めてだ。
 冬の法華道を登るのは単独が主だったが、同行者がいたことが無いではない。誘われれば、連れていってやるぐらいの気分で同意したこともあるし、こっちから声をかけたこともある。それが、いつの間にかすっかりその種の"から元気"が失せてしまった。愕然としている。
 それにしても、一人なら、休みたいときに休み、歩けるだけ歩く。その判断は自分勝手にできるが、同行者がいて、しかも初めて一緒に登るとなると、年齢や体力のことを考えてしまう。不甲斐ない。法華道でさえこれでは、ブツブツ・・・ブツブツ(と、自虐の言葉、しばらく音声を消して呟く)。
 まあ、慣れた山道であり、自分の歩き方で行きますよと断って、好きなように登る手もある。もともと一人でも行く気は充分にあるのだから、そうしてみるか。
 
 こんなことを呟いていると、気分はすっかり山の中、例年にない深雪の中を歩いていく自分の姿が目に浮かぶ。そう、ヨロヨロと。
 本日はこの辺で。
 
 


 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする