入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「春」(42)

2022年04月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 雨が降っている。午前8時30分、牧場の気温12度とそれほど寒くない。こんな天気でも、鳥の声がよく聞こえてきて気分のいい朝だ。
 小降りの中を水回りの点検を済ませ、これから第5の牧柵補修に出る。雨が止めば、鹿の捕獲用の大型罠の準備が待っているし、午後にはまた撮影の下見がある。
 ここではいろいろな仕事をしなければならない。しかし、牛守としては入牧までには1ヶ月と少々しかないから、今から少しづつでも本業の牧場の仕事をしたいのが本音だ。今年は、放牧場所については冬の間に考えていた案があり、それを実行できれば牛の数が増えても、牧草については今年はかなりの余裕が出てる。良い案だと思うが、さてどうなるか。

 目の前に見えている放牧地は、たった1週間の間にも鮮やかな緑の色を拡げ、特に囲いの中は枯草よりか最近生えてきた緑の新芽の方が、いつの間にかはるかに領域を広くした。この草に釣られて、牧場ばかりかキャンプ場にまですでに鹿の侵入が始まっていて、毎日のようにキャンプ場の鹿の落とし物を拾っている。
 鹿については、連休前に一度は捕獲しろと下から催促が来ている。そう言われなくても、そのつもりだが、キャンプ場にテントが張られたらあれだけの距離があっても鹿は警戒して罠の中に入らなくなる。となると、今夜か明日の夜しかない。
 21日に誘引を開始したら、翌日にはもう効果があり、5か所に置いた誘引用の塩にはすべて反応があった。しかし、この塩による誘引も、連続して続けていては効果が薄い。何度か間を置きつつ誘引を続けて、鹿を安心させてから仕掛けるというやり方が、これまでの経験から学んだ最も効果のある捕獲方法だと信じている。
 昨日は強い雨と風で断念するしかなかったので、きょう午後に準備を済ませておいた。さてどうなるか。待て、明日はかんとさんが来て一晩中星の狩人になる。そうなると、今夜だけだ。ウーン。

 突然ですが、データー使用量がもうすぐ超過しますので、このうるさい独り言をしばらく止めて、来月まで大人しくしています。
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 本日はこの辺で

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     ’22年「春」(41)

2022年04月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 朝5時半起床、まず風呂に入り、朝飯と弁当の用意を済ませ、そうなればもう家にいる理由はない。咲き始めたサツキだかツツジの花をしばらく眺めて、6時半には家を出た。



 それから今朝もゆっくりと、山室川の流れる谷を上がってきた。荊口の「道場」の辺りから見た落葉松の林はいつの間にか鮮やかな緑の色に染まり、薄い緑色のケヤキやクヌギと競うように里山の豊かな表情を見せていた。
 芝平の公民館の少し手前、毎年一番先に咲き出すヤマナシの白い花が咲き始めていたのには驚いた。牧場でも見慣れた木だから多分間違いないはずだ。それとは対照的に、少し先の分校跡の豪華な桜はその峠を過ぎたようで、葉桜が目立つようになってきた。花の最盛期は、次第に標高を上げつつあるようだ。
 住む人のいなくなった廃村の春は侘しさが漂う。それでも主のいない荒れた家の庭にも律義に今年も何種類かの花が咲き出し、いつもの春と変わらない。谷を流れる山室川も、赤や桃色が点在する両岸の風景に清新さを添え、爽やかな音を立てて流れていた。常緑樹であるサワラやモミなどもよく見れば新しい葉を枝先に伸ばし、その部分だけは疲れ気味の深緑の色とは違って、若々しさを感じさせる明るい緑色をしていた。
 峠に出ると、もう外した方が良いと思う通行止めの馬がそのまま放置されていた。あれでは、肝心な時でも無視されてしまうに違いない。
 この辺りまで上がってくると、森の様相は里とくらべたら1ヶ月以上も遅く、落葉松の林は遠くからは薄い緑の色が靄のかかったように見えるだけで、その他の樹種も芽吹きは始まっていても、まだ浅い春の中に躊躇っているようだった。

 午後は急に気温が下がり、雨まで降り出した。時折風も強く吹く。全くこの時季の気温の変化の激しさには慌てさせられる。
 そんな天気の中でも改めて見ると、ここから目に入る雨に濡れたコナシの木全体が大分ブドウ色を帯びるようになってきた。山桜の木は開花も始まっているし、後10日もしないうちに、今の色彩の乏しい愛想のない森や林は、もっと生気に富んだ明るい風景に変わるだろう。
 きょうで水系統の問題は解決した。明日からキャンプ場にも人が来る。大分忙しくなる。

 まだ連休の予約は大丈夫です。例年ながら連休は比較的空いています。
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     ’22年「春」(40)

2022年04月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 驚いた、1日にして、いや、朝と夕方とで山室川の流れる谷の様相は一変していた。昨日の帰り、ここを通ったら朝はまだだった花が、たった10時間にも満たない間に咲き出していたのだ。上にいても確かに気温の高さを感じていたから、それでここの花の開花が一気に進んだのだろう。
 いつもよりか早く上の暮らしを始めようかと呟いたばかりだったが、そうするのにこれでひとつ気掛かりがなくなった。山や谷はこれまでの殺風景で不愛想な色彩から、薄緑の淡い色彩を日毎に塗り重ねていくようだ。(4月24日記)

 きょうは文句ない天気、牧場の指標木にしている山桜の開花が、すでに始まっていた。朝から鳥の声もよく聞こえてくる。ウグイスの声もする。
 第1牧区へ上がったら、大きな青空と画して北アは三国堺から遥か中アは越百の先まで、白銀の長大な山並みが続き、その雪も視線が北に向かうに従い標高を下げ、後立山は山腹全てが白かった。ただ、その純白の色は最早冬の殺気のある冷たさとは違って、この時季に見られる気温差の感じられる色だった。
 いつになくクッキリと見えていた御嶽山と乗鞍岳は、山容が男と女くらいの違いがあるのに、その違いがあって並び聳える二つの山は、それぞれがそれぞれを引き立てていると思いながら眺めた。

 テイ沢を来た単独の登山者に沢の様子を聞こうと声を掛けたら、かなり荒れていて、丸太橋も痛みがひどいという話だった。また、倒木が登山路を塞いでいて高巻きを余儀なくされたとも言っていたので、この倒木については先日東部支所の所長からも聞いていて気になっていたから、急いで行ってみた。


 
 沢に入るのは今年初めてだった。9か所に架けてある丸太橋のうち、下から2番目の橋のように、丸太を全とっかえするしかない橋もあれば、そうでないのもあった。また、倒木の処理はいずれすることにして、きょうは敢えて手を出さなかった。あの個所の高巻きは足場が不安定だし、あの状況を見て無理せずに引き返してくれたらという気持ちも内心あったからだ。
 テイ沢の丸太橋については現在関係方面と話し合いを進めている。はっきりとすれば、ここでもお知らせしたい。

 まだ連休の予約は大丈夫です。
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     ’22年「春」(39)

2022年04月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  連休が終わったらとか、あそこの枝垂れ桜が咲き終わってからなどと考えていたが、里に帰らず上で暮らすようになるのはもっと早くなるかも知れない。やはり、通勤に要する時間が往復2時間半はかなりの負担になるからで、ここまで来る間に自然の細やかな変化、移ろいを楽しむことができるのは有難くも、毎日があわただしく、もう少し余裕が欲しい。
 昨夜も7時ごろ家に帰り、夕食後気が付いたら滅多にしたことのないうたた寝をしていた。そのせいでか、午前3時に目が覚め、しばらくそのまま布団の中にいたが、面倒だからと4時半ごろには起き出した。そして朝風呂に入り、朝飯と弁当を用意し、天気もよいからといつもよりか1時間以上早く家を出た。
 こんな生活では余裕のないのも当然かも分からないが、里と山との往復に使う時間を朝夕ここで過ごす時間に回せば、もっとゆっくりとできて身体的にも楽だし、仕事以外のことも少しはできるかも知れない。それに、ガソリン代が大分値上がりしているから、それを節約できることはなによりも大きい。個人的なことは大雑把だけれど、牧場の状況がそれなりに分かるから、こういうことには気を遣う。長年の務め人だった習だろう。

 昨日、何より水は人にも牛にも欠かせない大切なものだから、少し遠い水源に様子を見にいってきた。これまでにも一冬の間に水脈に変化があったり、地中に埋設してある水道管が破裂したりと予想外のことがよく起こり、本当に、牧場の管理と同じくらい手をかけて来た。今年も、一箇所破裂したが、これは大したことはない、すぐ直る。
 水源のある渓へ下りていったら、近くを流れる瀬の音が耳に届いてきた。何とも気持ちの和む澄んだ水音で、水量や流れる渓の状況で音は変ってくる。テンポのゆっくりとした木琴のような音から、瀬を急ぐ水のピアノに近い音まで、清澄な水の演奏分野は広くて深い。
 取水枡の重いふたを開けたら、透明な水がこんこんと湧き出ていて、それを見た時の安堵感というのか、感動というのかは、先日ようやく林道の雪崩の跡を何とか通過できるようにした時以上に大きかった。手の切れるような冷たい水を1杯だけ掬って飲んだ。ウイスキーをドボドボと枡の中に注いで、その水割りを飲みたいと思ったほどだった。
 露天風呂の補修が済めば、ここの水が流れ下って柔らかな極上の湯に変わるだろう。
 
 まだ連休の予約は間に合います。
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 本日はこの辺で。明日は沈黙します。

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     ’22年「春」(38)

2022年04月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 上で使っているPCに題名を入れようと「’」を打つと『’21年「冬」』と出た。昨年の12月、ここを閉じた時はこれでも間違ってはいなかったけれど、もう冬ではないと気付き訂正した。ところが、「’21年」には全く注意が行かず、題名は二日続けて昨年のままだったことを、親切にもわざわざメールで教えて貰うまで分からなかった。
 無論新しい年になったことはいくらなんでも分かっている。それでも、今が2022年だとか令和4年だと言われても、情けないことにもうそんなになるのかと思うだけで、年の過ぎていく速さに感覚が追い付いて行かない。というよりか、今や今年が何年であろうと、少しも困らないような日常生活になってしまっている。
 他人には分かっても、自分ではそれと知らずに認知症を深めるということもあり得る。そう考えて、この呟きがあまり間違いばかりするようになったら、そろそろ、と考えるつもりでいる。まだ「そろそろ」かどうか判断に迷うが、そうなったら教えてくれろと、やはり一人暮らしを続けている千葉在住の友人某には頼んである。もっとも某が先か、こっちが先か分からない。

 昨日、通勤と作業用の軽トラが届いた。「個人的な意見」だが、クク、あの軽トラは申し分のない乗り心地で立派な乗用車である。いつだったか、友人のレクサスとかいう高級車に乗せて貰った時、しばらくしたら臀部に軽い痛みを感じ、ついそれを言ったら同乗者全員から大笑いされた。
 しかし、今でも分相応の、これほどぴったりの車はないと思っている。自分の車ではないと断るが、プレジデントにもポーシェにもメルセにも乗ったことがあるけれど、残念なことに製造は中止されてしまったこの軽トラが、最も履き心地よい慣れた靴であり、ズボンでもある。
 今朝は、その軽トラのラジオでモーツアルト、ハイドン、そしてベートーベンさまを聞いてきた。ハイドンさまは途中で山室の谷に入って諦めたが、峠に出た所でベートーベンさまの何と「皇帝」が折よく丁度始まった。この曲には切ない記憶がある。
 愛車は届いたし、途中では名曲も聞け、しかも上に来たら、水道から水が流れ出ていた。管の途中がまだ凍結していたのだろうか。今年も少しづつ山も小屋も、そして番人も、調子が出てきつつある。

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