入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「夏」 (28)

2019年07月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 朝曇りの空に、白い太陽がしばらく写っていたが、再び消えた。なかなかスカッとは晴れてくれないまま7月が終わる。昨日から3泊の予定で来ているO谷家ご一統が活動を開始したようで、キャンプ場の方から人声がする。
 上に泊まった翌朝は、何となく気だるい気分が残る。それでもまだ皆が寝ている間に、やるべきことを済ませようと動き出す。特にトイレ掃除はやるころ合いが難しく、しかし、今朝はもう終えた。露天風呂の掃除と、水張りも手間と時間のかかる仕事だが、これはまだやらない。
 普段はここに泊まれば朝一番で牛の様子を見に行き、その際に一定の頻度で給塩をする。しかし明日は中間検査があるため、控えておくことにした。そうすれば塩を欲しがる牛たちは呼べば恐らく付いてくるから、検査場までの牛の誘導が楽になる。
 問題は第4牧区の種牛。牧区に入ろうとすると、すぐに近付いてきて威嚇しようとする困った牛で、どんな態度に出るか予測できない。2ヶ月近くの奇妙な関係を、残り2ヶ月このまま維持していかざるを得ないが、誠に気が疲れる話だ。
 きょうの牛は県のグランプリを取った11番。この立派な角は気を付けないと、相手に悪気はなくも、何かの拍子で引っ掛けられることがある。



 予定ではテント泊だったこの人たち、生憎なことに初日が悪天だったため、予定を変え小屋泊まりとした。そして昨日、屋外に移動した。幸い、天の川を始め夏の星空を眺めることもできて、まずまずだったのではないだろうか。アメリカ大陸を1ヶ月かけ歩いた男たち二人、そして女性は二人とも長野県出身と、話題も豊富な人たちだった。

 小屋は、当面ですが8月は9日から12日、14日から17日(予備の仮押さえ)、21日から23日、そして9月は4日から6日、が貸切りで埋まっています。どうしてもという場合、他に10畳2間あります。また変更の可能性もあり、予約時に確認願います。

 営業案内 「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」およびその(2)です。下線部をクリックしてご覧の上、どうぞご利用ください。


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     ’19年「夏」 (27)

2019年07月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

             干潟星雲(手前)と三裂星雲      Photo by かんと氏(再録)

 一昨日は蝶で、きょうは星雲。
 あのか弱い生き物が、風や雨と闘いながら、2千キロを飛んでいく。波間に消えることもあるだろう。また、そういえば、鶴がヒマラヤ山脈8千メートルを超えていくという話ががいつともなく語られ、実際にそれが確認され、映像にもなった。幾度かの挑戦を繰り返し、ついに一群となって高空を渡っていく・・・、その幾つもの黒い点のような鳥たちの必死な姿に、心奪われた、泣ける。無人の探査機、あのボイジャーとも重なる。
   
   ヒマラヤへ行きたしあはれ雪渓を峰を越えゆく鳥に知らゆな   藤島泰樹

 あやふやな記憶で、漢字使用が正確ではないかも知れない。

 そして、きょうは大宇宙について語りたかったが、蝶や鶴よりか無謀な企みになりそうなので、やめた。かんとさんの天体写真で各位が無窮の遠(おち)へ、思いを馳せていただきたい。

 小屋は、当面ですが8月は9日から12日、14日から17日(予備の仮押さえ)、21日から23日、そして9月は4日から6日、が貸切りで埋まっています。どうしてもという場合、他に10畳2間あります。また変更の可能性もあり、予約時に確認願います。

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     ’19年「夏」 (26)

2019年07月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
       アサギマダラ               Photo by Kaku氏

 今朝来る途中、このアサギマダラだと思われる蝶を見た。車の前を飛んでいった。もしかすれば衝突してしまったかと、急いで車を停めて振り返ったが、もうその姿を再び確認することはできなかった。もう1頭、別な蝶も一緒だったが、そっちの方は目を惹くような種ではなかった。どっちにしても一瞬のことだった。
 夏が終われば、こんな危う気な蝶が山を越え、海を渡り、与那国島や、もっと遠くの台湾までさえ2千㌔以上の距離を飛んでいくのだそうだ。1日の飛翔距離は200㌔を超えるというから、これも凄い。寒さを避けるためとはいっても、よくもこんな途方もない努力をしながら、こんな小さな生命が生き続けているものだ。感動する。
 海を眺めながらも深海のことにまで想像力が及ばないように、普段の生活の中では、自然や生物はあまり多様過ぎて、それほど細部にまでは思いは至らずにいる。ただこうして時に、こんな1頭の蝶との出会いが、この惑星の持っている想像を超えた奥深さを教えてくれ、考えさせられる。同時にまた、何にも知らずに生きてきたなぁと、そのことにも。

 台風のせいで、雨が降ったり止んだりしている。その間にも、鳥の声がよく聞こえてくる。梅雨が明けるのは明日28日、この台風が去った後だろう。きょうは、週末だというのに、自転車に乗った何人かが小黒川の方へと下っていったのを見ただけだ。
 大分キャンプ場「C」のコナシの枝が徒長した。「星見の湯」から眺める天の川に影響するので、枝打ちをしようとしているが、悪天候がなかなかそれをさせてくれない。

 小屋は、当面ですが8月は9日から12日、14日から17日(予備の仮押さえ)、21日から23日、そして9月は4日から6日、が貸切りで埋まっています。どうしてもという場合、他に10畳2間あります。また変更の可能性もあり、予約時に確認願います。

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     ’19年「夏」 (25)

2019年07月26日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 ご覧のように、第1牧区までイノシシの被害が出てしまった。こんなことは初めてのことで、昨日の朝、風呂に入っていたら久しぶりにやってきたTDS君は、梅雨寒のせいではないかと言っていた。確かに、長く続いた雨で気温が上がらず、森にはイノシシの食べる物がなくなってしまったのかも分からない。
 
 昨夜は上に泊まった。入笠旅館組合の組合長に呼ばれ、9時ごろまで話し込んでしまったせいだ。こんな生活が続くから、里では用事があると早朝に足を運んでくれる人が増えた。ところがこれから家に帰れない日がもっと続くようになると、今以上に里の暮らしとの調整が難しくなる。1日を閉じる2,3時間の祭りのためにわざわざ山道を1時間以上もかけて下るわけだが、それができなくなりそうだ。
 都会で暮らしていたころ、残業が深更まで続き、近くのビジネスホテルに泊まることもあったが、やはりそれは味気なく、できれば寝るだけであっても狭い我が家へ帰ろうとしたものだ。「塒(ねぐら)」は人にも動物にとっても特別な場所で、どれほど粗末であれ、散らかっていようが、自分の肌感覚に一番近い所だと言えるだろう。
 遊子となってあの歌人や俳人のように、土ぼこりの舞いたつ野良道を幾つもの山を越え、川を渡る行方の定まらぬ旅に憧れたこともある。しかし、自らを落ち栗になぞらえ、転がった先を己の最終の場所と決めた俳人のように、旅を棲み処とした大酒飲みのあの歌人も、終幕を意識すれば安住の地を求めた晩年であっただろう。
 粗末ながら塒はあるが、まだ定まるまでに至ってない。あまり先のこととは思えないが。
 
 もうすぐ5時、カーテンの隙間から見たら、いつの間にか夜が明けていた。牧場(まきば)の朝だが、まだ頭の中は眠れぬままチビリ、チビリと飲んだウイスキーのせいで、新しい朝を迎えるに相応しくない。
欧州は、猛暑で40度を超える日々が続いているらしい。「温暖化」などという言葉では済まなくなる。

 小屋は、当面ですが8月は9日から12日、14日から17日(予備の仮押さえ)、21日から23日、そして9月は4日から6日、が貸切りで埋まっています。どうしてもという場合、他に10畳2間あります。また変更の可能性もあり、予約時に確認願います。

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     ’19年「夏」 (24)

2019年07月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など




 まるで犬と変わらない。塩場で見た限り、牛の姿はどこにもなかった。昨日もそうだったが、きょうもどうやら雷電様のあたりにいるだろうと、それで大きな声で呼んでみた。すると待つことしばらく、来たきた。走って来るから余計に可愛い。

 もう幾日も前になるが、夏休みの帰省の体験を少し呟いた。その続きのようなものだが、20代前後のあのころには、東京と信州の往還に実はもう一つの楽しみがあった。思いがけない出会いである。中学や高校時代の懐かしい同級生と、帰省や上京の列車が一緒になることがあった。
 その時は、長い夏休みを無為に過ごし、気乗りのしない都会の生活をするために上京する時だった。その人は中学時代の同級生で、好意というよりか、好感は抱いていたと思う。向かい合いの座席に座り、何年ぶりだったのか、久闊に話が弾んだ。
 ところが生憎、こちらにはトンチンカンな連れがいて、その関係のない男が絶えず話題に口を挟み、折角の機会を、いつまでも際限のない年寄りの茶飲み話のようなものにしてしまった。今でも思い出すと腹が立つ。彼女が何畳の部屋に住もうが、それが親戚の家であろうとなかろうと、一体それがどうしたというのだ。それでもそれに対し、Aさんは丁寧に答えていた。
 新宿駅で別れる時、聞けばきっと連絡先を教えてくれたと思うがそうしなかった。未熟だった。しかし、だからこんなふうにして思い出すことができる。仕舞い忘れた真っ白なキャンバスのまま、その後の彼女の消息は誰からも聞かないことに決めた。

 ムー、入笠牧場と全く関係のないことを呟いてしまった。それも遠い昔の話だ。久しぶりに眺める青い空と、浮浪・漂泊を誘う白い雲、今ではどこへいくこともかなわず、
 
 落ち栗の座を定めるや窪溜り   ー 井月 -
 
 の心境を真似て呟いてみたりして。TDS君、FMZ君、本日はこんなもんです。トンチンカンな男が誰だか分かりますね。

 小屋は、当面ですが8月は9日から12日、14日から17日(予備の仮押さえ)、21日から23日、そして9月は4日から6日、が貸切りで埋まっています。どうしてもという場合、他に10畳2間あります。また変更の可能性もあり、予約時に確認願います。

  営業案内 「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」およびその(2)です。下線部をクリックしてご覧の上、どうぞご利用ください。


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