入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「冬」(13)

2020年11月18日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

        Photo by Ume氏

 落葉した樹々やその枝の間を冬鳥が巧みに飛び交っている。あの速さで、よくも木やその枝に衝突もせず狭い空間を素早く飛翔するものだと感心する。特にコナシの木の枝のように煩雑に徒長した枝の間をすり抜けるのは、相当に危険ではないかと思うのだが、人や車の立てる物音の方が脅威らしく、そちらを優先して飛び去っていく。何かの本で読んだ曖昧な記憶だが、野鳥が成鳥にまで育つ確率は2割とか3割くらいしかないとあった。天敵なども考えられるが、危険で難しい飛行のせいかも知れない。
 野鳥ばかりか鹿もかなり急な斜面を上下するし、藪の中にも逃げ込む。足を挫いたり、あの大きな目を小枝の先で突き刺すようなことはないのだろうか。今も囲いの中にいる雄鹿たち、まだ立派な角を誇示するように保持している。いずれ冬の間に落角することは間違いないが、それにしても行動するには相当の不自由もあろうに、進化の過程でもう少しその大きさを調整することができなかったのだろうか。いつだったか御所平の夕闇の中で2頭の雄鹿が角を突き合わせて闘っているところに出くわしたことがあるが、子孫繁栄のためには見るからに邪魔そうなあの角も、必要なのかも分からない。
 それにしても、罠の中の5頭の雄鹿に1頭の雌鹿というのはどういうことだろうか。これが雄雌の割合が逆なら納得できるが、その雄鹿の数からすれば、かなりの大きな群れだったことが考えられる。複数の群れだったかも分からない。
 これは単なる空想だが、もしかすればこの雄鹿が引き連れていた雌鹿たちは、囲い罠の危険性についてある程度の学習ができていた、ということが考えられないだろうか。9日に12頭捕獲して、11日に殺処分している。15日には雌雄2頭の鹿が入っていた。ここの牧区を縄張りにしている鹿たち、その多くは雌鹿だから、いくら好物の塩で誘引されていても入るのを躊躇していた、そのわずかの間に雄鹿の行動で罠が作動してしまった、という可能性である。

 好天が続く。澄んだ青空と一段と渋さを深めた林や森に、さらに冬の足音が迫る。昨日で露天風呂の養生は済ませた。追い上げ坂の草刈りに行ったら、幾箇所かにまとめておいた草の山は鹿の褥になっていた。富士見のゴンドラは15日から点検休業に入ったらしい。そのうち、今は規制の解かれた道路も、すぐに通行止めになるだろう。山や牧は今が一番静かで、本来の自然を取り戻したような気がする。
 本日はこの辺で。
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