君の誕生日 6

自分ならどうなるか？いや、想像したくない。
字数制限があれば「セウォル号事件で息子を失った家族の喪失と再生の物語」なんだろうけど、そんなんちゃう。愛する息子を失った喪失感と絶望、映画の大半を占めるこのシーンでもまだ親の悲しみを表現しきれているとは思えない。もちろん、共に故人を想ってくれる人たちの支えを頼って、立ち直らないといけないんだろうけど、誕生会だけでそんな切り替えられへんだろ。

アンダードッグ 前後編 7

いろんな形で負け犬になっている３人のボクサーが、自分の生きる道を探していく話。2本合わせると4時間以上の大作だが、クライマックスの試合シーンを含め、カッコ良くすかっとは行かず、もがきながら進んでいく。だから目が離せなくなり、長さを感じなかった。ロッキーに代表されるような、ダメな前ふりあってキッカケで燃えてエイドリア〜ンな映画も大好きだけど、実際はそんなことない。でも周りの人に支えられて、ダメでも失敗しても生きていく。負けても最高と言われるような生き様をみせたい。

フードラック 食運 6

腹減った！
ということは成功しているということ。寺門ジモン監督による焼肉映画。料理というと煮たり焼いたりがメインになりがちだけど、そこに至るまでのプロの仕込みにスポットを当てているのが素晴らしい。焼肉屋さんで出てくる肉、タレ…A5 とか黒毛和牛とか、素材のよさばかりに目が行ってたけど、ちょっと見方が変わった。ということで焼肉ランチ行ってこよう。キャベツの千切りあるかなぁ？

タイトル、拒絶 5

出落ちの前のチラシ落ちかな。
伊藤沙莉がブラジャー姿で叫ぶチラシに惹かれて見に行った。いろんな境遇を抱えたデリヘル嬢の控室の物語だ。そりゃ事情はいろいろあるだろう、でも女性監督だからなのか、風俗というビジネスに対しての見方がステレオタイプすぎる気がした。伊藤沙莉もそれを傍観する立ち位置にいるのはちょっともったいないかと。社会でやってけなくて、不幸で、とかだけでなく、その中でも生きていく逞しさみたいなものは表現できたのではと思う。

水上のフライト 5

まあ普通だこと！
オリンピック候補だった高跳び選手が交通事故で下半身不随に。でも母のすすめで昔やっていたパラカヌーとそれを楽しむ子どもたちに出会い…。もう最後までわかったでしょ。その予想からカヌーのようにまっすぐブレなしに進む物語。以上です！編集長。

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒 4

手段と目的
ストップモーションアニメのスタジオで膨大な手間ヒマをかけて撮影された壮大な物語。そのクオリティはすごく、スムーズすぎてCGと見分けがつかないほど…ちょっと待て！CGで良かったんちゃうの？
造形の可愛さはあるものの、物語は普通だし、となると手間がかかっていることだけがウリか。インスタントの「じっくりコトコト煮込んだスープ」ちゃうねんから。

PLAY 25年分のラストシーン 6

1983年から25年撮りためたホームビデオを編集したという設定の少年成長物語。
本物かと騙されるくらいのリアリティはあるし、しっかり少年のアホシーンは経験してきてるで、懐かしくなる作品だ。よくできていると思う。ただそう見せるための工夫なのか、テンポが悪くそれぞれのシーンが冗長になるし、イマイチ盛り上がりに欠ける。あと最後の強引な展開でおもいきりフィクションの現実に戻される。設定とかチャレンジはメッチャオモロいと思うんだけど。構成の問題かなぁ。

ホテルローヤル4

おもてたんと、ちょと違う
不本意ながら田舎のラブホテルを継ぐことになった女性の目からみた人生模様。いろんな人の非日常が私の日常って言ってたけど、波留の淡々とした演技が盛り上がりに水をさしていた。女性作家の自伝的作品だからかもしれないけど、それぞれのエピソードがちょっとシャレてて、インパクト薄くて。コメディにしたほうがよかったんちゃうかなぁ。

おらおらでひとりいぐも 4

つらいわい。
予告を見る限り、ピクサーでやってたインサイドヘッドばあちゃん版だと思ってた。全然違った。夫を亡くし、子供とも疎遠になったばあちゃんが孤独と自由の間を、昔を振り返りながら生きている日常の物語。人の幸せの判断に首を突っ込む権利はないけど、寂しいし、自分の親や自分の将来について考えて寒くなった。
毎日寝て起きて、飯食ってテレビ見て、図書館と病院通っての変化なき毎日。無理ならどうしたらいいか、今から考えて仕込んでおかないと。

彼女は夢で踊る 6

ホントに女々しいのは、オトコなんよ。
そういうところがよく表された映画。昔好きだった女に、青春をかけた場所に、いつまでたっても想いを寄せる。女は他の幸せをみつけ、場所は朽ちていくのに。愚かで、自分本位だよね。でもメチャ共感できるわ、そのあたり。

罪の声 7

スッキリ！
原作を読んだのは数年前。重厚だけど、思い入れの強いタイプの文章と文量に圧倒されてしまった覚えがある。時間をかけた取材から来る細かいディティールに、頭を混乱させられたのだ。でも映画はうまく取捨選択して、すごくスムーズにまとめてきたと思う。2時間半は苦にならなかったし、いろんな辻褄も気持ちよく合わせてくれた。そんな中で共感したのが、不幸を掘り返して真実を突き止めるという新聞記者の意義への疑問。そうなんだよ。

相撲道 6

これは劇場でみないと。
タイトル通り、大相撲の力士の姿を追いかけたドキュメント。ふつうドキュメントってテレビで見ても問題ないけど、これはあかん。迫力と音が違う。
相撲界独特の世界を垣間見れたところもあるけど、たぶんドキュメントとしては浅い。ただあの肉と肉がぶつかる音、ふくらはぎの形、それを確認できるだけでも価値がある。頑張れ竜電！