仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

惑星大戦争

2017年07月23日 | ムービー
『惑星大戦争』(1977年/福田純監督・中野昭慶特技監督)を見た。
物語は、「世界各地での未確認飛行物体の出現と大規模な通信障害が発生し続けていた1988年の秋。国連宇宙局本部勤務の三好孝次(森田健作)は2年ぶりに帰国し、友人の室井礼介(沖雅也)、滝川ジュン(浅野ゆう子)、冬木和夫(宮内洋)と旧交を温めていたが、松沢博士(大滝秀治)からの連絡により日本支部を訪ねたところ、回復した宇宙ステーション・テラとの通信中の事故に立ち会うこととなってしまった。三笠忠(新克利)からの最後の通信は、"巨大な宇宙船と追突する"との内容。三好は本部の指令通り、かつて宇宙防衛艦"轟天"建造の中心的人物だった滝川正人(池部良)の元へと向かったのだが、シュミット博士(ウィリアム・ロス阪脩/声)に成りすました宇宙人が現れ・・・」という内容。
やたら地球人に変装する宇宙人が登場するのだが、彼らは太陽系から2万2,000光年の位置にあるペシエ13球状星団の第3惑星光星ヨミからやって来た銀河帝国だといい、司令官ヘル(睦五郎)によると、「星が年老いたため、環境が似ている別の星に移住する計画を立て、地球を侵略する」とのことだった。
何て自分勝手な連中だ。
( ゚Д゚)
太陽系で彼らが拠点にしたのは金星だったが、決戦のため、地球人も金星に降り立った時の報告では、"風速87メートル、気温摂氏475度、気圧8万3000ミリバール"と劣悪な環境。
そんな所を拠点に出来るくらいなら、そのまま金星に住んでしまえばいいんじゃないかと思える。
(^_^;)
出撃した"轟天"と連絡を密にする国防軍防衛対策本部は東京に設置されたのだが、大石国防軍司令(平田昭彦)も幕僚(中山昭二)も、この類の配役がすっかり馴染みに思える俳優さんたちで、見ていて何だか嬉しくなってきたりもするのだった。
(^_^)
また、役名が付いている俳優さんであっても、アップで何度も映し出されることなどあまりないことなのに、名前もついていない轟天の操艦士(山本亘)の顔が何度もアップで映し出されたのが妙に面白かった。
"大戦争"という割には、こじんまりした作品だったのが残念。

足にさわった女

2017年04月02日 | ムービー
『足にさわった女』(1952年/市川崑監督)を見た。
物語は、「北五平太(池部良)は、(大阪府警ではなく)大阪警視庁捜査第1課第3係に所属する対スリの専門家。気が進まなかったのだが、上司の命令により1週間の休暇を取ることとなり、東京で行われる美人コンクールを見に行くことにした。東京へ向かう特急電車の食堂車で、"古来、美人の女盗賊というものは存在しない"と力説する小説家・坂々安古(山村聰)に異議を唱えた。一方、特別二等車。東京製薬株式会社社長・岡田六右衛門(見明凡太朗)の足に、向かいの席の足を組んだ美しい女性のつま先が頻繁に触れてくる。塩沢さや(越路吹雪)は大阪を根城にしている女スリで、父の法要のため下田へ向かっているところだった。さやと弟分ハシル(伊藤雄之助)の画策により照明がつかずマックラなトンネルを通過したあと、車内でスリ騒ぎが起きる。休暇中なので事件には関わりたくなかった北だったが、列車を乗り換えたさやを追い・・・」という内容。
乗り換えた列車の車内では、どこかのご令嬢に見間違われる服装から農婦のもんぺ姿に変装をしたものの、すぐに北と鉢合わせしてしまい、何とか逃げ切ろうとして、北に落とし物を拾ってほしいと頼み、発車間際の列車から降ろさせる。
この場面は実際に動き出す寸前の列車の下に池部良本人が潜り込んでいる。
スタントマンの代役や特撮も使っておらず、潜り込んだまま列車が動き出したのには驚いてしまった。
あれは凄い場面だった。
また、山村聰が演じた小説家・坂々安古が"おねえ言葉"だったのも妙に面白かった。
(^。^)
女学校を2年で中退したというさやは27歳。
太平洋戦争中、網元だった父にスパイ容疑をかけて国賊扱いし、自殺にまで追い込んだ親戚連中に、盛大な父の法要を行い見返してやることを長年の目標としてきたのだが、列車内で情けをかけた老婆(三好栄子)に貯めたお金をすられてしまうというのだから、因果応報だ。
(^_^;)
坂々「スリは現行犯でなくても捕まえられるんですか?」
塩沢「本人がスリだと言ってるんだから間違いないわよ」
警視(藤原釜足)「自白はあてにならないな」
というやり取りがあったのだが、自白偏重の取調べにより数々の冤罪が生み出されていた時代の物語だと思ったので、「これは皮肉か!?」とも思ったのだった。
この作品は、『足にさはつた女』(1926年/阿部豊監督)、本作(1952年)、『足にさわった女』(1960年/増村保造監督)と3回にわたって映画化されているようなのだが、かつては評判が高かった作品なのかもしれない。
昔の映画の割にはテンポがよかったし、面白い作品だった。
(^_^)

昭和残侠伝

2016年03月30日 | 映画サークル
本年初の開催になった"ましけ映画サークル"の3月例会は、長○企画『昭和残侠伝』(1965年/佐伯清監督)だった。
物語は、「太平洋戦争敗戦直後の東京。浅草界隈で露天商を取りまとめている神津組は、新興やくざ新誠会の攻勢に手を焼いていた。露天の商品に何かといちゃもんをつけては、ゼロ戦五郎(梅宮辰夫)やジープの政(松方弘樹)らと小競り合いを繰り返していた新誠会だが、ついには神津組四代目・川田源之助(伊井友三郎)を射殺。帰りを待ち焦がれていた寺島清次(高倉健)の復員は間に合わなかった。遺言により五代目を継ぐことになった清次は露天の商品集めに奔走したが、新誠会による執拗な妨害が続き・・・」という内容。
これは人気シリーズの第1作で、このあと『昭和残侠伝 破れ傘』(1972年/佐伯清監督)まで全9作が製作されているようなのだが、主役の高倉健は当然として池部良(風間重吉役)も全作品に登場しているようだ。
マドンナ役を変えながら、若大将に対して青大将というライバルを登場させる東宝の"若大将シリーズ"(1961年~1971年/全17作)と同様、毎回、似たような話として展開しているようなのだが、昭和の人気映画シリーズは概ねそのようなスタイルだったのだろうか。
松竹の"男はつらいよ"シリーズは全48作が同じ設定の物語だが、時代が新しくなっていって、連続性を考慮するように変わっていったのだろうか。
菅原謙二(江藤昌吉役)、江原真二郎(西村恭太役)、中山昭二(福永繁役)、中田博久(川田輝男役)といった神津組側の配役に対する新誠会側は、室田日出男(日の出の辰役)、八名信夫(島田役)といった俳優さん達で、この頃はまだピラニア軍団や悪役商会は存在しなかったのだろうから、スポットを当てられることもなく、とにかくこういった映画ではやられまくったのだろう。
相手の卑怯なやり口に我慢を続ける健さんを応援しながら見てはいるものの、ある瞬間には、最後にはやられてしまう悪役を応援したくもなってくるのだった。
なかなか妙な感覚だ。
隠居した大親分役で六代目三遊亭圓生師匠が出演していたが、これが助演男優賞ものの名演技。
さすが名人といった感じである。
さて、この3月例会終了後は、本年1月に急逝された当映画サークルのメンバー、故守○典之氏を偲び、"偲ぶ会"を行った。

つづく