仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

ブラック・レイン

2017年08月05日 | ムービー
『ブラック・レイン(原題Black Rain)』(1989年/リドリー・スコット監督/アメリカ)を見た。
物語は、「養育費の支払い等で汲々としているニューヨーク市警殺人課の刑事ニック・コンクリン(マイケル・ダグラス)は、内務捜査官から麻薬密売事件の押収金を横領した嫌疑をかけられ、査問を受けていた。悶々とした気分で、同僚のチャーリー・ビンセント(アンディ・ガルシア)とランチをとっていると、レストラン店内に居合わせた日本のヤクザ2人が、後から来た佐藤浩史(松田優作)とその部下によって殺されるという場面に出くわした。命の危険にさらされながら、何とか逮捕したものの、佐藤は日本国内での犯罪容疑で指名手配されていたことから、日本の警察に引き渡されることになった。コンクリンとビンセントの2人が佐藤を日本まで護送することになったのだが・・・」という内容。
半ば観光気分の犯人護送だったが、なんと、到着した空港でニセ警察官・梨田(内田裕也)と片山(ガッツ石松)に佐藤を引き渡してしまう。
これはやらかしてしまった。
大チョンボだ。
大阪府警では、刑事部長の大橋警視(神山繁)によって松本正博警部補(高倉健)を監視役につけられるのだが、権限がないにもかかわらず日本の捜査に関わろうとする2人。
逮捕したのも逃がしてしまったのも自分達なのだから、"プラスマイナスゼロ"ではないかとも思うのだが、やはり、そこはミスのほうが許されないし、自分達としても許せないのだろう。
しかし、自分のボス・菅井国雄(若山富三郎)を裏切り、ヤクザ世界でのし上がっていこうと画策している佐藤は凶悪な男だ。
そのためにアメリカまで行って、菅井の子分をも殺していたのだから。
舞台になっている大阪の繁華街の様子は、『ブレードランナー(原題Blade Runner)』(1982年/リドリー・スコット監督/アメリカ)に登場する未来都市に似た感じの、何か得体のしれない怪しさがいっぱいの雰囲気だ。
客もホステスも盛り上がってて騒々しいクラブの店内と、深夜の静まり返った街中の対比も同様だし、沢山の人達の喧騒があふれかえる路地の様子や、暗闇に輝く色とりどりのイルミネーションが、より効果的に映えるように雨や雨上がりの路面を利用している点も、美しい映像づくりを意識しているようで素晴らしい。
犯人役の松田優作(1949年~1989年)はこのハリウッド作品出演を機会にしてもっと活躍してほしかった俳優さんだったのだが、本作が遺作になってしまったのは、とても残念だった。

金環蝕

2017年06月17日 | ムービー
『金環蝕』(1975年/山本薩夫監督)を見た。
物語は、「昭和39(1964)年5月12日の第14回民政党臨時大会において、党首を選出する選挙が行われた。民政党は衆議院・参議院共に単独過半数を占める政党であり、民政党の党首イコール内閣総理大臣となる。選挙は最大派閥の酒井派から酒井和明(神田隆)が立候補し、現職総理大臣の寺田政臣(久米明)と争ったが、小野(鈴木瑞穂)や島田(前田武彦)といった大手新聞社の記者や民政党議員の間では、酒井派は20億、寺田派は17億をばらまいたらしいとのまことしやかな噂が流れていた。そして、選挙の結果は現職総理大臣・寺田の勝利に終わり、5月30日には第3次寺田内閣が認証された。そして、その数日後、金融業・石原商事の石原参吉(宇野重吉)の所へ、星野康雄官房長官(仲代達矢)の名刺を携えた内閣官房秘書官・西尾貞一郎(山本學)が訪れ・・・」という内容。
裏の世界を渡り歩く"金融王"・石原は、星野の「秘密裏に資金を用立てて欲しい」との依頼を断ったのだが、何らかの疑惑があると直感し、星野の周辺を洗い出し始める。
妾で芸者の萩乃(中村玉緒)、日本政治新聞社・古垣常太郎(高橋悦史)といった協力者や、社員の脇田(早川雄三)、荒井(矢野宣)からの情報を総合し、寺田総理の郷里・九州の福流川ダム建設を目論む竹田建設と発注元の電力開発株式会社・若松圭吉副総裁(神山繁)の一派の談合と、汚職の存在が浮かび上がるのだが、電力開発株式会社は株式の95%を日本政府が保有しており、年間400億の補助金も受け取っているというほぼ国有の会社なので、これが世間に明らかになると政界を揺るがす大スキャンダルになるのは間違いない。
これは、池田勇人(1899~1965年)首相への政治献金を約束した鹿島建設と電源開発間で談合が行われた可能性があるとして国会で追及されたものの、首相秘書官とジャーナリストが不自然な死を遂げたことからうやむやになったという"九頭竜川ダム汚職事件"ををモデルとした小説『金環蝕』(1966年/石川達三著)が原作で、随分とどろどろした物語だ。
金環蝕についての「まわりは金色の栄光に輝いて見えるが、中の方は真黒に腐っている」との説明が、すべてを言い表しているようだった。

アウトレイジ ビヨンド

2012年10月15日 | ムービー
ユナイテッド・シネマ札幌で『アウトレイジ ビヨンド』(2012年/北野武監督)を見た。
物語は、「前会長を銃殺して暴力団組織・山王会を手に入れた加藤(三浦友和)は石原(加瀬亮)や舟木(田中哲司)といった若手を重用し、古参の幹部達を冷遇していた。ある時、不満を募らせていた富田(中尾彬)、白山(名高達男)、五味(光石研)の所にマル暴の片岡(小日向文世)がやってきて、3人を焚きつけたのだが・・・」という内容。
一昨年に見た『アウトレイジ』(2010年/北野武監督)の続編なので、基本的には前作を知らない人には良く分からない内容ではあるものの、最近の日本映画にしては珍しく台詞がいちいち説明的なので分かりやすくはなっている。
ビートたけしは本作でも監督兼主役。
共演の西田敏行(花菱会・西野役)、神山繁(花菱会・布施役)、塩見三省(花菱会・中田役)といった多くの俳優陣の中で演技が一番下手なのが、やはりビートたけしだった。
前作同様どうにも救いの無い物語だが、主役が死んでないことから更なる続編の可能性があるのではないかと思う。
(^_^)