トライアングルの部屋

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仙台在住で大の阪神ファン

君の膵臓をたべたい 住野よる

2017-02-06 14:19:03 | 本 2017年
ネタバレありで

ちょっとグロテスクな題名だけど
ストーリーはなんて素敵なんでしょうか


クラスメート山内桜良(やまうちさくら)の
死で物語は始まる

昔の人はどこか悪い所があると
他の動物のその部分を食べた

その話を元に
君の膵臓が食べたいと
彼女は言って来た

彼女は膵臓を病んでいた

その秘密を知っているのは
家族と僕だけ

僕の名前は最後の方まで出てこない

最初の方は「秘密を知っているクラスメイトくん」となっている

親しくなる前のことは
「地味なクラスメイト」くんだった

そうなのだ
僕はクラスでは目立たない
友人もなくいつも教室で
一人本を読んでいるタイプの人間だった

反対に彼女は人気者
明るくいつも友達に囲まれていた

その二人が親しくなるきっかけは
病院だった

盲腸の手術後の抜糸のために訪れていた
病院のソファに置き忘れられていた本
「共病文庫」の中には
膵臓の病で死ぬと書かれていた
書いたのが彼女だった

死ぬまでのことを
日記風に書いておこうとしていた



二人の会話は漫才みたいだ

僕はいつのまにか
彼女のペースに振り回されていく

焼肉食べ放題に連れていかれる
病人とは思えないほどの食いっぷり
ホルモン系を食べまくる彼女

自殺するためのロープがほしいんですと
ホームセンターの店員に聞いたり

スイーツバイキングへ連れていかれたり

根暗な僕とクラスの人気者の彼女が
なぜ仲良しなのか
クラスで話題になった
彼女を気に入っている人間は多くいて
嫉妬のせいか上靴を隠されたりする

そして僕の呼び名は「仲良し」に変わる

試験が終わり
出かけたいという彼女

全部彼女の好きにさせたら
それは新幹線で行く一泊旅行だった

旅行っていうより
拉致だと思う僕

行先は福岡?
ラーメン
梅ヶ枝餅は大宰府の名物

そのお店でトラブル発生

傍観者でありたいと願う僕
当事者になろうとする彼女

加害者と傍観者の罪は
同列であるという考え方がある

交友関係の広い彼女は何人の人を傷つけたか
計り知れないのに対して
交友関係の少ない自分は人を傷つけるようなことはしない
どちらが正しいのか

あらかじめ彼女が予約していたホテルにチェックインするも
トラブルがあり
ランクが上の部屋になる
ただし一部屋

そこで見た彼女のバックには
大量の薬や医療器具が入っていた
あらためて彼女の病気を認識する

夏の空も少しづつ群青色を受け入れ始めていた
   ↑
なんとなく好きな文章なので書いておく

本を貸してあげるから
家に来るよう誘う彼女
家族はいなくて
彼女はいけないことをしたいと言い出す
怒りを感じる僕

僕が偶然に病院で出会ったと言った時の
彼女の言葉

偶然じゃない
私達は皆自分で選んでここに来た
クラスが一緒だったのも
あの日病院にいたのも偶然じゃない
運命でもない
君が今までしてきた選択と
私が今までしてきた選択が
私たちを合わせたの
私達は自分の意志で出会ったんだ

これも印象に残ったので・・・


その後彼女は入院

何度かのお見舞い

その後退院が決まり
退院したらすぐに会うことになった

待ち合わせの喫茶店

彼女の顔を思い出し
正直な気持ちになる
君のことを考えていたとメール

僕は本当は君になりたかった
打ち直し
君の爪の垢を煎じて飲みたい
消す
ぴったりのことばがあった
「君の膵臓を食べたい」
そして送信

返信は来ない

いくら待っても彼女自身も来なかった

病状が悪化したのかと
誰でも思う

ところが
なんと
彼女は僕に会いに来るための
路上で
以前から世間を騒がせていた通り魔事件に
巻き込まれたのだった

まだ時間のある僕の明日は
分からないけれど
もう時間のない彼女の明日は
約束されていると思っていた

通夜にも葬儀にも行けず
ようやく自宅に焼香に行く

共病文庫の話をすると
彼女の母は言った
「君だったのね」

そこには日記のほかに
僕あての遺書もあた

私の魅力は
周りに誰かいないと成立しない
だけど君はいつも自分自身だった
自分だけの魅力をもちたかった
そして最後に
「君の膵臓を食べたい」と書かれていた

最後の方は
涙なしには読めなかったです・・・

彼女の親友恭子は
僕と彼女が仲良くしているのを
とても嫌がっていた
それに反して
彼女は何とか仲良くしてもらいたいと思っていたんだ
その意思を尊重して
僕は恭子に病気のことを話し
共病文庫を見せる

僕の名前は
桜良の母親に聞かれたことで
初めて出てくる
志賀春樹

春と桜  なるほど

また僕の両親が魅力的に書かれている

父親に労いの言葉をかけると
嬉しそうに僕の背中を叩いて家を出て行ったとか

母親は彼女と会う日
彼女できたでしょと言ってくる
母親なめんなと・・・

焼香に行く日の朝も
父親は何も言わず背中を叩いてきたリ
母親は
何も言ってないのに一万円札を渡してくれて
ちゃんとお別れしてきなさいとだけ言ったり

映画化が決まっているようだけど
ぜひいい作品にしてほしいものです
コメント
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