アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

さくら村の石窯で遊ぶ会のお試し会

2022-03-28 10:55:02 | アンティマキの焼き菓子とパン

  豊田市旭地区にあるガキ大将養成講座の拠点さくら村。このさくら村にある石窯を使って、お試し版石窯で遊ぶ会を開きました。

   ハウスポニーにある石窯よりずっとコンパクトですが、下で焚いて上で焼くという方式なので、見た目より多めのピザやパンが焼けます。一回目のお試し会の時は、焼成室の床の部分の温度が高すぎて、フォカッチャの裏が黒焦げになりました。今回は、この失敗をクリアするため、床に薄めのレンガを敷き詰めました。これで、庫内の温度が少し均一になるかもしれないと期待して。

 

    旭地区は稲武より標高が低いため、空気はすっかり春めいていました。さくら村に至る小径にはタンポポの花が咲いていました。

   見晴らし台の上はポカポカ。

   ピザは、全くこねずに仕込んだ薄焼きバージョン。オリーブオイルとニンニクを混ぜたソースを塗った上にジャガイモとローズマリー、タケノコ、自家製ベーコンをそれぞれトッピングして、上からまたニンニクオイルを塗って塩をぱらぱらとふりかけました。トマト缶に塩コショウしただけのトマトソースを塗ったピザには、セルロース抜きのチーズを。

   薄焼きピザ、稲武の石窯での試作の会でも作りましたが、かなり好評。「ピザにはチーズがつきものと思っていたけれど、乗せなくても十分おいしい」と口々に喜んでもらえました。ジャガイモもタケノコもおいしい。

  メンバーの一人が朝掘りたての筍を持ってきてくれました。アルミホイルに包んで下段の火の中に投入。ほどなく芯までやわらかくなった焼きタケノコ。えぐみはほとんどなくて、香り高い春の味を楽しめました。

   こちらは全くこねずに作ったフォカッチャ。床の上に敷いたレンガの効用は優秀。庫内の温度差は100度程度ですみました。でも、火の勢いが少々足りなかったので、時間がかかりましたが、なんとか焼けました。

   最後は、乳製品、卵不使用のケーキ。有機レーズンと梨の赤ワイン煮が入っています。こちらも時間はかかりましたが、よく膨らんでふわっとしたケーキができあがりました。

   さて、このさくら村でのお試し会は、今回でいったん終了。できれば5月以降、養成講座のスタッフが自主講座として、ガキ大将養成講座の受講者親子を対象に、「石窯で遊ぶ会inさくら村」を不定期に開く予定です。詳細はただいま検討中です。ご興味のある受講者さんたちは、告知をお待ちください。

   

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

稲武の大きな石窯で遊ぶ会を開きます。

2022-03-27 23:39:45 | アンティマキの焼き菓子とパン

  久しぶりの石窯の会を開きます。

  5月15日日曜日。ときは初夏。野も山も緑に輝く季節です。野趣あふれるピザを焼き、かまどにかけた大鍋で野菜たっぷりのスープを煮て、城ケ山を眺めながらランチを。午後は、シンプルで味わいぶかい大きな黒パンと、乳製品も卵も使わないお菓子を作って石窯の余熱で焼きます。子供たちが自由に遊べる場所もいっぱい。一日楽しみながら作業して、食べてしゃべって満足していただける会です。
  なお、今回から、より安全な食材を使用することにしたため、参加費を少々値上げいたしました。ご理解いただければ幸いです。

  会場となるハウスポニーは、城ケ山のふもとにあり、木々に囲まれた気持ちの良い場所です。子供たちが遊びまわるのは自由。自然の中で一日ゆっくりお楽しみください。

   焼き菓子は、スコーンだったりケーキだったり。甘さを抑えて、素材の味を生かしたおやつをつくります。

  ピザもパンも、天然酵母を使用。前夜に仕込んで一晩かけて発酵させます。


*定員 12組
*参加費 4800円+施設料頭割り
  ピザ1人前、スープ1人前、生地量750gのライ麦パン1本、焼き菓子
(パンと焼き菓子はお持ち帰り)
 ■1家族につき、3名様まで、ピザ+スープを1000円にて提供いたします。
 ■そのほか、ピザ・スープ・焼き菓子の追加も承ります。
 ■新型コロナウイルス感染防止に関する豊田市のルールにより、参加いただけないこととなる可能性もあるので、ご了承ください。
*講師:村田牧子(アンティマキ)・オクダキヨミ・金子れい
*申し込み・問い合わせ
  アンティマキの問い合わせメール(右ブックマーク)

  フェイスブック アンティマキメッセンジャー

  e-mail : auntie-maki @cb.wakwak.com

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

絵本「天路歴程物語 危険な旅」

2022-03-22 21:57:24 | 映画とドラマと本と絵画

 いつか読まねば、と思っている世界の名著が、いまだにたくさんあります。なかでも、西欧世界の根幹の思想を形作っているキリスト教。この世界宗教のことを知らないと、アメリカ映画一つ、ちゃんと理解できないのではないかとも思えるときがよくあります。

  そう思いはするものの、大衆向けに書かれたバニヤンの「天路歴程」すら、この年まで読まずに来てしまいました。先日、たまたま必要があって図書館で適当に探して借りてみたら、もとはアニメの原作だったというこの絵本に出会いました。

   何が入っているかわからない大きな荷物を背負った若い男が、悲しそうな顔をして分厚い書物を開いています。背後には、暗雲垂れ込める空の下、彼が後にしたらしい街の風景が広がっています。

   語り手が見た夢として語られるこの本の中の主人公の名はクリスチャン。彼の持っている厚い本には、彼がすんでいる町は「滅びの街」で、すぐに逃げ出さないと彼も家族も恐ろしいことになると書いていあります。

   ここから始まる彼の冒険の旅。「天路歴程」というタイトルは明治の日本人がつけたもので、欧米では「巡礼の旅」とか「危険な旅」とかいうのだそうです。

   とにかく彼は次々に怪物に襲われたり、底なし沼におぼれそうになったり、困難な状況におちいり、まるでテレビゲーム。最後は天国にいたり、筋は単純でとくに面白いわけではないのですが、クリスチャンが旅の途中で出会う人間たちの名前がおもしろい。

   ヨワタリさん、律法マモル氏、カタクナさん、イイカゲンさん、タワケ、ナマケ、オモイアガリ、コワガリ氏、シンジナイ氏・・・

   世の中のいろんな種類の人たちや、一人の人の心に巣くういろんな気持ちを網羅しているかのような、さもありなんという命名です。こういうところがさすが西欧。最後のころクリスチャンが出会う同行者の名前は、ホープフル(希望者)。たぶん、キリスト教文化圏では、子どものころの必読書なのでしょう。よくできています。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月のどんぐり工房草木染め。

2022-03-22 16:41:25 | 草木染め

  きのうは4か月ぶりに、どんぐり工房での草木染め講習会が開かれました。

   使った材料は、昨年12月に剪定したビワの葉。すっかりバリバリに乾いているのですが、袋に入れて日の当たらないところに保管しておいたので、緑色は残っている葉です。その葉を手でぎゅっと握ってくだき、煮だします。アルカリ抽出したら、今回は1煎めから濃い赤っぽい色が出てきました。

   その液を酸化させて、2煎めの、煮だして酸化させた液と一緒にします。そして染色。

   見るまに美しい茶色がかったピンク、というか小豆色が染まり付き、歓声が上がります。

   きのうは三人だけのご参加でしたが、初対面でも楽しい仕事を一緒にするとすぐに和気あいあいの雰囲気に。

   出来上がったのがこちら。右端のストールは、薄いブルーグレーのような色だったのが、大変身しました。

   今回も、満足のうちにおかえりいただけました。私も久々の染めができて、楽しかった。

   さて、来月は、第3週の土曜日16日に開きます。来月使う予定の材料はカリヤスですが、参加者が多かったら、もう一つ別の材料も煮だす予定です。お申し込みは、どんぐり工房まで。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

あさって、豊田市四郷で「畑でマルシェ」。出店します。

2022-03-18 18:15:45 | アンティマキの焼き菓子とパン
  豊田市四郷町にある、自然農の畑で、明後日20日日曜日に「畑でマルシェ」が開かれます。
  こちらの畑は、中国人の丹丹さんが手掛ける畑。この場所で彼女主催のマルシェが初めて開催されます。有機農法の農産物や無添加の食品、ビブラムファイブフィンガーズのはだし屋、ダーシェンカ、こいけや養蜂園ほかのお店が出店するほか、種まき体験、こどもの遊びのエリアもあります。子供商店も開催。
  丹丹さんは、母国中国の優れた産品の開発や仕入れにも尽力していて、天然木で作ったビーズの枕は、その代表的な品。モンゴルの製品のお店・空飛ぶ羊kuraの2階でお試しできます。
 
  その丹丹さんに誘っていただいて、アンティマキも出店することにいたしました。
 
  当日お持ちするのは、有機素材のほか、稲武産の平飼い名古屋コーチンの卵、四つ葉バターを使った穀物クッキー4種、自家製のまるごと甘夏ジャムを入れたココアのクッキー、稲武産農薬不使用の餅米と国産粗糖、ポルトガルのバージンソルトだけで作ったかきもち、有機オートミールや種々のシードやフルーツをたっぷり加えたざくざくクッキー、農薬不使用の米粉と自家製みそのクッキーなど。スコーンやケーキ、パンもお持ちします。
  こんにゃくのキヨミさんもご一緒。彼女の灰汁で固めたおいしいこんにゃくは、あとひと月ほどで今期は終了。まだ召し上がったことのない方、ぜひこの機会にお試しください。
  *場所:豊田市四郷町千田51-1(清水歯科西)
    愛環四郷駅から歩いて15分ほど
    駐車場はありますが、駐車できる台数が少ないため、なるべく、乗り合わせか、交通機関を使っ    てお越しください。
  *日時:3月20日(日)10時半~15時
     トイレはありません。
 
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「食の安全を守る人々」

2022-03-11 16:24:01 | 映画とドラマと本と絵画

  ロシア軍のウクライナ侵攻が始まる前から、小麦をはじめとする食料品の値上げが話題になっています。ある友人が言っていました。「少しずつじわじわ値上げされているから、ボケっとしてたけれど、ある日ふと結構な値上げになっていることに気付いて、愕然とした」別の友人は、量が減っていることを指摘。値段は変わらなくても、中身の重量がどんどん減っている、と。

  テレビでは、こうした値上げについては取りざたしていますが、食べ物そのものの安全性については、ほとんど言及していません。

 先日、「食の安全を守る人々」という日本のドキュメンタリーを見ました。監督は原村政樹。弁護士で元農林資産大臣の山田正彦氏が、人々をとりまく食べものの実情について、日本のみならず、海外にも取材してまとめられた映画です。これまで、ばらばらに耳に入っていた情報が、まとまりのある事柄として迫ってきました。この映画は、昨年12月名古屋で開かれたオーガニック映画祭で上映されたもの。そのおりの映画の解説には、こんなことが書いてありました。

「アグリビジネスは日本に幸せをもたらすのかそれとも日本は世界の潮流に逆行しているのか?日本で、海外で農と食の持続可能な未来図を描く人たち

種子法廃止、種苗法の改定、ラウンドアップ規制緩和、そして表記無しのゲノム編集食品流通への動きと、TPPに端を発する急速なグローバル化 により日本の農と食にこれまで以上の危機が押し寄せている。

しかし、マスコミはこの現状を正面から報道するこ とはほとんどなく 、日本に暮らすわたしたちの危機感は薄いのが現状である。

この趨勢が続けば多国籍アグリビジネスによる支配の強まり、食料自給率の低下や命・健康に影響を与えることが懸念される中、弁護士で元農林水産大臣の 山田正彦が、長年、農業をテーマに制作を続けている原村政樹監督との二人三脚で撮影を進め、日本国内だけでなく、アメリカでのモンサント裁判の原告や、子どものために国や企業と闘う女性、韓国の小学校で普及するオーガニック給食の現状など幅広く取材。 果たして日本の食の幸せな未来図はどこに・・・。」

  「人体に残留しない安全な農薬」というふれこみだった、グリホサート。20年間、自分の勤めている学校の校庭で、この農薬を散布し続けていたアメリカの男性が悪性リンパ腫になり、巨大企業モンサントを相手取った裁判で勝訴しました。それ以来、アメリカや欧州で、モンサント訴訟が相次いでおり、発売禁止とした国も多いのですが、日本ではラウンドアップという名で売られているこのグリホサートの農薬は、ホームセンターやJAの直売所で山積みにして売られているそう。100均でも見かけると聞きました。

  ある学者の話では、グリホサートの日本の規制緩和は甚だしく、中国が0.2ppmであるのに対し、日本はその150倍の量が最低基準になっているとか。また、小麦の残留農薬の基準値は日本では近年どんどんあがり、この映画のできたころは米の基準値が0.1ppmであるのに対して、小麦はなんと80倍の8ppm。

  小麦は、早く乾燥させるために、収穫直前にグリホサートを撒布するのが慣行農法では当たり前になっているとか。アメリカだけの話ではなく、日本でもこの方法をとっていると知ったのは、数年前。

  それまで、アンティマキでは、ナッツやドライフルーツはオーガニックを使っていましたが、小麦は、国産品をつかっていました。国産と言っても有機栽培の国産品は高すぎて、焼き菓子の売値が相当上がってしまいます。だから、多少の農薬は使っているだろうけれど、輸入品よりましだろうと思っていたのです。

   でも、収穫直前の農薬撒布の話を聞いてから、とてもそんな粉を使う気になれなくて、ネットで探して仕入れ始めたのが今使っているオーストラリアやアメリカ、カナダのオーガニック小麦粉です。

   農薬に汚染された腸は善玉菌を殺して悪玉菌を増やし、神経を刺激して腸の外にしみ出し、脳に至る。それが発達障害とかかわりがあるのではないか、という専門家もいます。不妊症や流産を引き起こし、精子を殺すとも言われています。

  ゲノム編集した食品の安全性にも、映画では言及しています。これまでできていた「遺伝子組み換えでない」という食品表示が許されなくなる背景になにがあるかも、映画では追及しています。

  とにかく、枚挙にいとまのないほどの、危険で、驚くべき事実が次々に紹介されています。家庭の主婦、とりわけ小さなお子さんを持つ若いおかあさんたち、食品を扱う仕事に携わる人たちに、ぜひ見ていただきたい映画です。

   そこで、オーガニック映画祭の開催に長年尽力してきた、フェアトレードショップ風sの土井ゆきこさんが主宰する風の庭クラブが、6月、この映画の上映会を稲武で開くことにしました。アンティマキも協力いたします。日時と場所は以下の通り。近々チラシができるので、詳しくは追ってお知らせいたします。

   *「食の安全を守る人々」上映会と有機農法家松澤政満さんの講演会

    ■日時:6月26日(日)午後1時から4時

    ■場所:稲武交流館

    ■参加費:1000円(当日1300円)

   気になる方はぜひ、とりあえずこの日を空けておいてください。

  

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年の味噌仕込み

2022-03-09 18:20:02 | 手作りのたべもの

  先月の終わり、今期の醤油の仕込みを終えました。醤油がすんだら次は味噌。昨年は20キロ以上の味噌を仕込み、これで安心、とおもいましたが、その前の年の仕込みの量が少なかったのか、春になる前に味噌がなくなり、一年たたないうちに甕を開けることになりました。だから今年もまた多めに仕込む必要があり、このところ、少しずつ作業を続けています。

  写真は甕から出した昨年お米味噌。一昨年から、大豆をあまりつぶさずに粒々が残る程度にして、塩と麹と混ぜています。このほうが空気の通りがいいので、酸っぱくなりにくいと、醤油麹をわけてもらっている美濃加茂市の浅野やさんに教えていただいたからです。

   甕から出してから、フードプロセッサーにかけてなめらかに。面倒ではあるのですが、たしかに酸っぱい味噌にはならないですんでいます。以前は大概すっぱくなっていました。

  さて今年の味噌は、はじめて大豆を蒸して使うことにしました。蒸したほうがゆでるより栄養価が損なわれなくてすむので、そうしたいなと思ってはいましたが、かなり時間がかかりそうで躊躇していました。でも物は試し、とおもって薪ストーブの上に鍋を置き、蒸し器をかけてみました。

  すると、意外に早い。1日で蒸しあがらなかったら二日目もしかけたままにし、時々鍋の中をのぞいて水を足す、ということだけをしてやれば、手間もいりません。蒸しあがったかどうか調べてみるのも簡単。

   というわけで、大豆2キロずつくらいから、ちまちまと蒸しては餅つき機でつぶして、麹と塩であらかじめ塩きりしておいたものを混ぜています。

   蒸し器に入るだけちょっとずつ作る、というのは楽でいい。

   昨年、フェイスブック友達が紹介していた麻布。おなじものではありませんが、味噌甕の一番上に敷いておきました。

   すると、表面は一部を除いてまったくダメージなし。布がうまくかけられていなかったらしくて、その部分だけカビが生えています。よくよく洗って日に干し、同じ布を今年も利用しました。

   味噌作り、まだ途中ですが、今年は、麦みそ、米味噌のほか、豆味噌も作りました。豆味噌は、大豆と豆麹、塩で仕込みます。使った豆麹は、知人の畑で無農薬栽培された大豆に麹をつけたものです。

   豆味噌は初の試み。蒸した大豆2キロに塩400gと豆麹2キロ、それに浅野やさんで以前買った豆味噌を160g入れました。岡崎の料理家caieさんのレシピです。米味噌よりさらに陽性の味噌なので、ほんとはもっと日常に食したいのですが、じつはあまり好きでない。自分で作った味噌なら、好きになれるかもしれないと期待しながら仕込みました。

   

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画「チェルノブイリ・ハート」

2022-03-05 17:51:08 | 映画とドラマと本と絵画

   ロシア軍がウクライナに侵攻したとのニュースを聞いた夜だったかその次の夜だったか、たまたま、借りていた「チェルブイリ・ハート」を見はじめました。チェルノブイリ・ハートとは - コトバンク (kotobank.jp)

   1986年におきた原発事故の16年後に作られたドキュメンタリーです。「チェルノブイリ・ハート」とは、事故後に、周辺地域に住んでいた人たちはその後に生まれた子供たちに頻繁にみられる心臓疾患や放射線障害のこと。

   チェルノブイリから80キロメートル離れたゴメリ市の小児病院の映像は、想像を絶します。

   うつろな目をした寝たきりの子たち。かけ蒲団をめくると、首の後ろには、頭と同じ大きさのふくろがくっついています。足の指が生まれつき折れ曲がっていたり、胴体のどこかから急にくびれていたりしている子供も。とにかく正視できないほどの奇形の子供たちが病院に収容されています。彼らは事故の後生まれた子供たち。親が到底育てられなくて捨てられた子供たちです。

   甲状腺がんや心臓病の疑いのある中高校生たちも増えています。いずれも事故後急増。「ベラルーシの首飾り」と呼ばれる、甲状腺がん手術の傷跡の残るティーンエイジャーの子供たち。この市では、事故後、甲状腺がんは他都市の1万倍に増えているそうです。医師の言葉によると、「健常児の確率は、ここでは15~20%」しかないとか。

  それでも、原発事故との関係を特定するのはむずかしく、「因果関係があるとしか思えない」という表現で語られます。

  DVDには、2008年に製作された「ホワイト・ホース」という短編のドキュメンタリーも入っています。原発の近くのアパートに住んでいた青年が、事故後20年たって、映画製作スタッフとともに放置され荒れはてた帰宅禁止区域に初めて足を運ぶという実録です。彼は10歳くらいまでこの地に住み、事故直後、ほとんど何も持つことは禁止されて着の身着のままで家族とともに避難を余儀なくされます。

   「くそくらえ」「地獄に落ちろ」彼の悪態から、彼の事故後の人生が見えてきます。彼の人生を奪った原発事故。「ここでは幸せだった」彼はそういいます。暗い顔で部屋をさまよい、スタッフと離れてひと部屋の中にこもります。彼のやるせなさが閉じられたドアの奥からにじんでくるよう。

   映画の最後、字幕が映し出され、彼が2007年に死んだことを伝えます。映画完成の直前。まだ30歳そこそこの若さだと思われます。死因は書かれていません。

   続けてみる気になれず、数日置いて鑑賞を再開。そのときにはすでに、チェルノブイリ原発がロシア軍に制圧されたとの報が入っていました。重苦しい気持ちがさらに募りました。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

本「おとこ・おんなの民俗誌」

2022-03-03 23:18:18 | 映画とドラマと本と絵画

  昭和49年に第一刷が刊行され、昭和53年に第四刷刊行。その第四刷がず~っと本棚の奥に紛れ込んでいました。著者は民俗学者の池田弥三郎。定価は240円です。

  この本の元になったのは雑誌「キング」に連載されたエッセイ。だから、学者の本ではあっても、読みやすい。元のタイトルは「性風土記」。その後書き直して出版したのが「はだか風土記」。改題して出版したのが本書だそう。タイトルでわかるように、日本人の性に対する考え方を民俗学的観点から分析したものです。史料を駆使してはいるものの、あくまでもエッセイなので、いろんな知識がちりばめられていて、ちょっとずつつまみ食いできるのがたのしい。

  著者の指摘で初めて気が付いたのですが、平安貴族の屋敷は寝殿造り。天皇が政務を行う場所は、この建築の中心となる正殿、つまり寝殿です。寝殿とは、字の通りベッドルーム。

  「夫婦共寝を示す寝をもって、御殿の名としているのはなぜだろうか(中略)。どこの国に、堂々たる御殿が、その中の寝室をもって代表とされた御殿であると名のり、それを正殿とする建築のプランニングまでが、ベッドルームをもって名とするところがあるだろうか」

  著者の考察は、以下に続く。

  「男女の堂々たる共寝、それは宗教的、信仰的結婚でなければならぬ。そして、その堂々たる結婚こそ、信仰的生活の中心の儀式であったればこそ、寝を名とする御殿があり、それが正殿である建築のプランニングができたのだ」

   男女の交合は、豊饒な農作物を生むことにつながるため、農耕を生業とする日本では、聖なる様相もたぶんに帯びていました。一度だけ見物したことのある北設楽郡東栄町の花まつり(私が見たのは東栄町の人たちが集団で村を出て開拓に入った豊橋市二川地区なのですが)では、男女の神様二人が人々の見守る中で抱き合って横になるシーンが登場します。

   遊女の起源は「神の資格で来臨するものに、常に逢った女性がいたということである」。神社の門前町に大きな色町ができたのは、単に人が集まるからという理由だけではないと筆者は言います。「遊女の源流は、神に仕えた神の女であり、近世にいたって発達した遊女の女たちは、もともとその社に付属した、下級の巫女そのものであった」

   結婚は女にとって神の嫁になること。そのため、初夜に婿と共寝をすることはまずなかったといいます。初夜権の行使が婿以外にあるという風習は世界中にみられたことですが、処女に豊かな生殖能力を与える神の代理人として、地域の有力者とか親戚の年かさのだれかれが、新婦の寝床を訪れます。しかし、「ほんとうの夫との交渉が二日目からはじまるために、生まれた子に対する疑いがいつまでも残ったり、(中略)処女が一夜にしてはらんだりする」という話が多いとか。

   女が男のもとにしかける夜這いや、「うわなり打ち」のはなしも興味深いものでした。とくに、うわなり打ちは、「一人の男をはさんで、第一の妻が第二の妻をうちこらす暴力沙汰」のこと。離別された妻を筆頭に女だけの集団で元の家にやってきて、第二の妻のものとなった台所から乱入し、什器や障子などを打ち壊して退散するというもの。ひとつの慣習のようになっていたらしいのですが、記録は少ないとか。

   こういう昔の人々のありようを見ると、性風俗や結婚制度、男女のかかわり方などを、いちがいに現代の感覚で割り切って考えることはしないほうがいいな、とあらためて思います。複雑なことがらなので、ひとつひとつ丁寧にときほぐしていかないと、どこかでひずみが生じるのではないかと危ぶまれます。

   

  

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

稲武の大きな石窯で、いろいろお試し会

2022-03-01 17:45:17 | 稲武のモノ・コト・ヒト・バ

   3か月ぶりに、友人たちと石窯クッキング研究会を開きました。まだまだ寒くて雪が残っている個所もあるのですが、春になる前に試したいものがいくつかあって、きょう開催となりました。

   小人数の会なので、石窯の火をゆっくり眺めることができるのがうれしい。

   お昼ごはんにしたピザは、ピッツァ・ビアンカ。オリーブオイルと塩とローズマリーだけのピザです。きょうは具をあえて載せず、生地とオイルと岩塩の味を楽しみました。一枚で二人分のつもりでしたが、ついつい食べ過ぎてしまいそう。よく焼けた所は、ナンよりカリッとしていて、香ばしい。

   お焦げもグッド。

   焼き野菜のミソスープといっしょに昼ご飯。メンバーの一人が仕込んできて焼いた玄米キッシュがおいしい!

   今日の一番の目的は、とにかく大きいパンを時間をかけて焼くこと。生地量は1350g弱です。原材料は、有機強力粉、有機全粒粉、有機ライ麦粉、有機コーンミール、有機そば粉、有機黒糖に有機クルミ、農薬不使用栽培のスペルト小麦粒、ホシノ酵母、農薬不使用の小麦のふすま。塩はポルトガル産ヴァージンソルトを使っています。

   低温でじっくり焼きたかったのですが、いったん上がった温度を下げるのは結構むずかしい。結局いつもよりちょっと長めに焼いたところで、予定の時間終了。

   いい音のするパンが焼き上がりました。今日はクープをいつもと変えてみました。皮のパリッとしたところがとてもうまい。オイルとナッツと塩で、ワイン片手に食べたい。

   こちらはケーキに入れたカボチャの種。銅鍋に入れてローストしました。鍋の色がいい。

   同じ鍋を使って、洋ナシのケーキを焼いてみました。窯の温度が高すぎたせいで、いつも使うパウンド型に入れた生地のほうは表面が少し黒くなりましたが、銅鍋ケーキのほうは、いい焼き色になりました。時間はちょっとこちらのほうがかかりましたが、熱伝導がいいからうまくいったみたい。

   この銅鍋、石窯クッキング研究会メンバーで友人のオクダキヨミさんの夫君の作品。色と言い厚みと言い、ほれぼれします。http://www.kanade-note.com/

   

   こちらは、別のメンバーが仕込んできたイースト発酵のスコーン。ベイキングパウダーを使わないで発酵させるスコーン、なかなかいい。わたしも、ホシノ酵母かパラダイスリンゴ酵母で、今度試してみたい。

   お母さんについてきた2歳の男の子、窯の前ではじめた仕事は、薪を割るまねごと。木の皮を斧の代わりに使っています。この日は誰も薪を割ってはいなかったのに、彼の普段の生活の中でしばしばみる光景なのでしょう。カメラを向けると、彼は得意満面の顔で振り返りました。

   ほかに焼いたのは、醤油絞り粕入りのクッキーとココア入りのクッキー。低温でじっくり焼きたかったのですが、窯の温度がなかなか下がらなかったため、ちょっと焼きすぎに。でも香ばしいクッキーができました。

   午後からは氷雨のような雨が降り始めましたが、遊び半分勉強半分の久しぶりの会は、盛りだくさんのおやつとパンを製造できました。

   今日から3月。稲武はまだまだ寒いのですが、そろそろ青い草の芽生えも見つけられそう。しばらく中止していた、私たちの主催する石窯で遊ぶ会を、今年は再開しようと思っています。5月か6月から始める予定です。追って、告知いたしますので、ぜひ、ご検討ください。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする