ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ベラルーシの人口(2009年度)

2010-02-13 | ベラルーシ文化
 2009年、ベラルーシで人口調査が行われ、その結果が今年になってから発表されました。こういう数字が気になる日本人の方もいるかと思いますので、このブログで公開します。

 まず総人口数は約948万9000人。

 男女別に見ると
男性は442万3000人。
女性は506万6000人。

 やはり女性のほうが多いですね。平均寿命も女性のほうが長いです。

 年齢別の人口は分かりませんが、未成年(子ども)で言うと、女の子10人に対して男の子9人、だそうです。
 この理由もよく分かりません。が、おそらく、医療水準が日本より低く、乳幼児死亡率が日本より高いのと、乳幼児の男の子が病気になりやすい、またかかると死亡する割合が女の子より高いため、と思われます。
 またそれより少し高い年齢になると、男の子は危険な遊びをすることが多く、(例:工事現場で遊んでいて深い穴に落ち、3人の男の子が死亡。氷が張った川を渡ろうとしたら、氷が割れ、2人の男の子が溺死。夏、湖や川で泳いでいて溺れる。学校にプールがなく、体育としての水泳教育が非常に少なく、日本人と比べると泳ぎが下手なベラルーシ人が多い。男の子は他にも、喧嘩や事故に遭うことが多い。)その結果、男の子が成人するまでに死亡する率が高いと思われます。
 その結果、婚活(^^;)という意味では、
「男の数のほうが少ないから、俺、結婚できるぜ。」
と安心しきっている20代男性は多いです。
 かと言って、ベラルーシ女性のほうが
「女の数は多いから、私、あぶれるかも。」
とあせっているかというと、そういう人は皆無に等しいです。(^^;)

 話は人口に戻ります。
 首都、ミンスクの人口は182万8000人。
 ミンスクをのぞくミンスク州の人口は142万2000人。
 ビテプスク州は123万1000人。
 モギリョフ州は109万5000人。
 ゴメリ州は144万人。
 グロドノ州は107万2000人。
 ブレスト州は140万1000人。

 農村地域の人口は全体の26%、都市地域の人口は74%です。

 さて、この人口の調査ですが、前回は1999年に行われました。10年おきに調査している、と言ってもいいでしょう。次の調査は2019年ですね。そのころはどうなっているやら・・・。

 そして、この10年間にどのような変化があったのかというと、まず総人口は55万6000人減少。
 つまり1999年には人口が1千万人以上だったのが、ついにその数を切ってしまった、ということですね。 
 ビテプスク州、モギリョフ州、グロドノ州では10%の人口減です。
 ただ、各州都では人口が増加しています。

 ミンスクも人口が14万8000人増加。建築ラッシュが続いています。
 (と言うか、ミンスクの場合は、戦争中に町中が破壊されたため、戦後すぐから現在に至るまでずっと建築ラッシュの状態。)
 
 10年前の農村地域の人口は全体の31%、都市地域の人口は69%だったので、人口がどんどん都市に流入している、ということです。
 農村地域ではここ10年の間、毎年約4万3000人ずつ人口が減少。(都市部への移住のほか、死亡者数が出生人口より多いため。)
 過疎化が進んでいますが、次の10年の間に農村部の人口を1.5倍に増やす政策を打ち出すということです。
 ちなみにベラルーシでは出生率が微増しています。
 
 しかしちょっと生まれる子どもの数が増えただけでは、人口の減少は止まらないでしょう。
 このペースで人口減少が進めば、10年後には800万人台に、30年後には700万人台になってしまいます。
 どうしてベラルーシの人口は減っているのか。
 理由はいろいろ考えられます。医療水準が日本と比べると低いため、助かっていたはずの命が助けられない。(子ども人口がその分少なくなる。高齢者も早く死亡するので、高齢者人口も少ない。)

 経済状況が慢性的によくないため、少子化傾向がずっと続いている。(ちなみにベラルーシで一番出生率が下がったのは、パンを買うのに行列を作っていたペレストロイカのころ。1980年代後半生まれの世代。)

 同じく経済状態がよくないため、職を求めて外国へ出稼ぎに行ったベラルーシ人が、帰国しないケース。外国の教育機関に留学し、そこで就職するケース。外国人との国際結婚による移住。特にロシア人とは言葉の壁がないので、ロシアにベラルーシ人が移住するケースが多い。

 ソ連時代、都市部の人口の意外と多くを占めていたユダヤ系住民が、独立後、イスラエルやアメリカに大量に移住。ロシア系住民もベラルーシ国籍の取得よりロシア国籍の取得を望み、ロシアへ帰国したり、移住したりした。

 政治的、経済的亡命。現政権に不満を持つベラルーシ人がポーランドなどに逃げている。そうすると、今度はなかなかベラルーシへの入国許可が下りなくなるため、帰国できない。
 ベラルーシの貧しい家庭の青年が国外へ行ったときに、経済的亡命を訴えたら、ヨーロッパ各地の難民収容センターをたらい回しにされたケースもあります。最終的に難民と認められたらしいですが、その子どもの家庭、極貧というわけではないです。
 
 やはり経済的な状況がよくないため、出稼ぎのためベラルーシへやってくる外国人も少ない。
 つまり逆にベラルーシへ、仕事を求めてやってくる外国人がいない。他のヨーロッパの国の学術機関と比べると、留学生も大変少ない。ベラルーシ人と国際結婚後、ベラルーシに住もうという家族も少ない。
 石油も金も採れないので、このようなビジネス目的でやってくる人も企業もない。
 要するに定住しそうな人が外から来ないのです。

 殺人事件の被害者数も多い。自殺する人も増えている。
 チェルノブイリ原発事故の放射能汚染のせいで、健康な人の割合が少なく、病気を抱えている人の割合が高い。(つまり、短命であったり、子孫を残せる可能性が少なかったりする。)
 アルコール中毒患者の数が非常に多い。中毒そして依存症の人も合わせると、ベラルーシ人の10%を占める、と言われている。
 当然、そういう人たちは肝臓病に罹る確率が高く、平均寿命が短い。
 
 ついでに言うと食生活も脂肪分、塩分が多く、冬は特に保存食を多く摂りがちで、さらにアルコール摂取量も増えるため、健康によくない。
 ほとんど海がないため、ヨード摂取量も少なく、風土病と言っていいほどベラルーシ人の多くがヨード不足状態。

 ああ。だんだん気分が暗くなってきました。
 とにかく、ベラルーシの経済状況が好転すれば、人口減少にもだいぶ歯止めがかかると思います。
 日本もそうですが、ベラルーシも人口が減るのはやはり問題です。
 もっとも、若い世代が支えないといけない高齢者人口がベラルーシの場合、少ないので、若い人への負担は日本と比べるとずいぶん軽いと思いますが・・・。日本のほうが若年人口の減少は、ずっと大きい問題です。

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