ベラルーシの部屋ブログ

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女性はベラルーシの大統領になれません?

2020-06-03 | ベラルーシ文化
 今年8月に行われる予定のベラルーシ大統領選に向けて、候補者の署名活動が盛んに行われています。
 こんな時期に、現ベラルーシの大統領が、女性はベラルーシの大統領に立候補してもなれない(当選しません)という意味に取れる発言をして物議を醸し出しています。

 5月29日の報道によると、ミンスクトラクター工場での視察の際にその労働者たちとの対話の中で、ルカシェンコ大統領が、
「ベラルーシ共和国憲法は女性のためにない。そしてベラルーシの社会は女性が大統領になるための投票ができるほど成熟した社会ではない。なぜなら我が国の憲法の下では大統領は強い権限を持っているからだ。」
と発言しました。
 公の場での発言です。

 さらに、隣国リトアニアでは女性大統領ダリア・グリバウスカイテがいたことを受けて、
「ベラルーシはリトアニアではない。ダリア・グリバウスカイテは大統領の座にやってきて、腰掛けて、ほほえんで、去った。リトアニアは議会制の共和国なので、何の責任も負ってなかった。(だから女性でも大統領ができた。)ベラルーシはそうではない。ベラルーシ共和国の大統領は男性がなる。そう私は強く信じている。」
とも発言。

 女性大統領が誕生するには社会の成熟が必要。だけど、ベラルーシ社会は成熟していないんだそうです。(自分が治めている国の社会が成熟するよう努力していただきたいのですが。大統領が自国の社会を成熟するための努力をしていない、あるいはしてみたけど失敗してます、と認めているようなものですかね。)

 じゃあ女性大統領がいたリトアニアは成熟した社会だったとほめているのかと思ったら、政治のシステムのせいで、大統領が女性だろうが結局何もしていない、とリトアニアを下げる発言。
(リトアニアの人はこれを聞いてどう思うんでしょうか? 「あー私、今リトアニアに住んでて良かった。ベラルーシじゃなくて良かった。」といったところでしょうか。)

 「いやあ、ルカシェンコは自分の意見を言ってみただけだよ。意見を言う権利は誰にでもあるでしょ。」
と擁護する人(主に男性)もいますが、ベラルーシ女性の多くは反発。
 大統領選に立候補を目指している人の中には女性もいるのに・・・。

 大統領選の前にこんな差別発言をしたら、投票権のある人で女性は、ルカシェンコ大統領に投票しなくなるでしょう。
 有権者の半分は女性なんだから、たくさんの敵を作らないほうがいいのに・・・と私は思いました。
 それに加えて、次の大統領は男性になると、立候補者の一人である立場の人が、女性立候補者を牽制するようなことを今、言ってはそれこそ違反行為になりません?
 あるいは、自分の当選に対する不安に対する裏返しの発言なのでしょうか? (つまり差別発言ではない。)

 現在ベラルーシの女性で、特にビジネスレディーと言われる女性自営業者などが中心に、大統領選挙中央委員会宛に、大統領選に性差別のない平等性を求める請願書を提出しており、また選挙準備期間中にこのような発言を候補者がするのは、選挙法違反に当たるのではないかという申し立てを行い、その数が数十人にまで増えているそうです。

 
 

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