ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

被ばくした人は被ばくしてない人に対し・・・

2012-03-31 | 放射能関連情報
 ジャーナリスト木下黄太さんのブログで「被曝した人は被曝させたい心理構造にある・・・」という記事が投稿されています。
 詳しくはこちらをご覧ください。

http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/10f722aa3626b1ed6796c2bed01ca6b4?st=0


 この中に
「ウクライナやベラルーシで患者を見ている人からよく聞く話ですが、「俺も被曝したから、あんたも被曝しろ」という文言を良く吐くそうです。その言葉に何か深い意味があったり、論理的な構造があったりもしないそうです。なんとなく、自分が被曝したのだから、他の人間にも被曝させたいという構図です。・・・」

 とあります。
 私は17年間ベラルーシに住んでおり、また10年間のチェルノブイリ関係のボランティア活動を通じて、2000人以上の被ばくしているベラルーシ人に会ってきました。主に子どもですが、大人にも会っています。
 しかし「俺も被曝したから、あんたも被曝しろ」と言うベラルーシ人に一度も出会ったことはありません。

 そう心の中で思っているけれど、たまたま私にはそう言わなかっただけの話かもしれません。
 そういう考えのベラルーシ人、そういう発言をしているベラルーシ人もいることと思います。

 しかし被ばくしているベラルーシ人、全員が同じ考えだとは思わないでください。
 被曝していることが分かり、特に子どものことを心配し、被曝を減らすよう努力する人が私が知っている限りではほとんどです。「あんたも被曝しろ。」などと言っている場合ではありませんから。それより自分と家族のことでいっぱいいっぱいです。
 また「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーを自宅近くの学校や幼稚園などに持って行って配ってくれる人もいます。
 こんな行動を取るベラルーシ人が「あんたも被曝しろ。」と思っているわけがありません。

 そしてお願いですが、日本人で被ばくしている人も、みんな同じこと(私は被曝しているから、今被爆していない人も被曝すべき)を考えていると決め付けないでください。

 また「日本人ならみんな平等に被曝しよう。」という考えもやめてください。
 このような平等主義はおかしいと私は思います。
 戦時中の考え方みたいです。
 それに日本人全員、きれいに平均100ベクレルずつ被曝する、といったことはできないし、起こらないことです。

 私も私の子どもも測定をして食べ物による体内被ばくをしていたことが分かっていますが、「私も被ばくしたから、あんたも被ばくしろ。日本人はみんな被ばくしろ。」などと思ったことは全くありません。
 逆に日本人、ベラルーシ人という人種に関わらず、誰も被ばくしてほしくない、と思いました。

 ニュースで悲惨な殺人事件や特に人災による事故にあって亡くなられた方の遺族の話が報道されることがあります。
 多くの遺族の方が
「このような事件(事故)が二度と起こってほしくない。」
「このような思いをするのは私たち家族で最後にしてほしい。」
といった話をすることがあります。
 心痛と悲しみのどん底にいるのに、他人のこと、社会全体のことを思いやり、警鐘を鳴らしている言葉だと思います。

「自分は交通事故にあって、障害者になってしまった。だから交通事故にあったことのない人は、みんな事故に一度はあって、障害者になればいい。」
という考えの人も広い日本、どこかにいるかもしれません。
 しかし、そういう人はごく少数だと思います。

 日本人で被曝した人のうち「他の人は被曝してほしくない。」と思っている人のほうが多数だと思います。

 被曝や事故、事件に関わらず
「私は何も悪くないのにこんなに苦しんでいるのだから、他の人も苦しみを味わえばいい。」と思うのも人間。
「私はこんなに苦しい思いをしたので、他の人はこんな苦しみは味わってほしくない。」と思うのも同じ人間ですね。
 

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