ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

SOS子ども村での保養滞在プログラム (1) 期間と食事

2012-02-21 | 放射能関連情報
 体内の被ばくを減らす、という意味で食生活(食材の下ごしらえ、バランスの取れた食生活)やペクチン、カリウム、カルシウムなどの摂取が大切だということは何度も述べました。
 これと平行して保養滞在することもとても大切です。
 チロ基金がビタペクトTを配布しているSOS子ども村にある保養滞在のプログラムについて、職員の方々にインタビューしましたので、このブログでご紹介します。
 日本人の方も被ばくしたと分かっている方、はっきり分からないけれど、震災以降さまざまな症状に悩んでいて「被ばくしているのでは?」と悩んでいる方、もし機会がありましたら、保養に行ってみてください。
 仕事などの関係で
「保養なんか時間がなくてとても行けないよ・・・。」
という方でも、日常生活の中に保養滞在のヒントを取り込んでみてください。

 まず保養滞在プログラムの期間についてです。SOS子ども村では19日間の期間となっています。
 期間長ければ長いほど保養の効果が得られます。
 ベラルーシでは、保養と言うと最低でも14日間の滞在になります。
 ただ、人によっては2日ほどの保養滞在でも不快な症状が軽減した、というケースがあります。
 日本人は忙しい人が多く、休みも取れない、という場合が多いのですが、土日や連休を上手に使って保養滞在してみてください。

 SOS子ども村では滞在開始後、すぐにベルラド研究所に行き、体内被ばくを測定します。測定するのはセシウム137とカリウム40です。
 カリウム40は放射性物質で体に悪い物ですが、この量を知ることによって体によい他のカリウム群の合計を算出できます。
 つまり体の中にカリウムがどれだけあるのか、測定できるのでカリウム不足かどうか判断することができます。
 カリウムが体内から全くなくなると心臓が止まります。またカリウム不足になるとセシウムが体内にたまりやすくなります。
 そのため、測定の結果、カリウム不足であることが分かった人には保養滞在中、高カリウム食を摂るよう指導します。

 またセシウムが多かった場合(子どもは体重1キロあたり20ベクレル以上)はセシウム排出のため、チロ基金からビタペクトTをもらい、滞在中から飲み始めることになります。

 普通のベラルーシの保養所では食事が出ますので、それを食堂で一斉にみんなで食べることが多いです。
 しかしSOS子ども村は糖尿病やアレルギーなど食事に気をつけないといけない子どもも多く滞在していますので、食事は引率してきた母親が手作りしています。
 保養所にキッチンがあり、2家族でそれぞれの子どもに合わせた食事を作っています。
 食費はSOS子ども村から出ており、やりくりしながら献立を考えます。

 そこで保養滞在が始まるときに栄養学の話を聞き、必要な場合高カリウム食についても指導を受けます。
 この他、ジュースを1日1人200ミリリットルずつ支給されます。
 果肉入りの100%の果物のジュース、あるいは野菜ジュースをSOS子ども村が購入しており、家族の人数に合わせて分配しています。
 ジュースの種類はいろいろですが、りんごジュースが多くなるようにしているそうです。

 さらにビタミンとミネラルのサプリを支給しています。1人20回分で滞在期間中飲み終わるように指導しています。
 これは飲むタイプのサプリです。
 このサプリについては別に詳細を記事にします。

 次に食事です。
 SOS子ども村では1日5回食事をしています。
 朝食、午前のおやつ、昼食、午後のおやつ、夕食・・・です。

 内容について具体的に説明します。
 測定の結果、セシウムが多かった子どもは、朝起きてすぐにビタペクトTを1タブレット(約2グラム)をコップ半分の水といっしょに飲みます。
 そうでなかった子どもはビタペクトTは飲みません。
 場合によっては水ではなくジュースや紅茶といっしょに飲むこともあります。しかし必ず水分といっしょにビタペクトTを飲みます。
 
 朝食のおかずは肉類や魚類のないものです。例えばおかゆ、クレープ、カッテージチーズ、サラダなどです。

 昼食と夕食には必ず肉類か魚類のおかずにします。種類は特に問いません。
 しかしお肉が大好きなベラルーシ人はつい魚を食べず、おかずは肉ばかり・・・ということが多いです。SOS子ども村では必ず1週間に1回以上は魚のおかずを出すように指導しています。
 しかしそれでも忘れがちなので
「木曜日は魚の日」
と決めており、木曜日までに魚のおかずを作らなかった場合、木曜日には魚料理を作るようアドバイスしています。

 昼食と夕食には野菜類(サラダなど)を必ず添えます。種類は問いません。
 このほか海草をたくさん摂ることを勧めています。
 また昼食の量が多くなるようにし、スープや黒パン、ベラルーシ人の主食であるジャガイモを食べるようにしています。

 飲み物ですが、支給されたジュース、ビタミンとミネラルのサプリのほか、紅茶、コンポート(日本人が想像するコンポートは飲み物ではないのですが、ベラルーシでは飲み物です)、牛乳などの中から選びます。

 午前と午後のおやつですが、クッキー、あるいはビスケットが多いです。このほかお菓子を与える場合はゼフィール、マルメラード、パスチラの中から選びます。
 このお菓子について詳しくはこちらです。 

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/66d8a830f9f715a8534cd17c746c9350


 これに果物を1種類食べます。果物を食べるのは1日に1回だけです。午前のおやつのとき食べたら、午後のおやつのときには果物は食べない、ということです。
 測定の結果、カリウムが不足していることが分かった人には、食べる果物はドライフルーツ(干しブドウなど)が多くなるように指導します。
 カリウム不足に関係なく、食べる果物はりんごを一番に勧めています。

 おやつのときの飲み物は、ジュース、牛乳、コンポート、キセーリ、飲むヨーグルトなどの中から選びます。ただカリウムが不足していることが分かった人には1日に1回は必ず1杯のココアを飲むように指導しています。

 食生活については以上ですが、これを読んで
「こんなにたくさん食べられるのかしら?」
と思われるでしょう。
 しかし1回の食事の量は少なくして、胃腸にかける負担を減らそうという考えから、1日5回、少しずつ食べることになっています。

 このほか栄養学や衛生学のレクチャーを母親や年長の子どもは聞きます。
 衛生学、と言うと何だか難しそうに思えますが、実際には
「病気にならないように清潔を保つ。手洗い、うがいの励行」
「どうして人間は病気になるのか? ばい菌と免疫力のお話」
と言った分かりやすい話です。
 またベルラド研究所製作のビデオ「自分を放射能の影響から守ろう」を見ます。
 チロ基金が渡している「チェルノブイリ・放射能と栄養」もレクチャーの資料として活用しています。

 このほか、
「楽しい気分になるのも保養プログラムの主要な部分」
と考えていますので、さまざまなお楽しみプログラムもあります。
 例えば、動物園、サーカス、観劇、観光に行きます。家庭の宗教によっては教会のミサにも行きます。
 またSOS子ども村内でゲームをして遊んだり、さまざまなコンクールをしています。他にも手工芸をして楽しい時間を過ごすようにしています。
 
 SOS子ども村ではスポーツには力を入れていません。
 小学生以上の子どもたちは近くの学校に短期間受け入れられているので、平日は学校に通っています。
 運動は学校の体育の授業が主になります。
 しかし放課後、SOS子ども村内でサッカーやバレーボールをしたり、子どもたち同士で試合をしています。自転車もあるので、それに乗って遊んだり、冬場はそり遊びをしています。 
 
 SOS子ども村では設備がないので行っていませんが、水泳など全身運動になるスポーツをするのがお勧めだそうです。 
 
 

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