世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

エリーザベト

2018-10-31 04:11:31 | 青空の神話


フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター


バイエルン公マクシミリアンの次女エリーザベトは姉の見合い相手である皇帝フランツ・ヨーゼフ一世に見初められて16歳でオーストリアの皇后となった。勉強が嫌いなエリーザベトは王宮のしきたりや人間関係に耐えられず、逃避的な人生を送った。皇后としての職務は怠りながら、皇后として贅沢三昧の暮らしをし、愛した息子は若くして自殺し、最後にはある無政府主義者によって心臓を刺されて死んだ。



偽物の美人の見本例のような人ですね。顔もスタイルも満点に近い美貌だが、こういう美女はたいてい作り物です。霊的技術によって、馬鹿が人工的に作るのです。流行の美にぴったりはまるような美女など、ほとんどいません。それがたくさんいるのは、美女だということで得をしたい馬鹿な女性がたくさんいるからなのです。長い髪をこれ見よがしに流しているが、何かいやらしいでしょう。本当は自分の髪ではないからです。





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聖ニコラス

2018-10-30 04:12:29 | 青空の神話


聖ルチア伝説の画家


小アジアの司教ニコラスはある日、とても貧しい家があるのを知った。三人の娘があるが、結婚をさせるにも持参金もなく、それどころか身売りさせねばならないほどだったのだ。それを哀れんだニコラスは、夜中に密かにその家に金貨を投げ入れた。そのとき暖炉に靴下が吊り下げられてあり、金貨はその中に入った。おかげで娘たちは身を落とさずにすんだという。



サンタクロースのもとになったお話ですね。聖ニコラスのような人はいました。金を恵むなどということは、情けのかけ方を間違っているようだが、昔はそれもいいことにすることができたのです。社会の体制が今よりもずっと未熟だったからです。それが、クリスマス・イヴに世界中の子供たちにプレゼントを配る、妖精のようなおじいさんの話に発展した。大人になればだあれも信じなくなるというサンタクロースですが、本当はいるのですよ。何もかもをやってくれる、妖精のようにありがたい存在は、いるのです。





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ワイルドハント

2018-10-29 04:11:23 | 青空の神話


ペーテル・ニコライ・アルボ


神や妖精や亡霊や聖霊、伝説上の人物などが猟師となり、大挙して空を渡るという狩猟団。この狩猟団を見たものは死ぬという。八本足の馬スレイプニルに乗ったオーディンが導くワイルドハントは、魔物や聖霊や遠吠えする犬たちを導いて、冬の最中に来るという。



北欧の冬の厳しさを、人間の感性が表現したものでしょう。荒ぶる冬の気候は人間を翻弄するのです。この世界には、人間を容易に許さない自然がある。それを肌で知っている人間が、ワイルドハントというイメージを描いたのでしょう。
北欧神話では、太陽神バルドルはあまりにも簡単に死んでしまう。神々は最終戦争で敗れていく。嬉しみの多い南方の国の神話とはやはり違います。





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アキレス

2018-10-28 04:11:14 | 青空の神話


ベンジャミン・ウェスト


ペレウスとテティスの息子勇者アキレスは、トロイ戦争に参戦するが、アガメムノンに愛妾をとられたことを恨んで戦陣から退く。するとトロイ方のヘクトルが優勢になりギリシャ軍を追い詰める。見かねた親友パトロクロスがアキレスの代わりに出陣するが、たちまちのうちにヘクトルに敗れて死ぬ。アキレスは親友の遺体を前に悔い、テティスが持ってきた新たな武具をつけてヘクトルに一騎打ちをしかけ、それを倒す。



かかとの弱点で有名なアキレスの武勇です。女を失ったことより友を失ったことのほうが痛かったのでしょう。男が命を懸ける代償としては、友情はきついものだったらしい。女性を一段低いものとみていた時代ですから仕方のないことではありますが。確かに、男の真の友情というものはないがしろにしてはいけないものだ。馬鹿なことをしたのなら、命をかけてでも取り戻さねばならない。





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ファエトーンの墜落

2018-10-27 04:11:00 | 青空の神話


ハンス・フォン・アーヘン


太陽神アポローンとクリュメネーの息子ファエトーンは、友人にアポロンの息子であるかどうかを疑われたため、父の所にいき、太陽の戦車を操縦させてもらった。だがアポローンの戦車を引く馬はたちまち御者がいつもとちがうことに気付き、暴走し始めた。ために地上で大火災が起き、それは癒しがたい重大な被害を起こした。困ったゼウスは仕方なく雷撃でファエトーンを殺し、ファエトーンは空から真っ逆さまに墜落した。



若者の奢りを戒める神話でしょう。若いうちは親がいくらもいいことをしてくれますから、自分でなんでもできると思い込むところがある。だが本当はまだ子供で、何もしたことはない。成長していく過程で壁にぶつかり、本当の自分の力を知る時はきますが、調子に乗ってファエトーンのように馬鹿なことになりすぎないようにしましょう。





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トール

2018-10-26 04:11:11 | 青空の神話


モルテン・エスキル・ヴィンゲ


雷神。アース神族最強の神。怪力の持ち主で、山羊の引く戦車に乗り、鉄槌ミョルニルを武器に巨人と闘う。天候も支配し、豊作を導くともいう。



ギリシア神話の最高神ゼウスとも関連がある神とされます。雷撃で戦うゼウスとよく似ている。男性の神というものの中にはよくこういう役割を負う者が出ました。力を持って邪を封じ秩序をもたらす。男性の大きな役割と言えましょう。これがちゃんとできるようにならないと、男にはなれません。





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ワルキューレ

2018-10-25 04:11:29 | 青空の神話


エドワード・ロバート・ヒューズ


神々の王オーディンによって、優れた戦士の死を定め、勝利を決定する使命をもたされた女性たち。彼女らに選ばれた戦士は死後神々の館ヴァルハラに迎えられ、そこで美しいワルキューレたちの接待を受けるという。そして神々の黄昏という、最終戦争に参加するまでの月日を過ごす。



戦場で雄々しく戦死すれば、死後美女の接待を受けるなどという考え方は、今でもどこかにありそうですね。結局男というものは、女のために何もかもをやっているようなものだ。女性がいなければ、建前的な勇も表すことはできない。ヴァルハラという天国は存在しません。天国では、女性は男の接待などしなくてよいからです。本当に男になるためには、何度でも死ななければならない。この神話は、その苦しみを和らげるためにあったのでしょう。





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ルシフェル

2018-10-24 04:11:36 | 青空の神話


フランツ・フォン・シュトゥック

彼は光をもたらすものという名を持つ輝かしい天使であったが、神に反逆し、自ら堕天使となった。悪魔の長サタンの堕落前の名前であると言われる。



堕天使というものは存在しません。解脱を経て愛に目覚めた魂が、悪に堕落するのは事実上不可能なのです。堕落するのは、いつでも、まだ愛に目覚める前の幼い魂です。人間たちなのです。
人間もまた、天使に進化する可能性を有するものであれば、悪魔に堕した人間たちを堕天使と呼ぶこともできるかもしれません。しかしそのようなものたちは翼など有してはいない。このように、男性的に美しい姿もしていません。
彼らは恐ろしく老いている。そして小さく萎びている。それでいながら、瞳はまるで子供のように馬鹿っぽいのです。その姿があまりにもつらいので、彼らはあらゆる存在を憎み、神の創造物を破壊し続けるのです。





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磔刑

2018-10-23 04:11:10 | 青空の神話


ヘラルト・ダーフィット


ゴルゴタの丘というところで、イエスは十字架につけられた。人々はその姿を見て口々にののしった。イエスが十字架の上で死んだとき、神殿の垂れ幕が真っ二つに裂け、地震が起こり、墓が開いて多くの聖者たちが生き返った。人々はその様子を見て非常に驚いた。



この神話にはパウロほかの人間の脚色がたっぷり含まれています。事実では、イエスは十字架につけられたときもうすでに死んでいました。弟子をはじめ、多くの者たちが彼を憎み、獣のように狂って、大勢で彼に殴るけるの暴力をふるって殺したのです。そしてイエスが死んだあと、突然彼らはイエスを愛していたことに気付き、その苦しさのあまりまた狂って、死体を侮辱し、十字架にはりつけたのでした。なぜそのようなことをしたのか。今ならわかるでしょう。自分がつらかったのです。あまりに馬鹿な自分がつらかったのです。





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ブッダ

2018-10-22 04:11:21 | 青空の神話


オディロン・ルドン


釈迦族の王スッドーダナとマヤ夫人の子であるシッダールタは、ルンビニーの園で生まれた。王子として何不自由なく育ったが、ある日この世界の生老病死の苦しみの姿を見て、救いを求め、全てを捨てて出家し、修行者の中に身を投じ、苦行や断食などの様々な遍歴を経た後、ある日菩提樹の下で瞑想して、悟りを得た。



これらの仏教説話は、ほとんどが創作です。本当の釈尊は王子でさえありませんでした。あまりに美しく立派な人だったので、後世の人が王族にしてしまったのです。仏陀の真実はゆがめられて伝わっています。彼は人を愛することは無駄だなどと言ったことはない。ただ、自分自身であることの幸福を、豊かな心と美しいまなざしで、人々に語ったのです。





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