世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ヴィーナスとクピド

2018-12-21 04:11:39 | 青空の神話


ジョヴァンニ・アントニオ・ペレグリーニ


ヴィーナスはさまざまな男との間に子供を生んだが、エロスことクピドは、マルスとの間に生まれた子であった。翼をもつ若い男性の姿をし、手に弓矢を持つ。金の矢で射られたものは見たものに激しく恋し、鉛の矢で射られたものは、激しく嫌悪するという。美の女神ヴィーナスの忠実なしもべでもある。どんなすばらしい神も、彼の愛の矢にはひざまずかざるを得ないという。



愛の神エロスはもとはガイアが産んだ原初の神のひとりでしたが、のちにヴィーナスとマルスの子供になりました。もっと後には赤子のようなとてもかわいい姿になった。それは恋というものがみごとにそういうものだからでしょう。どんな立派な人も恋の前には子供のように愚かになる。あきれるほど馬鹿なこともしてしまう。そういう人間のさまをたくさん見てきた人間が、恋の神にそういう姿を与えたのかもしれません。愛と結婚というものを人は一段低いものとみがちだが、それを侮っていると、手痛い反撃を受けることがある。ヴィーナスの息子であることには、重い意味があります。





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする