世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

クー・フーリン

2018-12-12 04:11:08 | 青空の神話


ジョセフ・クリスティアン・レイエンデッカー


セタンタは五歳のときに、クランという男が飼っていた、十人の戦士がかかっても倒せない犬を倒したため、クランの番犬すなわちクー・フーリンと呼ばれるようになった。クー・フーリンは激情的に敵を倒し続け、武術を磨き、常に勝利者の側にあった。だがその彼にも死ぬときが来た。ある日森で三人の一つ目の老婆が犬の肉を焼いているのにクー・フーリンは出会った。老婆たちはクー・フーリンに肉を食べて行けと誘った。彼は下の身分の者からの食事の誘いは断らないという誓約を持っていたが、同時に自分の名前にちなんで犬の肉も食べないと誓っていた。クー・フーリンが誘いを断れずに犬の肉を食べると、誓いに反したために彼は体がしびれ、敵の槍に打たれて死んだ。



どんな英雄も、最後には負けます。負けすなわち死だ。男の戦いとはそういうものです。どこかで、負けるということを経験しない限り、男は真の英雄にはなれません。勝ち続けていれば、その男は馬鹿になってきて、いずれは世界に害をなす魔になるからです。痛いところで引くことを勉強しない限り、男はバランス感覚というものが身につかない。負け方を教える神話は重要だ。このように、どうしようもない条件を飲まねばならない時、自ら滅ぶことを選択することも、男はできねばなりません。





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