世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ペルセポネー

2018-12-04 04:13:33 | 青空の神話


ウォルター・クレイン


ゼウスとデメテルの娘。彼女はある日仲のいい少女たちと野で花を摘んで遊んでいた。すると一本の茎に百の花が咲く珍しい水仙を見つけたので、それを折ろうとした。とたんに地がぱっくりとわれ、中から四頭の黒い馬に引かれた戦車が現れた。戦車には青い顔をした立派な男が乗っていた。あっと思う間もなくペルセポネーは戦車にさらわれ、戦車はまた穴の中に消えていった。ペルセポネーをさらったのは冥界の王ハデスだった。ハデスは無理矢理彼女を妻にした。



この神話には、娘をさらわれた母デメテルの悲しみの神話が続きますが、それははぶきましょう。ペルセポネーは、最初ハデスに逆らいますが、ハデスの強引なやり方に負け、冥界の女王となります。一筋縄ではいかない男には、女性は負ける以外方法はないのです。だが、憎悪が消えるわけではない。男は常に妻を恐れていなければならない。本当に愛されているわけではないからです。ペルセポネーとハデスの夫婦生活がどのようなものであったのかの神話はありませんが、冷たいものであったとは想像がつきます。幸せであれば、暗い冥界などに住めるはずがない。愛してもいない男との暗い世界での暮らし。それは彼女にとって、永遠に続くかに思える、屈辱の日々に違いなかったのです。





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