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『これは水です』(読書メモ)

デヴィッド・フォスター・ウォレス(阿部重夫訳)『これは水です』田畑書店

映画「人生はローリングストーン」に感銘を受けたので、ウォレスの「全米第1に選ばれた卒業式スピーチ」を読んでみた。

スピーチの出だしは二匹の魚の話し。年上のサカナが若いサカナに声をかける。

「おはよう、坊や、水はどうだい?」
いったい、水って何のこと?
(p 6-7)

泳いでいるサカナにとって「水」が当たり前であるように、われわれ人間にとって、決まりきった日常は「水」のようなものである。

そうした日常の中でどこに目を向けるか。それが人間の生き方を決める、というメッセージである。

「何に意味があり
何に意味がないかを 
こころして決断しなければなりません

何を崇拝すべきかは
あなたが決めなければならない
(中略)

僕らに唯一できる選択は
何を崇拝すべきか、だけです」

(p. 104-110)

カネ、モノ、からだ、美貌、権力、知性を崇拝しても、ろくなことにはならない、とウォレスは言う。

しかも、こうしたものを「無意識」のうちに崇拝してしまうところが怖いのだ。

では何が大事なのか?

それは、「思いやり」である。

自分が泳いでいる「水」を意識したい、と思った。





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