一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

9年前の東北大震災

2020年03月11日 12時10分45秒 | お知らせ
▲ 鉄骨の骨組みだけが残っていました

9年前の今日、2011年3月11日、東北大震災がありました。
震災に合われた方は、その後も大変な毎日でも頑張っていらっしゃると思います。
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたします。

しばらくたって、建築士の仲間と東北の現場確認に行ったときは
津波が来てしまったら、
どういう建物を設計しても対応できない、
どうしたらいいのかわからない、という悲壮感だけを感じてしまい
現地で、体調が悪くなったのを覚えています。

鉄筋コンクリート造でも、津波の場合は
屋上に逃げる時間と高さが足りれば良いですが
窓があればそれを突き破って、家中に
大量の水が入ってきて、生存できる確率は低いです。

 

▲▼木造住宅の基礎だけが残り、あとは全部破壊され、流されてしまいます。




東北大震災発生当時間は、
横浜市からの依頼で耐震診断後の説明に、
木造戸建てのお宅にお伺いしていました。

構造評価点が0.2だったので、
その家の方は、震度4とか5で倒れるのでは?
と心配されていました。

「1980年以前の建物でも当時の基準法を守っていれば
 震度4や5で被害は受けても、倒れることはありません。
そこまでは心配しなくて良いのですが
 阪神大震災のように震度6以上になると倒壊の可能性が高まります」

とご説明しました。

午後2時から始まった説明が終盤に差し掛かったとき
地震の揺れが通常より大きく、

「外に避難しましょうか?」
と外に出た時、
道路の電柱が、グワングワンと揺れているのが
見えました。

横浜市青葉区は、震度5弱でした。
震度が5から6とひとつ上がれば揺れの体感は
目安として2倍になります。

確かにあのとき体感した2倍の揺れが来たら
あの木造戸建ては、倒壊してもおかしくないくらいの
揺れでした。

私の青葉台の事務所に戻ると、
4人いたスタッフがみんな外に飛び出していました。

鉄筋コンクリート造の3階ですが、揺れが大きく
事務所の中は本棚から落ちた本がいっぱいでした。

すぐに仕事を中止し、全員を帰宅させようと思ったら
電車が動いておらず、復旧の見込みもなさそうだったので
2台の車で分かれて、スタッフの4人を送ることになりました。

国道の渋滞、ガソリンスタンドの閉鎖、信号機の無点灯の中でも
当日、どうにかみんなを送り届けることはできました。

この3月の時期は、完成して引き渡し直前の時期と重なります。
大震災の影響で物流や工業がストップして、
設備機器なども入ってきませんでした。

消費税アップの需要増の影響で
建材類が品不足になることは
毎回のように起きますが、

予期していない災害の場合は、準備できないので困ります。
トイレの便器や洗面台をネットや電話で探しまくり、
最終的にはオークションで私が落札して仕入れ、
業者に支給して、仮に取付けてご入居して頂いたこともあります。

9年後の今も、新型肺炎の影響で、
パナソニックやTOTOなどを含んだ大手で
納期回答不能の連絡が、1か月程度前から出ています。
部品を含めて中国工場から商品が入ってこない、
期日がハッキリしないためです。

昨年の夏も台風の影響と被害で
職人さんと材料が不足して大変なことになりました。
おととしもありました。
今年の夏も、台風には注意です。

新型肺炎、オリンピック、そして災害と
職人さんが足りない、材料が手に入らないという
ジレンマと、建築士でも解決できない無力さを実感します。

スタッフと良い意味で驚いたことがあります。
先日、代々木上原で16年前にミタス一級建築士事務所が設計監理して
新築した戸建てに、久しぶりにお伺いしたときのことです。

「東北大震災の時に、娘と2階リビングにいたのですが
地震に気付きませんでした。遠方にいる兄弟からの電話で初めて知りました。」

と聞いたことです。
調べたらこの地区も、事務所のある地域と同じ震度5弱でした。

「そんなことがあるか?」とスタッフとも驚きました。

事務所の近くに新築した木造2階建てで、
震度4の地震が来た時も

「わずかに揺れた、地震かな?程度」とお聞きして
「よしよし!」とスタッフと喜んだことはありましたが
震度5弱で気付かないって、良い意味で想定していませんでした。

これからも、地震や台風の災害や新型肺炎など様々な予期しない
障害が、いろいろ起こると思います。

そういう中でも、少しでも前向きに過ごせるように
一番大切でベースになる住宅を少しでも快適になるように
建築士として設計監理し、向上させていきたいと思います。

私にできることは、それしかないと思っています。



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快適な住宅の創り方(5)

2020年03月04日 10時59分06秒 | 住宅ノウハウ・実例
▲リビングとダイニングを廊下でつなぎその床に照明を組み込みました。
完成後築16年、設計監理したこの建物内部を久しぶりに昨日見ました。


2020年3月3日の一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」快適な住宅の創り方(4) の続きです。

前回、耐震性についてご自身の要望を考えるときに
どの程度を求めたいかを考えるように説明しました。

そこまでの希望を考えておかないと優先順位が付かないですし、
業者を選択するとき、依頼するときの念押しも
それでかなり変わってくるからです。

実は、昨日の2020年3月3日に驚きの事実を知りました。
築16年の住宅でご主人様と建物内でお話ししたのですが、

「東北大震災の時に、2階リビングに娘といたのですが
地震に全然気付きませんでした。遠方にいる兄弟からの心配の電話で
初めて知ったのです」

「ええ~!?」と設計と監理をした私も驚きです。

耐震性には自信をもって設計や監理をしていますが、
調べたら、渋谷区で震度5弱の地域です、
そんなことあるの???

このページの地下室のある家です

同じ震度5弱だった私の事務所では、鉄筋コンクリート造の3階ですが
揺れの激しさにスタッフ4名がビルから飛び出して、
1階の道路にみんな立っていました。

当時、車で外部から戻ってきた私は、
「同じ逃げるなら、建物のない隣の駐車場の前で待っていないと
建物が、道路側に倒れてくるよ」
とアドバイスしたことなど、よく覚えています。

事務所に入ると、本棚から本がたくさん落ちていました。

「揺れに気付かない?震度5弱で? 凄いなぁ…」と
我ながら驚き、感心しました。

東北大震災の翌日に、
気になる新築やリフォームしたユーザーの家に
私が電話をしていったとき一番心配していたのが、
浦安で新築されたばかりの住宅でした。

「駅からの帰宅途中、多くの家が傾いていたり道路が波打っていたりしていたので
家の中が酷い状態になっているだろうなと思っていましたが、
何一つ倒れたものもなく、全く何ともなっていませんでした。」

とお聞きしたときは、ほっとしました。
地盤の弱い地域だったので揺れは大きかったはずですが。

ミタス一級建築士事務所では
単に耐震等級3をクリアしているというレベルだけでなく
数字にもチェック事項にも現れない、いくつものノウハウを
組み込んで設計しています。

阪神淡路大震災以降、いろいろ真剣に学ばせて頂きました。
阪神大震災以降に行われた、木造の構造学で大家の杉山英男先生の講演
を受けてショックだったことがあります。
「木構造って、本当は計算できないんだ。」

その理由と意味に納得し、
耐震設計の計算には現れない大切な考え方や
設計だけでなく工事方法や監理も重要だとういことを肝に銘じました。

話は、戻りますが
本当に耐震にこだわる人は、簡単に述べておきますと

耐震等級3以上、または建築基準法の壁余裕度1.5以上
さらに偏心率0.15以内

を最低でも希望してください。
業者選択の時の事前のやり取りや依頼方法はまた述べます。

建築基準法をクリアしていれば良い、
そこまでこだわらない人は、無視してOKです。
完全な欠陥住宅でない限り、全て最低限はクリアしているはずですので。



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快適な住宅の創り方(4)

2020年03月03日 13時03分51秒 | 住宅ノウハウ・実例
▲キッチンの並びに、少し隠れた
長いカウンターと壁面収納
手前には納戸もあります。

2020年2月25日のブログ記事一覧-一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」(3)の続きです。

自分が求めている「快適な住宅」について、
一度考えてください。

かなり漠然としていて、優先順位がハッキリしていないことも多いです。
いろいろな切り口がありますので、例をあげてみます。

通常、絶対大切な要素に「予算」があります。
中には、「気に入ればいくらでも」という人もいらっしゃいますが例外です。

予算を業者に伝えないといけませんが、総予算と伝えたとしても
それがどこまで含んでの総予算かということです。

工務店は、「自分たちが請求する金額の合計」と理解するかもしれません。
引っ越しの費用や仮住まい、置き家具や家電品は必要でしょうか?

カーテンや照明器具、エアコンはあなたは当然含んでいると思っていても
業者は違うかもしれません。

中には、オプションやグレードアップ分も当然別途だと考えている場合があります。
あなたは、全て入っていると信じて予算を立てていた。
業者は注文を取るために、「見積もり掲載以外は別途」と書いて
他に必要な項目を記載していない場合もあります。

設計が全て終わってからの正式見積もりで、ビックリ!
何とかして止むを得ず手当てしても
完成時にさらに追加が出て、出費も他に必要だとわかって

「騙された!」という気分になるかもしれません。
それでも、納得できる住宅が完成したならまだ良いですが…

予算ひとつにとっても、初めて家を建てたり購入する方には
わかっていないないことが多いはずです。

「快適な住宅を創る」には、そういうことも抑えないといけません。

わからなかれば、業者に徹底的に質問して、教えてもらって
書面でももらっておくことが必要ですね。

次に「構造」です。
「構造」で具体的に浮かぶのは対地震ですね。

地震に強いのは、当たり前なので
「最低限、建築基準法を満たしていて欠陥住宅でなければ構わない」
という人は、「耐震性 最低限」とメモしておけば良いでしょう。

そういう人は、欠陥住宅さえ手に入れなければ良いので
どこに頼むか選択肢を考える場合、あまり考慮に入れなくて良いです。

そうではなくて、「耐震性は通常レベルでは嫌だ。こだわるので絶対強く」
という人は、どの程度かです。

どの業者に聞いても
「絶対、大丈夫です」
「うちは自信があります」
「ハウスメーカートップの〇〇ですよ。大丈夫に決まってるでしょ」

「耐震性、自慢できるくらい強い」とか
知識のある人なら「耐震等級3以上」とか
「長期優良住宅以上」だとわかりやすいですね。

わからないけどこだわりたい人は
「耐震等級3以上」とメモをして希望を伝えてください。

まだ先になりますが、
こだわった項目ごとの業者の探し方と見分け方、
依頼の仕方もお教えします。
他では絶対に教えてくれないことです。

なぜなら、業者側は、もし知っていたとしても
自分の首を絞めることになりますし
(多分、あまり知らない)
住宅評論家や学者も知らないことだからです。

あなたにとっての快適な住宅の条件、
予算、構造、断熱性、耐久性、デザイン、色、素材、健康面、機能性、
お手入れ、間取り、動線、使いやすさ、といった切り口でも良いですし

「光と風が通る家」
「暖かくて涼しい」
といったイメージでも良いのです。
せっかく創るなら、あなたの希望を項目もイメージも満たす
方が良いですね。

「満たす?」
「う~ん、ミタス」 ですね。(^^)v

この項目の解説、まだまだ続きます。

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