一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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住宅トラブル相談(16)

2008年09月05日 10時31分25秒 | 住宅検査・トラブル相談
▲ ドイツベルリン郊外の広場で ▼



みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。

本日も神奈川県建築士事務所協会の会合に出かけます。

その前に住宅トラブルの相談について、一般的なお話にして回答し、
皆さんも学べるようにブログで紹介しましょう。


  「建築条件付の新築戸建てをハウスメーカーで建設中なのですが
   トラブル続きで悩んでおります。

   工事が始まると営業担当者が言っていたことや、事前の図面とが異なり、
   現場担当者から、構造上できないと言われたことがいくつかあります。

   さらに、決算なのですぐ契約して欲しいといわれて、多めの金額での概算見
   積もりで契約しました。

   工事が始まってから、催促したら詳細の見積もりが出てきました。
   多めに金額を入れてもらったはずなのに、明細はその金額にピッタリでし
   た。

   さら頼んでいないエコキュートなどのオプションが付いていて、
   不要だというと、『変更するには、変更料が必要だ』と書面にサインを
   させられ、費用負担することになりました。

   他にもいろいろ高い金額で記入されている印象です。
   世間相場を提示して適正な金額である見積もりに差し替えてもらうことは、
   可能と思われますか?」


という質問内容です。

みなさんは、どのように思われますか?

よくあるトラブルパターンですので、私の意見をこのブログで述べます。


まず、建築条件付きには、充分注意してください。
工事業者がハウスメーカーであってもこの手のトラブルが多いです。
何が問題かというと、工事内容がハッキリしていないのに、とにかく契約してしまうことが問題なのです。

建築条件付きは、3ヶ月以内に請負契約をしないと無効になり、白紙、すなわち
契約は無かったことになります。手付金もすべて返ってきます。

業者や担当者は必ず、何か理由を付けて契約を急ぎます。

しかし、急いで契約しても、みなさんが希望していた、または期待していた
住宅にはならないことが多いです。


それで後でしまった!と思っても、内容が良く分からないのに
軽々しく契約してしまったみなさんにも、責任はあります。

契約後、3ヶ月間で納得できなかったら、白紙の特約期間を延長してもらえば
良いのです。但し、その旨を必ず書面で交わしてくださいね。



住宅は、生涯で一番高額な買い物であることが普通です。

不動産屋さんの仲介には、紹介だけで無条件で少なくとも数百万円を支払います。
トラブルや不満があっても、実際は何の味方にもなってくれません。

それなのに、皆さんの強い味方になってくれる第三者の建築士に数万円とか
数十万円の支払いを惜しむ気持ちがわかりません。

まあ、役に立たない建築士もいますが、専門知識は皆さんより遥かに豊富ですし、
住宅の契約前の相談には、金額の何倍とか何十倍にもなって皆さんに返ってくる
と思うのですが。


営業担当者と現場監督の言うことが、食い違うということは良くあります。

営業は売ることが仕事ですから、みなさんが喜ぶこと、契約してくれそうな
ことは、オーバートークでも言ってしまうでしょう。契約すれば、
営業の仕事は、極端に言えばそれで終わりですから。

ハウスメーカーの営業担当者で、同じ頼むならこの担当者にという人を
別々の有名ハウスメーカーですが2人だけ、私は知っています。

それでも、契約して工事に入れば、良心的な営業担当者がどんなに頑張っても、
限界があります。

会社から任された範囲でしか、自身で裁量できません。
上司に相談しても、上司の評価が下がるので、会社の利益が減ることには
簡単にはイエスと言いません。そのための上司ですから。

まして、いいかげんな担当者では、自身のミスを会社に知られたくないので、
お客さんがクレーマーとして報告されています。

ですから、営業担当者は、良心的なだけでなく権限をもった役職のできるだけ
上の人で、さらに仕事ができる人と契約するのが良いのです。

私が知っている大手ハウスメーカーの2人というのは、そういう営業担当者です。

新人で、張り切って一生懸命やってくれる担当者は、気持ちは良いのですが、
権限がなく、イザというときには、あまり頼りになりません。



さて、今回は、紹介はしていないのですが
いくつかの具体的なトラブルの相談がありました。
ですが、回答は同じです。

担当者を通じてではなく、その上司と直接話し合わなければなりません。
支払いはできるだけ控えておいて交渉した方が良いです。

こちらの要望をできるだけ証拠と一緒に書面で出して交渉し、
先方がOKしてくれれば、それで問題ありませんが、
応じてくれない場合、最後は調停や裁判を行わないと、決着は付かないでしょう。


今回の金額が高いということに関してですが、客観的な証拠を示すことができるか
どうかによります。これは、程度によりますが、裁判や調停で争った場合は、難し
いでしょう。

標準仕様は安くても、ハウスメーカーのオプションは、もともと非常に割高です。
工務店の2倍くらいの金額を取られることは、珍しくありません。

でも、それらが高いからと訴えても、なかなか勝てないでしょう。
定価のあるものが、定価以上するのであれば、客観的な証拠にはなります。

「他の業者では製品定価から4割引が当たり前だ」
「工務店なら、この工事は半額でできる」

と裁判で主張しても、契約して着工してからでは、
この程度の内容であれば難しそうです。


今回の相談内容では、できるだけ上の人と話し合って、お互いが妥協できる線で
納得するほうが良いと私は思います。

話し合っても全く納得いかないのであれば、調停や裁判を行うしかありません。


住宅はトラブルが付きものですし、クレーム産業と呼ばれています。
簡単に契約しないで、契約する前にもっと慎重になって欲しいのです。

住宅のトラブ相談の8割は、この言葉に尽きますので、
これからお考えの方はよく覚えておいて下さい。



転ばぬ先の杖 

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