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『オーメン:ザ・ファースト』

2024年04月18日 | 映画(あ行)
『オーメン:ザ・ファースト』(原題:The First Omen)
監督:アルカシャ・スティーヴンソン
出演:ネル・タイガー・フリー,タウフィーク・バルホーム,ソニア・ブラガ,ラルフ・アイネソン,
   マリア・カバジェロ,ニコール・ソラーチェ,チャールズ・ダンス,ビル・ナイ他
 
わが家よりもイオンシネマ茨木にいるほうが入院中の病院に近い。
家でじっとしていても落ち着かないだけだから、面会前にまず1本、封切り直後の本作を。
 
ずっとホラー映画が苦手でしたから、『オーメン』(1976)も未見です。
それでも『エクソシスト』(1973)や『サスペリア』(1977)は地上波放送時にチラ見したことがあったり、
首が一回転するシーンや緑色のゲロを吐くシーンについて聞いたことがあったり、
知ろうとしなくても耳に入ってくる情報が多かった。
『オーメン』に関しては、悪魔の子ダミアンという名前と誕生日しか知りません。
6月6日生まれの人は幼少期に「ダミアン」と呼ばれたことがあるんだろうなぁ(笑)。
 
さて、本作は『オーメン』の前日譚ですが、『オーメン』を知らないのだから、
私にとっては前日譚も何もあったもんじゃありません。
でも、ダミアンの名前を知ってさえいれば楽しめるホラー作品でした。
 
1970年代初め、修道女となるべくアメリカからローマへやってきたマーガレット。
かつて妄想に惑わされて暴れるなどして問題児とみなされていた彼女を諭し、
道を示してくれたのはカトリック教会のローレンス枢機卿
マーガレットは孤児院で子どもたちの世話をしながら誓願式に備えることに。
 
規律を守る日々を心がけるマーガレットだったが、
ルームメイトのルスは修道女になる前に羽目を外すことも必要だと、
飲酒にクラブにナンパと、未知の世界へマーガレットを誘う。
 
ある孤児の少女カルリータは、なぜだかしょっちゅうひとりで部屋に閉じ込められている。
修道院長らに理由を問うと、カルリータが他人を傷つける行為をするからだと言う。
陰のあるカルリータを打ち解けさせたくて気にかけていたところ、
教会を破門されたブレナン神父に呼び止められ、衝撃的な話を聞かされる。
 
教会がカルリータに悪魔の子を出産させようとしていると聞き、
にわかには信じられないマーガレットは、ブレナンに怒りの目を向けるのだが……。
 
ちょっと話は見え見えですよね。
悪魔の子を産むのはおそらくカルリータではなくマーガレットだろうということは。
見え見えだけど、面白い。
 
以下、ネタバレです。
 
そもそも教会がこんなことを考えたのは、キリスト教が威厳を保てなくなったから。
公民権運動の真っ只中で、特に若者は宗教による指導に否定的。
畏怖をおぼえさせることのできないキリスト教なら要らないと、
教会はどうにかして畏れられる存在になるために、悪魔と手を組むことにするのですね。
 
悪魔に孤児をレイプさせて生まれてきた子どもたち。
人間と獣の子どものわけですから死産が多く、生まれてきても奇形児だったり。
そうではなかった子どもは大事に育て、また悪魔の子どもを身ごもらせるというおぞましさ。
ただし、教会が必要としているのは悪魔の王に君臨する男児のみ。
今までは女児ばかり生まれていたけれど、マーガレットが初めて男児を出産します。
 
しかしマーガレットが産んだのは男児だけではなく女児との双子。
男児さえ生まれればもう母体も女児も不要だと殺されそうになるところ、
カルリータに助けられてマーガレット母娘は生き延びます。
 
3人は幸せに暮らしてほしいと思っても、ここから『オーメン』に繋がるのですから、
そんな順風満帆には進まないのか。
ラストはブレナン神父がマーガレットたち3人の隠れ家を訪れて、
奴らは絶対に殺しにやってくるから気をつけろと忠告してくれます。
平穏に暮らす夢は叶わない、奴らには敵わないとわかっていると、このエンディングは切ない。
 
マーガレット役のネル・タイガー・フリーは美人で演技も上手くてハマリ役。
これぐらいの年齢になっていればその心配もなさそう。
カルリータ役のニコール・ソラーチェも実に綺麗な子。今後はどんな作品で出演するのか。
 
ブレナン神父役のラルフ・アイネソンはバイプレイヤーですね。
ビル・ナイは普段は安心させてくれる役者なのに、ローレンス枢機卿役とは。怖いやんか。
 
そして私は今、オリジナルの『オーメン』を観るべきかどうか悩み中。

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