みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

<原発事故>炉心溶融 判定基準見過ごす/メルトダウン判断 3日後には可能だった

2016-02-26 10:18:57 | 地震・原発・災害
一昨日、東京電力が、
「福島第一原子力発電所の事故発生後3日目にメルトダウン(炉心溶融)と判断できていた」
という衝撃的なニューズがかけめぐりました。

わたしは、原発事故から早い時期に「メルトダウンだ」と確信していたので、
このニュースにはおどろきませんが、
東京電力は、「メルトダウンだと知らなかった」のではなく、
「メルトダウンだと知っていて隠した」罪は重大といきどおっています。

忘れないように、関連のニュースと、
事故直後からのわたしのブログの記事を紹介します。

  メルトダウン判断 3日後には可能だった
2016.2.24 NHK

東京電力は、福島第一原子力発電所の事故発生から2か月たって、核燃料が溶け落ちる、メルトダウンが起きたことをようやく認め大きな批判を浴びましたが、当時の社内のマニュアルでは事故発生から3日後にはメルトダウンと判断できたことを明らかにし、事故時の広報の在り方が改めて問われそうです。

福島第一原発の事故では1号機から3号機までの3基で原子炉の核燃料が溶け落ちるメルトダウン=炉心溶融が起きましたが、東京電力はメルトダウンとは明言せず、正式に認めたのは発生から2か月後の5月でした。
これについて東京電力はこれまで、「メルトダウンを判断する根拠がなかった」と説明していましたが、事故を検証している新潟県の技術委員会の申し入れを受けて調査した結果、社内のマニュアルには炉心損傷割合が5%を超えていれば炉心溶融と判定すると明記されていたことが分かりました。
実際、事故発生から3日後の3月14日の朝にはセンサーが回復した結果、1号機で燃料損傷の割合が55%、3号機では30%にそれぞれ達していたことが分かっていて、この時点でメルトダウンが起きたと判断できたことになります。
東京電力は事故後にマニュアルを見直し、現在は核燃料の損傷が5%に達する前でもメルトダウンが起きたと判断すれば直ちに公表するとしていますが、事故から5年近くたって新たな問題点が明らかになったことで、当時の広報の在り方が改めて問われそうです。

メルトダウン認めるまでの経緯
今回の発表や政府の事故調査・検証委員会の報告書などによりますと、東京電力は福島第一原発の事故発生から3日後の3月14日に核燃料の損傷の割合が1号機で55%、3号機が30%に達していることを把握しました。さらに翌日の15日には損傷の割合について1号機で70%、2号機で30%、3号機で25%と公表しますが、原子炉の核燃料が溶けているのではないかという報道陣の質問に対して「炉心溶融」や「メルトダウン」とは明言せず、「炉心損傷」という表現を使います。
一方、当時の原子力安全・保安院は、事故発生の翌日の12日の午後の記者会見で、「炉心溶融の可能性がある。炉心溶融がほぼ進んでいるのではないだろうか」と発言していました。ところが、その日の夜の会見では担当者が代わり、「炉心が破損しているということはかなり高い確率だと思いますが状況がどういうふうになっているかということは現状では正確にはわからない」と内容が大きく変わります。
さらに翌月の4月には、当時の海江田経済産業大臣の指示でことばの定義付けを行ったうえで、1号機から3号機の原子炉の状態について「燃料ペレットの溶融」とふたたび表現を変えます。
その後、事故から2か月たった5月になって、東京電力は解析の結果として1号機から3号機まででメルトダウンが起きていたことを正式に認めました。

社員「炉心溶融 なるべく使わないようにしていた」
メルトダウン=炉心溶融を巡っては、東京電力の社員が、政府の事故調査・検証委員会の聞き取りに対し、「炉心溶融」ということばを使うことに消極的だった当時の状況を証言しています。公開された証言の記録によりますと、事故当時、東京電力の本店で原子炉内の状態の解析を担当していた社員は、事故から1か月近くたった4月上旬の時点の認識として、「1号機については水位は燃料の半分ほどしか無かったため、上半分は完全に溶けているであろうと考えていた」と述べ、核燃料の一部が溶け落ちていたと見ていたことを明らかにしています。そのうえで、「この頃の当社としては、広報などの場面で炉心溶融ということばをなるべく使わないようにしていたと記憶している」「炉心溶融ということばは正確な定義があるわけではないので、誤解を与えるおそれがあるから使わないと言った考えを聞いた覚えがある」と証言しています。

福島・楢葉町の住民「憤りを感じる」
原発事故の避難指示が去年9月に解除され、住民の帰還が始まっている福島県楢葉町の住民が暮らすいわき市にある仮設住宅では、東京電力に対する憤りや不安の声が聞かれました。
今も仮設住宅で避難生活を続けている83歳の男性は、「東京電力はきちんと謝罪をしたのか。憤りを感じます」と話していました。また、72歳の女性は「メルトダウンしたと、本当に分からなかったのか、それとも隠していたのか。今ごろ言われても気分がよくない」と話していました。仮設住宅の自治会長を務める箱崎豊さんは、「楢葉町民が、安全だというお墨付きのもとに帰ろうとしているときに今さらという感じで腹立たしく思う。残念極まりない。企業体質が改めて問われる事態だ」と話していました。

福島・大熊町長「発表が遅れた真意は」
メルトダウンを巡る東京電力の対応について、福島第一原発が立地し、現在も全町民が避難を続ける大熊町の渡辺利綱町長は、「なぜ発表が遅れたのか、率直に考えて疑問に思う。単純なミスとは考えられないし発表までにだいぶ時間がかかっているので、そのあたりの真意も知りたい。最初からメルトダウンと発表されていれば、町民などの反応も違ったと思う。信頼を築く上でも、正確な情報を迅速に伝えてもらうのが大事なので、引き続き対応を求めていきたい」と話していました。

福島県知事「極めて遺憾」
東京電力の、メルトダウンを巡る通報などの対応について、福島県の内堀知事は「3月14日の時点で『炉心溶融』という重要な事象が通報されなかったことは極めて遺憾だ。今後、迅速で正確な通報や連絡が徹底されるよう、改めて強く求めたい」というコメントを出しました。

新潟県知事「隠蔽の背景など明らかに」
新潟県の泉田裕彦知事は、「事故後、5年もの間、このような重要な事実を公表せず、原発の安全対策の検証を続けている県の技術委員会に対しても真摯(しんし)に対応して来なかったことは極めて遺憾。メルトダウンを隠蔽した背景などについて今後の調査で、真実を明らかにしてほしい」というコメントを発表しました。 


●「みどりの一期一会」の記事。
 【緊急】福島第一原発 緊急事態宣言/冷却水が減り燃料棒が露出すると最悪メルトダウンの危険!(2011-03-11 21:16:14 ) 

 【緊急】福島原発で「炉心溶融」の可能性濃厚で事態深刻/核分裂生成物のセシウムを検出(2011-03-12 14:57:03 |) 

 福島第一原発3号機建屋も爆発の恐れ…枝野長官/原発がどんなものか知ってほしい(全)平井憲夫(2011-03-13 16:14:00) 

 【緊急速報】福島第一原発3号機爆発、2号機で燃料棒が完全露出!/チェルノブイリの教訓を生かせ(2011-03-14 20:26:46) 

 福島第1・第2原発事態深刻化 制御不能魔の連鎖/菅首相の国民向けメッセージ(2011-03-15 18:21:29 ) 

 福島原発事故:被ばく、どう予防し、どう対策すれば…/放射線の指針50ミリ・シーベルトなら「避難」(2011-03-16 09:42:42 ) 

 東日本大震災:福島原発事故、専門家に聞く/最悪の事態、制御できるのか(2011-03-17 00:30:44)


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  <原発事故>炉心溶融 判定基準見過ごす 
2016年02月25日 河北新報

 東京電力は24日、福島第1原発事故の状況をめぐり、核燃料が溶け落ちる「炉心溶融(メルトダウン)」が起きていることを事故直後に公表できたにもかかわらず、過小に誤った判断をしていたと発表した。東電は「判定する根拠がなかった」と説明してきたが、炉心溶融を規定するマニュアルが社内に存在していた。
 原発事故では1~3号機で炉心溶融が起きた。東電は事故から2カ月後の2011年5月になって3基の炉心溶融を正式に公表。それまでは、より軽微な「炉心損傷」と説明していた。
 原発事故を検証するため、新潟県の技術委員会が15年2月の会合で、公表遅れの経緯を明らかにするよう求めていた。
 同社の調査で今月、当時の事故対応マニュアルに炉心溶融の判定基準が規定されていることが判明。マニュアルには、炉心損傷割合が5%を超えれば、炉心溶融と判定することが明記されていた。
 東電によると、11年3月14日午前5時すぎ、3号機の原子炉格納容器内の放射線監視装置が回復し、炉心損傷割合が約30%に達していることを把握した。1、2号機も5%を超えていることを確認。基準に従えば、この時点で「炉心溶融」に該当していたものの、地元自治体などへの通報文書に記載はなかった。
 東電は「(早期に)データの持つ意味を解釈し、炉心溶融を公表すべきだった。事故を矮小(わいしょう)化する意図はなく、公表をしないよう外部からの圧力もなかった」と説明。基準を見過ごしていた背景や理由について、第三者を交えた社内調査に乗り出すという。
 福島県の内堀雅雄知事は「炉心溶融という重要な事象が通報されなかったことは極めて遺憾だ。迅速、正確な通報が徹底されるようあらためて強く求めたい」とのコメントを出した。

[炉心溶融と炉心損傷] 原発が運転を止めても燃料は熱を出し続けるため、水で冷やし続ける必要がある。東京電力福島第1原発事故のように注水が不能になった場合、原子炉圧力容器の水位は下がり続け、やがて燃料が露出、熱くなって溶け始める。この状態が「炉心溶融」で、溶けた燃料は重力によって圧力容器の下部へ落ちていく。「メルトダウン」とも呼ばれる。事故当時、原子力安全・保安院は炉心溶融の前段階として、燃料を覆う被覆管が溶ける状態を「炉心損傷」と定義していた。


  社説:炉心溶融 説明は納得できない
朝日新聞 2016年2月26日

 東京電力福島第一原発事故の発生直後、東電が認めようとしなかった「炉心溶融」(メルトダウン)について、実は社内マニュアルに判定基準があり、津波から3日後には判定できていたと自ら発表した。

 記者会見した原子力・立地本部長代理は「(マニュアルは)今月に入って初めて発見した」と語った。

 この経緯と説明には、全く納得できない。

 東電は事故当初、核燃料が傷ついた状態を指す「炉心損傷」と説明した。2カ月以上経った5月末になって、燃料が溶け落ちた炉心溶融と認めた。溶融を認めるのに時間がかかったのは「判断する根拠がなかった」と説明していた。

 この説明は虚偽だった。当時も「炉心溶融を隠し、事故を小さく見せようとした」と疑われたが、そうした疑念を再燃させる経過だ。

 柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田裕彦知事は「隠蔽(いんぺい)した背景や、誰の指示であったか、真実を明らかにしてほしい」と求めている。当然の要求だろう。

 さらに不可解なのが、マニュアルの「発見」である。

 炉心溶融は当時、原子力災害対策特別措置法の緊急事態を示す事象として明記されていた。小さなトラブルでも国に通報すべき事態かどうか気にかけているのに、この基準に思い至らなかったとは考えにくい。

 過酷事故の最中に炉心溶融の有無を直接確認できるわけがない。だからこそ、東電は「炉心損傷が5%を超えたら炉心溶融と判定する」と明確な基準を作っていたのだろう。

 原発で事故が起きれば、詳細なデータは電力会社しか持ち得ない。政府もメディアも、一義的には電力会社からの正確で迅速な情報がなければ、判断や報道を過ちかねない。

 東電が12年にまとめた福島原子力事故調査報告書は「言葉の定義自体が共通認識となっていない炉心溶融の用語ではなく、得られたデータから判断できる範囲で正確に炉心の状況を伝えることに努めていた」とする。事故の総括が十分だったとは言いがたい。

 再稼働問題に絡んで新潟県の技術委員会から求められて調べた結果が「発見」である。

 東電は今後、第三者も交えて経緯を調べるという。

 詳細に調査して責任の所在を明らかにするべきだ。どう再発を防ぐのか、企業体質に問題はないのか。納得できる説明を国民にしなければ、東電の信頼回復の努力は実を結ばない。 


  社説:炉心溶融 不信募らす東電の「発見」
毎日新聞 2016年2月26日

 なぜ今ごろになってこんな重要なことが「発見」されるのか。福島第1原発の過酷事故は、東京電力のマニュアルに照らせば事故から3日後の2011年3月14日の時点で1、3号機は「炉心溶融(メルトダウン)」と判断できていたという。


 実際に東電がメルトダウンを認めたのは2カ月後の5月。それまで「炉心損傷」という言葉は使っていたが「炉心溶融」は正式に認めていなかった。経済産業省の原子力安全・保安院(当時)も「炉心溶融」という言葉を避け「燃料破損」や「炉心損傷」という言葉を多用していた。

 確かに、メルトダウンは定義があいまいな言葉ではある。しかし、「炉心溶融」は原発の緊急事態を政府に通報する際の要件のひとつとなっており、自社の判断基準を知らなかったというのは極めて不自然だ。5年後の「発見」を、単なる「言葉の使い方の問題」で片付けることはできない。

 事故当時、原子炉がどういう状態にあるかは国民にとっても専門家にとっても重大な関心事だった。海外の人々にとっても同じだ。もし、言葉の印象を弱めることで事故を過小に見せようとしていたとするなら隠蔽(いんぺい)であり、東電の信頼性を改めて損なうものだ。

 しかも、マニュアルの中身がなぜ今まで明らかにされなかったのか、疑問は大きい。新潟県に事故の経緯を説明する過程で初めて気づいたというが、これまで政府や国会の事故調査が行われた際にも点検されなかったのか。経緯を明らかにすることが欠かせない。

 東電は「この件で収束作業が遅れたとは考えていない」と述べているが、後付けで言っても説得力がない。「炉心溶融」と公表していなかったことによって、事故対応にあたった人々を危険にさらした恐れはあるし、住民の対応や避難対策に影響した可能性も否定できない。

 専門家の中には「メルトダウンと認めれば国民がパニックを起こす。知らせるメリットはなかった」との見方もあるようだが、筋違いだ。もし、情報隠しを前提としなければ成立しないシステムなら、運用してはならないはずだ。

 平時でも事故時でも情報を隠さず国民に伝えるのは当然のことだ。今回の事故でも情報不足によって放射能の高い地域に避難した人々がいたことを思えば、なおさらだ。

 最悪の事態を想定した上で、国民に情報をどのように伝え、国民をどう守るか。電力会社と政府の責任であり、その準備ができていないなら再稼働は許されない。今回の遅すぎた「発見」を契機に、電力会社も政府も再点検してほしい。


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