みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

【悩みのるつぼ】上野千鶴子/Q高校生の娘に裏切られました: A「ごめんね」から始めてください

2012-02-05 20:30:04 | ジェンダー/上野千鶴子
けさ起きてきたら、ともちゃんが「昨日のブログ、アップされていないよ」。
「えっそんなはずないんだけど。ちゃんと夜にアップしたよ」とブログを開けてみたら、
4日の記事ではなく、下書きで書いていた3日の投稿日時のままアップされていました。
急いで、4日の日付に直して、再投稿。
記事がみあたらなくて、「変だなきょうはお休みかしら」と思っていた皆さま、すみません。

昨日は、土曜日の朝日新聞beの【悩みのるつぼ】に、
上野千鶴子さんの回答の記事が載りました。

この「主婦 55歳」の質問に対する、上野さんの回答、ぜひ読んでほしいです。

   【悩みのるつぼ】回答者:上野千鶴子さん
   
   2012.2.4 朝日新聞be

  高校生の娘に裏切られました 相談者 主婦 55歳
2012.2.4 朝日新聞be

 55歳の主婦です。
 「知らない方が平穏だった」という事実が我が身に起こってしまいました。4カ月ほど前に、高校3年生の娘が妊娠し、その後堕胎していたという重大な秘密と裏切りを、娘の知人の母親から知らされたのです。
 何とうかつな、そして愚かで情けない母親でしょうか。今日の今日まで、一切何も気づかずにいたのです。1歳年上のボーイフレンドの存在は知っていたのですが。
 何より情けなく悲しいのは、ずっと娘が何ひとつ取り乱すことなく、普通に毎日を送ってきたことです。大それた事件を、どのように処理したのか、おくびにも出さない態度に、空恐ろしいものを感じます。罪悪感や自責の念はないのでしょうか。
 また母親として何より悲しいのは、娘があちら側の人間、私がもっとも嫌っている、倫理的、道徳的に許されないことを行った側の人間になってしまったということです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

------------------------------------------------------------------------------------------------------------
回答者 社会学者・上野千鶴子
「ごめんね」から始めてください


 うーむ。この質問、何度読んでも不可思議ですね。あなたの娘さんに対する愛情を感じることができません。
 「母親として何より悲しい」のは、まず何よりも「娘にこれほど信頼されていなかったこと」ではないのですか。あなたはそのことにうすうす気づいていながら、それを認めるのがあまりに怖くて、すべての原因を娘に転嫁することで娘をますますあちら側に追いやってはいませんか。
 高校3年生の少女が望まぬ妊娠をし、それを親にも相談できず、「取り乱すことなく、普通に毎日を送」るために、どれほどの努力をしたことでしょう。娘さんの「おくびにも出さない態度」には、どんなことがあっても母親には知られまい、という固い意志が見て取れます。なぜなら母親が自分を叱責(しっ・せき)し、非難することがわかっているから。これまでの人生で最大の危機というべき事態に、つらさを分かち合って自分の味方になってくれるという期待がこれっぽっちも持てないから。そしてそういう期待が持てないことがはっきりわかるような親子関係がすでに長期にわたって続いているから。「裏切り」とは信頼があってのもの。あなたのいう「裏切り」は、娘が自分の思うようにならなかったことに対する無念と怒りです。
 あなたの質問の文章は、以上のわたしの解釈をすべて裏付けるものばかりです。出だしが象徴的ですね。「知らない方が平穏だった」のなら、娘が援助交際をしようが食べ吐きをしようが、「知らない」まま、娘に「よい子仮面」をかぶっていてほしかったのでしょうか。そして娘さんはその期待どおりにふるまったのでしょう。
 娘さんは望まぬ妊娠と中絶で、すでにじゅうぶんに傷ついています。その娘を「あちら側」に追いやっているのはほかならぬあなたでしょう。 とはいえ、あなたは自分にも非があるかもしれない、とかすかに感じてもいます。自分の支配欲、世間体、夫との不仲など、あなた自身がウソで固めた生活をしていることが、娘にも影響しているのではないかと。最後の問いが救いです。「私の気持ちの持ち方、娘への接し方へのアドバイス」を求めておられるのなら、娘さんを「問いつめて」はいけません。代わりに、「あなたが困っているときに助けてあげられなくてごめんね」というところから始めてください。あなたがこれからでも娘さんとの関係を築きたいと、ほんとうに思うなら。
題字・イラスト きたむらさとし


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ところで、2月になって、
WANのトップページの動画が変わりました。
昨年の12月14日の「水曜デモ1000回アクション」の様子を伝える映像です。

この日、わたしは東京にいて時間があれば水曜デモに駆け付けたかったのですが、
午後から岐阜で会議があったので、後ろ髪をひかれる思いで帰ってきました。
「日本編」と「ソウル編」をこのような形でアップしていただけて感謝です。
「ソウル編」のハルモニたちの想いを伝える詩は、胸に迫って、涙なしでは読めないです。

日本編:【v-wanニュース】20111214水曜デモ1000回アクション(東京日本各地)

ソウル編:慰安婦問題の解決を求めて—1000回目のソウル水曜デモ2011.12.14

水曜デモに参加された上野千鶴子さんも、記事をアップされました。

 1000回目の水曜デモ ちづこのブログ No.18(2012年02月04日 ちづこのブログ)


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WANメールマガジン   No. 45 2012.2.3
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