福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

着衣での血圧測定 厚手のセーターのままだと高めに出るらしい

2009年12月15日 12時06分54秒 | 医療、医学
 私は現在週3-4日の午前外来を担当している。かつて先人が高血圧外来としていた分野を引き継いだことに始まっているので通院患者は殆どが無症状の高齢者で、疾患としては高血圧が最も多い。最近、長期投与とかで受診回数を減らしているので一日平均55人程度になった。それでも相当に時間がかかるし、何のための外来だ、とも思うから、ますますストレスになる。

 ある日、立ち番の看護師に「変わりなく元気な患者は断りたいものだ・・」と愚痴ったら即座に「なら、連日休診ですね・・」と返された。私と同じ事を考えていたようである。当を得ている。
 私は医師にはなったものの、人を相手にする職業には基本的に向いていない、とよく思う。対人関係についてはこれも医療技術の一つと割り切って学んで何とかやってきたが、最近、付け焼き刃が落ち始めてきたらしい。節目を迎えたら一時でも休業してみたい、それが今の私の望みの一つになっている

 それはさておき、秋田の冬は寒い、外来に通院してくる患者達は総じて厚着である。そのために秋から春までの間は血圧測定の準備に結構手間取ってしまう。特に高齢者の場合は動作が緩慢なために時間がかかる。私はその度に相当苛ついてはいるのだが立場上そんな素振りは見せられない。

 他の医師達はどうしているのか分からないが、私が担当している外来では時間の節約のために基本的には着衣のまま測定している。勿論、その前に数10名について着衣のままと、片腕を出した場合での血圧測定値を比較し、薄手のセーターまで程度であれば着衣の影響がないことを確認した。もう、30年ほど前の事である。着衣のままの測定を非難されたことも2-3度あるが無視してきた。

 今秋に開催された第32回日本高血圧学会総会で高知大学医学部検査部の山崎氏が着衣の血圧測定に及ぼす影響について報告している。それによると、中厚のニット、厚手のニットではコントロールに対して3.4±3.8、4.9±2.7mmHgと有意に高い血圧値となった、と報告している。中厚とは4mm厚のニットと0.2mm厚のシャツの重ね着、厚手とは7mmの厚さと0.2mm厚のシャツの組み合わせ、と言うから相当な厚さである。カフの圧力が分散されるからであろう。有り難い検討結果がでたものだと思う。 

 私は厚手の着衣の場合にはそのまま測定することはない。せいぜい中厚レベルまでである。山崎氏の検討では影響あると言っても平均3mmHgだから、便宜さの方を重視していく。そうしなければ私の方が持たない。
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