福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

本の推薦:岡田晴恵著「H5N1型ウイルス襲来―新型インフルエンザから家族を守れ!」

2007年12月04日 05時00分19秒 | 書評
 強毒型の鳥インフルエンザA(H5N1)は本来ヒトへの感染力は強くない。WHOによると本年11月12日までで、感染者は世界で335人、死亡は206人である。まだ鳥インフルエンザウイルスの感染であり、ヒトへの感染力が強い「新型インフルエンザウイルス」への変異はまだ生じていない。しかし、「新型インフルエンザウイルス」に変異する可能性は極めて高く、いつ生じるかの段階に至っている。人はこの変異ウイルスに対して免疫を持っていないために一度生じれば世界中にまたたくまに広がることが予想され、その際の被害は甚大になると考えられる。我が国でも200万人もの死者が出る事態にもなりうるとの予想もある。

 国では、危機管理対策としてワクチンや治療薬のタミフルの備蓄を進めている。秋田県でも新型インフルエンザ対策の行動計画を作成しており、県医師会でも対応ガイドラインを作成した。秋田市でも発熱外来を設置する準備を進めているなど、対策は遅々としているが進めている。ところが、多くの医療関係者、一般市民には未だ「新型インフルエンザ」大流行の危機を迎えつつあることを殆ど認識していない。

 私も県医師会の感染症等危機管理の担当として、機会が与えられた場合には「新型インフルエンザ」について一般市民に対して啓蒙してきているが、与えられるスペース、時間も限られているから、殆ど役だっているとは思えない。
 さらに、今までは人に勧められるような、比較的読みやすい本もなかった。

 この岡田晴恵著の「新型インフルエンザから家族を守れ!」と言う副題の付いた新型インフルエンザの啓蒙書「H5N1型ウイルス襲来」を手に取ってみて、やっと良い本が出版された、と思った。
 如何に国や行政の危機管理がなされたとしても十分とはなり得ない。だから、自分の健康と命を守るのは個人レベルでの知識と行動による防護しかない。この本では個人で出来るこのウイルスへの防御策、感染流行時の日常生活方法などが、具体的にアドバイスされている。さらに、日常の衛生管理から公的サービス機能の停止と言った非常事態に対して、食品・日用品の備蓄など何をどう想定し備え・対処するかなどについても具体的な対策の実例を挙げて紹介している。一部は物語調記述でとても理解しやすい。

「新型インフルエンザ」と言う未知の病気の大流行を迎えるための心の準備、事前準備の方法を知るために、また、流行が生じた際に強く生き抜くにはどうすればいいのか等の知識を得るには最適の本と言いうる。

 この本は一家に一冊是非備えて欲しい本である。廉価の新書版であることもとても良い。角川SSC新書、720円である。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 愛用のボールペン紛失で、気... | トップ | 第2回中谷名誉院長を偲ぶ会(... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

書評」カテゴリの最新記事