生きていくって、寄り道ばかり。
1月3日、京都シネマにて鑑賞。2011年、最初に観た作品です。1日上映1回で今週の金曜日には終了となるので、急いで行って来ました。
チラシを観ている限りでは、アットホーム的な感じのする作品に見えましたが、実は想像もつかないような展開になっていくお話です。事前チェックをしていたので、大きな衝撃はなかったけど、この雰囲気からはやはりとんでもない方向にいくなんて考えられないよね。
この3人は家族、真ん中の女性が母、右横にいる女性が娘。どう見ても母の方が若く見える??不自然です。そこが一つのこの映画のポイントでしょうか、、、、。
母と娘の間には終始ぎこちない空気が流れていた気がする。その繋ぎ役がこの父ミケーレ(シルヴィオ・オルランド)。彼が家族を上手くまとめていたんだね。
とりわけ父は娘に必要以上の愛情を注いでいた。娘は母のように華やかさはなく地味で真面目だ。もちろんボーイフレンドもいない。
自分の姿にコンプレックスを持っていた。そんな娘に常に自信を持たせようと励ます父。
主人公ミケーレは高校の美術教師だった。娘ジョヴァンナは父と同じ学校に通う学生だった。ある日、ミケーレはジョヴァンナが学校の人気者ダマストリとはにかみながら会話する姿を目にする。
この姿を見た父ミケーレは教師としてあるまじき提案をダマストリに持ちかける。ダマストリは進級において成績が悪く、落第させられる危機にあった。そしてその判断の最終決定はミケーレの判断にゆだねられることに、、、、。そこでミケーレはダマストリに「君が進級出来るかどうかは私の一存にかかっているだ。」と、、、、。「娘ジョヴァンナを知っているんだろ?繊細な子だから、傷つけないように親切にしてやってくれ」と・・・・・。娘のことを思うあまりの行動には驚いてしまうね。
裏でそんなことが行われているとは知らないジョヴァンナ。思いがかなったと大はしゃぎ。その姿にミケーレは微笑ましく見守るが、現実的な妻デリアは人気者のダマストリがジョヴァンナのような冴えないものに興味を持つのかと言う。ミケーレが何かしたのではと疑う。
そんなデリアの心配をよそにジョヴァンナは同級生マルチェッラの誕生日に招かれる。隣人でミケーレの友人の警察官セルジョの計らいでドレスまで新調、化粧をしていそいそ出かけた。
ところが夜11時過ぎても帰宅せず、、、、。気にかけていた2人のところに1本の電話が入る。連絡を受けたミケーレ、慌ててマルチェッラの自宅へ。。。。
気分を悪くして横になっていたジョヴァンナ。いくら尋ねても首を横に振るばかり。マルチェッラの話によるとダマストリに自分とだけ踊ってもらえなかったことに泣いて騒いだということだった。
数日経ったある夜、ミケーレとデリア、セルジョと連れだって映画鑑賞に出かける。帰って来ると、ジョヴァンナの部屋には鍵がかけられ、声をかけるもそっけない返事。洗面所でミケーレは壁とタオルに血のようなしみがついているのを発見。胸騒ぎをおぼえるも、デリアは取りあわない。
そして最悪の事態が、、、、。翌朝学校へ出勤したミケーレはマルチェッラが行方不明になっていること知る。捜査が始まった矢先、マルチェッラは体育館倉庫で、他殺体で発見される。
彼女の叔父がムッソリ―ニのもとに体制派の指揮を執る議員ということから、政治的な犯行ではないかと強める。また新たな発見に、マルチェッラの衣服に精液が付着していたことを聞かされ、犯人は男だろうということに安堵するミケーレ。実は密かにジョヴァンナではないかと心配していたのだ。
ところが事件は思わぬ方向へと進む。ミケーレが心配していた事態に、、、、。
下記はこの話の結末にふれていますので、知りたい方は反転してご覧下さい。
家族で出かけたミケーレたちが帰宅すると、警察官が家の前で待っていた。遺体発見の前日の夜、体育館でダマストリとマルチェッラが会っていたとき、用具の後ろにジョヴァンナが隠れていたのが目撃されていた。取り調べで犯行を自供したジョヴァンナは、裁判で心神喪失が認められ、レッジョ・エミリアの病院に入院する。教師の職を追われたミケーレは、足しげく病院に通う。一方デリアは気持ちの整理がつかず、娘に会いに行けなかった。戦争が激化し、セルジョは空襲で家族を失う。医師はミケーレに、ジョヴァンナが母親に対し劣等感を抱いていること、母親が他の男に恋していると思い込んでいることを話す。ミケーレはセルジョに、デリアと一緒になってほしいと伝え、レッジョ・エミリオに移る。戦争が終わると、ムッソリーニを支持していたセルジョは銃殺される。24歳になったジョヴァンナは退院し、ミケーレと共にボローニャに戻る。7年後、ジョヴァンナは父と映画館へ行き、男連れのデリアを見かけ、声をかける。
いなくなったジョヴァンナの部屋を見つめるミケーレ
結果はジョヴァンナへの父としての愛情を注ぐミケーレの姿に感動します。物語はミケーレの家族をばらばらにしてしまいますが、でも彼はどんなことになろうと、ジョヴァンナを擁護し、親として見捨てません。それに対して、母デリアはその2人から少し距離を置いていました。ジョヴァンナを愛していないわけではありませんが。。。。
多分ジョヴァンナが母デリアを一人の女性として見ていたのではないかと思います。また警察官で友人のセルジョとの仲を薄々気づいていたというのもあるのかもしれません。また一人の女性としてデリアはジョヴァンナに取って自分と比べ、劣等感を抱いていたのでしょうね。複雑な感情が2人の間にあったのだと思います。
父ミケーレはそんなジョヴァンナへの気持ちをとても痛感していたのかな。最後まで父親として見守ろうとしたのかもしれない。
ミケーレもまたデリアの気持ちに気づいていた。一人ジョヴァンナのために移り住む決意をしたミケーレは、デリアとセルジョが一緒になって欲しいと告げるのだ。
1945年4月、セルジョもファシスト狩りのため、デリアの目の前で尋問され、銃殺になる。
施設に送られるジョヴァンナ
解説(キネマ旬報さんより拝借)
ファシズム時代のイタリアを舞台に、同級生を殺した娘と父親の家族ドラマ。監督は、「二度目の結婚」のプピ・アヴァティ。出演は、「息子の部屋」のシルヴィオ・オルランド、「ライブ・フレッシュ」のフランチェスカ・ネーリ。2008年ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品、主演男優賞(オルランド)受賞。
メディア | 映画 |
上映時間 | 104分 |
製作国 | イタリア |
公開情報 | 劇場公開(アルシネテラン) |
初公開年月 | 2010/06/26 |
ジャンル | ドラマ/戦争 |
映倫 | G |
http://www.alcine-terran.com/bologna/
隠された意味が、いくつも想像できそうな良作でしたね。
実は昨年のTIFFで、彼女主演の『素数たちの孤独』という作品があったんですが、
これチケット完売で取れませんでした(涙) これだけが昨年の映画の唯一の後悔です。
噂によるとこれ、かなりいいらしい。
映画祭の期間中、アルバさんはあちこちのスクリーンでご覧になってて、とても勉強熱心だなという印象でした。
一人娘ですから大切なのは解るんですが…。それでも娘のために男に付き合ってくれるように頼むって普通じゃないですもん。^^;
ジョヴァンナのキャラ、確かに掴みどころない
感じがしましたね。
おぉ~主役の作品もあるんですね。チケット取れないくらいの秀作ですか。そんなこと聞くと益々観たい気持ちになりますね。
アルバさんは来日したんだ!やっぱり東京は良いですね。羨ましい限りです。
う~ん確かに凄いですよね。娘のために、あそこまでするなんてやはり普通ではないかも。
最後の最後まで娘への愛情を注いだのは、ある意味凄いかもしれません。
不思議な作品でしたね。
日本なら母親のほうが奔走して刑を少なくするとか血眼になって無実を訴えるとか・・・・とにかくこの母親の感情が理解しにくい
母の存在も目立たなかったし・・・。
でも意外にこういう母親像もありえるかも
しれませんね。