外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2019年チュニジア・トルコ・イタリア旅行記(2)~チュニス到着・宿探し編~

2019-10-01 05:14:27 | チュニジア

 

 

ようやくチュニス・カルタゴ空港に着いたのは、午後3時前だった。ドーハを発つのが4時間遅れたのに、到着は2時間半遅れ程度だったのが解せない。飛行機の運転手さん、びゅんびゅん飛ばしたのか。

 

チュニジア国旗がお出迎え。トルコ国旗と紛らわしいやつ。

 

チュニス空港のトイレには、ドーハ空港と同様に手動ウォッシュレット用のホースが付いているが、あちらとは違って使用済みペーパーを入れる容器がない。つまり、ペーパーをトイレに流してよい。私の一番好きなパターンのトイレだ。各国のトイレは私の関心事項の一つなので、ついつい写真を撮りがち。

 

 

長いこと待ってスーツケースを引き取った後、まず銀行のATMで現地通貨を引き出す。(あっさりお金が出て驚いた)その後通信会社のカウンターが集まっているところに行き、持参したSIMフリーのスマホ用にSIMカードを購入する。一番空いていた「オレンジ(Orange)」という会社のカウンターに行く。フランスの大手通信会社オレンジは、中東・アフリカでも良く普及しており、私はヨルダン在住時も利用していた。3GのSIMカードを11.5ディナール(約435円)で購入。約1週間の旅にはこれで十分だった。ヨルダンもSIMカードは安かったが(600円くらいだった気がする)、チュニジアはさらに安いのだ。12Gだともう少し高くなるが、たいした額ではない。チャージもできるプリペイド式なので便利だ。日本にもこういうSIMカードがあればいいのに・・・中東のSIMカードに慣れた身には、日本の携帯の契約システム(2年縛りとかなんやねん)は詐欺としか思えない。お店の人は親切で感じが良く、テキパキとSIMを携帯内部にセットしてくれる。

 

チュニスの空港でのSIMカード購入については、こちらに詳しく書かれている。

 

外に出てみたら、秋晴れの良い天気だった。気温も高すぎず爽やかな気候だ。真夏を避けたのは正解だった、ふふ・・・

 

空港から市内へは、あらかじめ調べておいた情報に従い、路線バスの635番に乗った。(こちらを参考にさせてもらった)

空港を背にして左斜め前に進み、車通りを渡ったところに屋根付きのバス停があった。もちろん時刻表などという些末な物は存在しない。この段階で「ああ、中東に帰って来たなあ」という感慨を新たにする。チュニジアは初めてだが、結局アラブ諸国の一つなので、知らない国に来た気がしない。むしろ懐かしい感じ。

 

ベンチに腰掛けてバスを待っている時、隣に座っていた若い女性に話しかけて、「ここに市内中心部に行くバスは来ますよね」と確かめたら、どこに行きたいのか聞いてくれたので、旧市街入り口のフランス門辺りでホテル探しをする予定だと告げると、「私もその近くに行くから教えてあげる」と言って、終点のチュニス・マリン駅(通称「マリーナ」)で一緒に降りてフランス門が見えるところまで連れて行ってくれた。新市街のメインストリート、ハビーブ・ブルギバ通りをまっすぐ行って、おそらく15分ほどだったと思う。彼女は空港で働いていて、勤務時間が終わって家に帰るところだったそうだ。アラビア語のチュニジア方言は、馴染みのない私にとってはかなり難解なのだが、彼女は比較的標準語に近い話し方をしてくれて、聞き取りやすかった。

 

フランス門のすぐそばの地球の歩き方に載っていた安宿「マルハバ・ホテル」に行って、部屋は空いているか聞いてみると、このホテルにはそもそもシャワー付きの部屋がないと言われた。近所に他に安ホテルはないかと聞くと、たくさんあるとのことなので、周辺でホテルの看板を探し、道端に立っているおじちゃんたちに質問したりしながら(「おじちゃん方式」と命名)、宿探しをする。私の希望はシャワー・トイレ付シングルなのだが、安いホテルはシャワー付きの部屋がないところや、満室のところが多かった。近くにあった「リヤド・ホテル」はシャワー付きの部屋は満室、「エルクドゥス・ホテル」も満室だった。このエルクドゥス・ホテルはシャワー付きの部屋が30ディナール(約1130円)だというので、翌日には空きがあるかと尋ねたら、「明日の朝来て」と言われた。後でホテルを移る時にもう一度ホテル探しをしてわかったのだが、チュニスの安ホテルは通常予約が出来ず、泊まりたい日のチェックアウトの時間帯(午前11時や12時など日本より遅め)以降に直接出向いて、空いているかどうか聞くしかないらしい。ちなみに、安ホテルはアラビア語・フランス語圏で、英語はあまり通じない。

 

歩いている時に、チュニジア初の猫に遭遇。停めてある車がイタリアのフィアットで、なんとなく嬉しい。

 

 

結局、フランス門付近の新市街側にある「オテル・ド・フランス」という一つ星ホテルに決めた。シャワー・朝食・エアコン・テレビ付きで1泊65ディナール(2500円弱)なので、私にとっては少し贅沢なのだが(びんぼーやねん)、道端のおっちゃんに「フランスホテルがいいぞ!」と強く勧められたし、疲れているので妥協することにした。後でチェックしたら、ここも地球の歩き方に載っていた。地球の歩き方の実力は、チュニスで何度も実感することになる。

 

フランスっぽい外見

 

部屋はこんな感じ。布団は古そうな気はしたが、全体に清潔で天井が高く、中庭に面していて静か。シングルを頼んでもツインまたはダブルルームをあてがわれるのは、アラブ諸国では普通。2人だと部屋代が半分になるわけだ。

 

中庭に大きな木が生えていて、小鳥たち(すずめ?)がそれをねぐらにしているらしく、夕暮れ時や朝は賑やかだった。(嬉しい)

 

少し休憩してからまた出かけて、夕食を食べに行く。旧市街に入った辺りで見かけた安食堂で、シャワルマサンドを注文する。日本ではケバブサンドとしてお馴染みのあれだが、チュニジアのはバゲット風のパンに挟まれ、フレンチフライが添えられていた。メニューもアラビア語・フランス語併記。さすがチュニジア、旧宗主国フランスの影響がバリバリに健在だ。

 

趣きのあるメニュー

 

シャワルマサンド、シュウェップスと合わせて4.5ディナール(約170円)。チュニジアの辛い唐辛子ソース「ハリッサ」を付けるかと聞かれて頷く。

 

安くて肉がたっぷりで美味しかったが、私には量が多すぎたので、半分は持ち帰り用に包んでもらう。ハリッサを付けなければ、肉部分を野良猫さんたちに振舞えたのだが、失敗した・・・お店の大柄な男性は、「あなたはお腹が小さいんだな、わしのはほらこの通り」と言って、スイカのように見事に膨らんだお腹を叩いて笑っていた。

 

お店を出てフランス門の方に向かうと、さっき食堂に顔を出した白っぽい綺麗な猫が歩いていたので、追いかけて写真を撮っていたら(もう暗くて私のカメラ・腕では上手く撮れなかったからボツ)、それを見ていた老人が「この猫はラティーファという名前なんだよ」と教えてくれる。近所で可愛がられているらしい。アラビア語でラティーファ(ラティーフの女性形)は「優しい」「親切な」という意味で、女性の名前に使われたりする。優子ちゃんだ。

 

夕食を終えても、私にはまだ重要な任務が残っている。それは酒を買うことだ。チュニジアやヨルダンなどのように飲酒が禁じられていない国でも、アラブの安食堂ではアルコールがないのが普通なので、お店でビールやワインを買ってホテルで部屋飲みするのが習慣なのだ。チュニジアではスーパーで酒が買える(ヨルダン等のスーパーでは買えない)との情報を得ているので、近くの「マガザン・ジェネラル」というスーパーに行く。しかし、それらしき棚にはノンアルコールビールしか見当たらない。

 

不吉な・・・

 

 

店員に聞くと、「金曜日はアルコール類の販売が法律で禁じられている」という。なんと・・・

 

チュニジアでは長年、公共の場でのヒジャーブ(イスラム教徒の女性が髪を覆うために使用する布)の着用が禁じられており、一夫一婦制が法律で定められているというから、私の中では「政教分離が進んだ国」というイメージが強かったのだが、まさか金曜日(イスラム教徒にとって聖なる日)のアルコール販売が禁止だとは・・・ヨルダンでもエジプトでも、断食月ラマダーン以外は毎日酒が買えたのに、なんてことだ。

 

念のために、疲れた足を引きずってもう一軒のスーパー「モノプリ(Monoprix)」にも行ってみたが、やはりなかった。「明日はあるよ」と言われたが、どうも不吉な気配が漂っている。しかし、ないものはしょうがないので、ノンアルコールビールを買って帰った。飲んでみたら、麦茶とビールを足してアルコールを飛ばしたような魂の抜けた味がした。

 

結局この日は、機内で飲んだハイネケン以外は酒抜きとなった。

 

 

夜のフランス門。ホテルも食堂もスーパーもみんなこの周辺だったので、この日だけで何度も通りかかった。

 

(続く)

 

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