外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

封鎖下のヨルダン~あの手この手の掟破り~

2020-03-25 16:22:12 | 新型コロナウイルス

 

今回はヨルダンの話。(前回のヨルダンについての記事はこちら

 

新型コロナウイルス感染拡大を阻止するため、21日朝から全土で完全外出禁止になったヨルダン。お店が全部閉まり、買い物にも行けないというから、非常に大変そうだ。但し、4日目の24日には、各地の自治体がバス等でホブズ(アラブのピタパン)を配って回っていた(有償、各家庭に1袋・3㎏分入り、1ディナール=160円弱)。初めての事なので時間がかかり、アンマン在住の友人によると、彼女のマンションの辺りでは夜10時近くにパン配送車が回って来たらしい。今後はその他の食品、水、粉ミルク、医薬品等の配達も行われるとのことだ。

 

かつてアンマンのスペイン文化センターでスペイン語を習った際に同級生だったイラク人の主婦(長年アンマンに在住)に様子を聞いたら、「外出禁止は厳しいけれど、これはみんなのためになることよ。この危機が解消されますように」とのことだった。彼女は優しくて穏やかで、理知的な女性。イラク人って、いい人が多いイメージだ。

 

話は逸れるが、私はかつて日本で無職で暇を持て余していた時に1年間スペイン語を独学し、その後アンマンでやはり失業して暇を持て余していた時、スペイン文化センターに通っていたのだが、スペイン語がイタリア語とそっくりで頭の中でごっちゃになってマズいことに気が付いてからは、完全に手を引いた。「2匹の猫を追うものは、1匹も捕まえられない」と言うからねえ~(うそ)

 

アンマンのスペイン文化センター 入り口の警備員さんが猫を餌付けしていて、いつも数匹たむろしていた。

 

センター併設のカフェテリア。スパニッシュオムレツやガスパチョなどがメニューにあった。お洒落な割に安い穴場。

 

 

本題に戻る。

24日に保健相が発表したヨルダンの感染者数は153人だった。完全外出禁止になったにも関わらず、前日から26人増加している。そのうち12人が、禁を犯してイルビッドで密かに開かれた結婚式の出席者だという。イルビッドの皆さん、あんまり無茶をしないようにね・・・ちなみに残りの14人の内訳は、イギリスからの入国者3人、アメリカからの入国者1人、国立バシール病院の看護婦との濃厚接触者5人、他の感染者との濃厚接触者4人、ルーマニアから入国したスペイン人1人となっている。

 

外出禁止令をあの手この手で迂回しようとしていた人もいたようだ。ヨルダンではまだ感染による死者が出ていないので、あまり危機感がない人々もいるのだろう。

 

これは、ゴミ袋に変装した人たちの動画(ヨルダンではなくて、夜間外出禁止令が出ているクウェートだとの意見もあったが詳細不明)

 

 

こちらは、葬列のふりをした人たち。

パトロールのサイレンに怖気づいてみんな逃げ出し、最後に死者が蘇って逃げてるけど。

 

アラブ人、面白すぎる・・・

 

(終わり)

 

 

 

 

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トルコの伝統的な香り付きのアルコール消毒液「コロンヤ」

2020-03-22 15:49:25 | 新型コロナウイルス

 

今回はトルコの香水のような消毒液のような「コロンヤ」の話。もちろん新型コロナウイルスと絡めた説明になるが。

 

トルコで最初の感染者が確認されたのは、3月11日と遅かったが、それからほんの数日で爆発的に拡大し、20日には感染者670人、死者9人に至っている。そして21日の発表では、感染者が277人増えて947人、死者は12人増えて21人に。トルコ当局は早くから感染拡大を警戒し、公共の場所を消毒したり、手洗いを呼びかけたりして予防に努めていた。感染者が出てからは、モスクでの集団礼拝を禁止し、映画館やスポーツセンター等を閉鎖するなどしたが、ウイルス拡散には歯止めがかかっていない。21日にはレストラン等の店内での飲食が禁じられ、テイクアウトとデリバリーのみ認められることになった。

 

飲食店が閉まり、国民に不要不急の外出を控えるよう呼びかけられる中、イスタンブール市・県の自治体は、エサ不足に陥っている野良犬や野良猫にエサを配り始めたそうだ。さすがトルコだ。21日から厳格な外出禁止の措置が取られているヨルダンの野良猫たちは一体どうなるんだろう・・・

 

「istanbul buyuksehir sokak hayvanlari」の画像検索結果

 

 

トルコのニュースをネットで見ていて気にかかるのは、当局が感染者や死者の住所地をまったく公表しないことだ。つまり、どこがホットスポットなのか、さっぱりわからない。これが国民の不安を増大させているのではなかろうか。都市封鎖をする気がないにしても、どこでどのようにして感染が発生したかという基本的情報は公開すべきでは。

 

というわけで(?)、トルコでは、初の感染者が出た当初から人々がコロンヤを買いに走り、今では商店でもネットでも軒並み品切れの状態らしい。

 

おじさんマークのコロンヤ発見(おじさんマークが気になる方は、以前書いたこちらをお読みくださいませ)

「kolonya」の画像検索結果

 

 

コロンヤは、トルコに旅行した人なら大抵ご存知だと思うが、エチルアルコールにレモン香料を加えたアルコール度の高い液体で(70または80度)、トルコのどこの家庭にも常備されている必需品。お客さんの手に振ったり、蚊に刺された時や汗をかいた時などにつけたりするらしい。長距離バスで飲み物とお菓子のサービスの後に車掌さんが手に振ってくれたり、レストランのレジのところで差し出されたりするので、旅行者でもコロンヤの洗礼を受けることがある。かつて私がイスタンブールで通っていたインターネットカフェのレジのところにも置いてあった。トルコ人はネットをしながら盛大に飲食するからねえ。(トルコのインターネットカフェについて書いた以前の記事はこちら

 

私が見たところ、男性の方がよりコロンヤを好む傾向があり、若い女の子はコロンヤの瓶を差し出されても、断ったりしている。レモン香料の安っぽい匂いがお気に召さないのか・・・レモン以外の香りのものもあるにはあるが、主流はあくまでレモンなのだ。

 

しかし、今は非常事態だ。トルコ人にとって「手の消毒液=コロンヤ」なわけで、若い女性も否応なく手に振っているに違いない。トルコメディアでは、「自家製コロンヤの作り方」(エチルアルコール+レモンエッセンス+精製水)「コロンヤの原料であるエチルアルコールが増産されている工場」「国内の刑務所でコロンヤが製造されている様子」等についてのレポが出ている。

 

日本でも、札幌の友人がネットでコロンヤを購入したそうだが、本来500円もしないだろうと思われるペコペコのプラスチックのボトルに入ったスーパーブランドのコロンヤが3千円くらいしたそうだ。今はもっと値上がりしているらしい。トルコ関係者の陰謀か・・・

 

こういうやつ。

「migros kolonya」の画像検索結果

 

 

 

ちなみに、トルコではマカルナ(パスタ)も品薄になっているとニュースでやっていた。イタリアみたいだな~

 

(参考)

新型コロナでトルコの「コロンヤ」が爆発的人気 生産に追われる刑務所

https://www.trt.net.tr/japanese/jing-ji-bizinesu/2020/03/19/kolonya-20200319-1380857

 

(CREA)オスマン時代から続く不思議な習慣「コロンヤ」を買うならこの新店へ!

https://crea.bunshun.jp/articles/-/9785

 

トルコ政府、65歳以上外出禁止 感染者と死者が急増で

https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020032201001411.html

 

*トルコ政府は65歳以上の人を外出禁止にしたが、家族の他の人が外出していたら意味ないだろう。

 

(終わり)

 

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封鎖下のヨルダン~イルビッドの住民たち~そして世界各地の小ネタ

2020-03-21 09:21:26 | 新型コロナウイルス

 

今回もコロニャ(新型コロナウイルス)関連の話。しばらく続けることになると思う。

 

感染拡大を阻止するために外出禁止令が出されているのは、イタリアだけではない。ヨーロッパではスペイン、そしてフランスがイタリアに続いき、ドイツ等にもこの動きが広がっている。中東でも、不要不急の外出禁止、移動制限、国際便の運航停止・国境封鎖に踏み切る国が相次いでいる。

 

わたしがかつて1年半余り過ごしたヨルダンでは、21日の朝7時からイタリアよりも厳格な外出禁止措置が取られることになった。

 

ヨルダンでは、これを書いている時点では死者はまだ出ていないものの、感染者数はじわじわと増えつつある(20日の発表では69人)。現在外国から一斉に帰国した数千人が検疫のためホテルに隔離されている状況なので、これからどんどん増えると思われる。産油国ではなく、経済状況が年々悪化しているヨルダンは、当然のごとく感染者の増加を非常に恐れている。

 

そういうわけで、ヨルダン政府は全ての学校の休校、国際便の全路線の運航停止、陸・海の検問所での人的移動停止、集会やモスク・教会での礼拝禁止、映画館やスポーツサロンなどの閉鎖等を実施。17日には、不要不急の外出禁止、県をまたがる移動の禁止等のさらに厳格な措置を発表した。

 

しかし、2日ほど様子を見て、この程度の制限では人々が外出を止めないことを悟った政府は、外出禁止を徹底させるべく、さらに厳しい措置を決定。21日(土)の朝7時から、全ての商店が無期限で閉鎖され、許可なく外出禁止令を破った者には1年以内の禁固刑が科されることになった。食料品やその他の必需品の購入に関しては、24日(火)の朝に発表があり、店が開いて買い物に行ける時間帯が告知されるとのことだ。この政府の発表の後、人々が各地のスーパーや商店に押し寄せ、大混雑だったようだ。今後3日間は全く買い物に行けないわけだから、当然だろう。

 

ヨルダン政府がこの戒厳令を敷く前、外出禁止令を守らずに出歩いている北部イルビッドの住民たちの様子を示す地元テレビの映像がSNSで拡散していた。

 

これですわ。

 

ヨルダンの民放のテレビ局「ロウヤ」のニュースで、外出禁止令が順守されているかどうか、イルビッド特派員が中継でレポートした場面らしい。この映像・写真はその後SNSから削除されている。ヨルダン政府の所業か。

 

こういうのもあった。アンマン2か所とイルビッドの中継

 

こういう動画も

 

画面右側の男性に「政府」、左側の人に「イルビッドの住民」と書かれている。

 

 

ヨルダン人を含めて、アラブ諸国のSNSユーザーの間では「コロナジョーク」というジャンルが確立しつつある気がするが、もちろんコロナを笑いのネタにしているのは、アラブ人だけではない。

 

下はフェイスブックの香港関係のページから拝借した漫画。(元ネタはここ

 

レベル高いわ、香港。

 

 

スペインでは、外出禁止措置を迂回するためにティラノザウルスも出現したという。

 

なお、現地の警察は「ティラノザイルスも外出禁止」と発表している。

 

 

20日の段階で3983人の感染が確認され、117人が死亡しているイギリスでは、(猫好きの間で)影の首相との呼び声が高い首相府のネズミ捕獲長ラリーが、ツイッターで以下のような声明を出している。

 

 

My message is clear:

- Work from home if you can

- Avoid gatherings in small spaces

- Don’t hoard food and supplies

- Self isolate if you show symptoms

- Give cats extra treats

「私のメッセージは明確だ。

-可能な限り自宅勤務を行うこと

-狭い空間に集まるのを避けること

-食料や物資の買いだめをしないこと

-症状が出たら自主隔離すること

-猫にいつもより多くおやつをあげること」

 

 

(おまけ)

井の頭公園を最近散策した時の写真。

 

 

 

この騒ぎが収まって、皆が自由に心置きなく外出できる日がなるべく早く来ますように・・・

 

(終わり)

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封鎖下のイタリア~バルコニーでコンサート~そしてスペインとレバノン

2020-03-17 06:01:14 | 新型コロナウイルス

(表題写真の立て札:「新型コロナウイルスによる非常事態のため、一度に入る人数は最大4~5人でお願いします」)

 

 

また今回もコロニャ(新型コロナウイルス)関連の話。特集だ~

 

感染拡大に歯止めをかけるため、全土で厳しい移動制限、不要不急の外出禁止等が課されているイタリアで、人々が互いを励ますためにバルコニーや窓辺で合唱したり、音楽を演奏しているという話は、日本のメディアでも紹介されているのでご存知の方も多いのではないだろうか。

 

今回は、その関連の動画をご紹介する。

 

1つ目は、シチリア島アグリジェントで撮影された希望者参加型のもの。アパートの住民たちが、アコーディオンやタンバリンを鳴らしながら有名なシチリアの民謡「シュリ・シュリ(Ciuri, ciuri)」を歌っている。「Ciuri」はシチリア方言で「花」のことらしい(標準語ではFioriフィオーリ)。

 

 

こういうベランダでのコンサートの様子を眺めていると、イタリアが第二次大戦の終盤にナチスドイツに占領された時、南部は連合軍に解放されたが北部は住民がレジスタンス運動を展開して自力解放したことを思い出す。力を合わせて困難に立ち向かい、苦境を乗り越えようという気概が感じられる。実際、レジスタンスを担ったパルティジャーニ(パルチザン)をテーマにした「ベッラ・チャオ(Bella Ciao)」(邦題は「さらば恋人よ」)を歌った人々もいたようだ(参考)。もちろんイタリア国歌も。単に歌やお祭り騒ぎが好きな人たち、というだけではないのだ。

 

2つ目の動画は、テノール歌手がフィレンツェの自宅のバルコニーでオペラ「トゥーランドット」のアリア「誰も寝てはならぬ(Nessun dorma)」を歌う様子を映したもの。

 

 

レベル高いわ・・・

 

 

次は、イタリアに続いて全土で移動制限が発令されたスペインの若者たちの様子。

 

 

ボール、落ちてますが。

 

 

最後はレバノンのバルコニー・コンサート。レバノンでも不要不急の外出を控えるよう政府から指示が出ている。

 

 

 

こうしてみると、地中海沿岸諸国の住民には共通の文化があることがよくわかる。日本でやると通報されるに違いない。

 

 

<イタリアの食べ物>←唐突

ローズマリーとレーズン入りのトスカーナ風菓子パン「ラメリーノ」についての記事。ラメリーノは友達に教えてもらって食べて、好きになった。ローズマリーとレーズンは合うね。

https://saporitaweb.com/2018/05/14/%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2%E8%8F%93%E5%AD%90%E4%BC%9D01%E3%80%80%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8E/

 

<今日の諺>

"Fritta è buona anche una ciabatta" 

「揚げたらスリッパでも美味しい」

 

(終わり)

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封鎖下のイタリア~フィレンツェ特派員からの便り~小ネタ映像+ヨルダン

2020-03-15 05:38:39 | 新型コロナウイルス

(表題写真:フランスのチョコレート職人が制作したイースター用のチョコエッグ:コロナ風)

 

 

今回もコロニャ(新型コロナウイルス)の話。旅行記の続きはどうなったんだ・・・

 

前回の記事(これ)に載せた写真を送ってくれたフィレンツェ在住の友人(=特派員)が、こんどはイタリア人の友人・知人から教えてもらったという小ネタ動画を2つ紹介してくれたので、下にリンクを貼っておく。

 

1つ目は、「Affittasi Cane da Quarantena 」(自宅隔離中の人用の犬、貸します)というお題。

 

14 Marzo 2020

 

前回も書いたように、現在イタリアでは、ウイルス感染拡大を止めるため全土で移動制限などの厳格な措置が取られている(効果出てないけど)。政府から不要不急の外出をしないよう指示が出ていて、違反者には罰金・罰則があり、のんびり散歩に出かけることもままならない状況。しかし、犬を飼っている人は、必然的に散歩に行くことが許されている。だから、犬を飼っていない人も「散歩用の犬」があれば、大手を振って外出できるね!という発想らしい。この黒いモップみたいなやつ、アニメの犬みたいな動きだな~

 

 

2つ目は「新型コロナウイルス対策のスペーサー!」(距離を保つための道具)

 

Il distanziatore anti Coronavirus!

 

イタリアでは、人と人の間の距離を常に1メートル取るよう政府から指示されている。この動画では、これを実践するための装置を作っちゃったおじ様が、装着方法・使い方を説明している。1つ目の動画の男性はコメディアンの気配がするが、こちらのおじ様はその辺にいる普通の人としか思えないところに、イタリアの底力を感じる。普段は側面の「羽」の部分を折りたたんでおいて、横から誰か近づいた時にさっと出すそうだ。動画の最後で、説明を終えたおじ様は、「では、私は仕事に行ってくるよ。じゃあね」って、爽やかに行ってしまった。このセンス、関西人から見てもレベルが高い…「何にでも笑いのネタを見つけるのがイタリア人」だそうだが(イタリア人談)、関西人だってそうだもん。負けへんもん~

 

ついでに、ヨルダンの小ネタ動画も1つ載せておく。ツイッターのアラビア単語道場さんのアカウント等、SNSで見かけたもの。

「新型コロナウイルスの最初の感染者が確認されたヨルダンでクシャミをしたら」というお題

 

الاردني لما يعطس بعد اول حالة #كورونا في #الاردن 😂😂

 

まあ、どうみてもこれ、ヨルダン人じゃないけどね。日本の電車の車内バージョンも作れそう。誰か作って~

 

(終わり)

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