外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

2022年イタリア・ヨルダン・トルコ周遊記(26)~バラの花咲く優しい町シワス~

2023-12-07 20:58:33 | トルコ

 

 

トルコでは、まずアンカラに2泊してから、バスで7時間ほどかけてシワスに移動し、一泊だけしてエラズーに向かった。

 

 

シワス(Sivas)はアンカラの真右

 

 

本来シワスに行く予定はなかったのだが、アンカラからエラズーにバスで直接行こうとすると11時間半かかり、夜行バスに乗る以外の選択肢がない。私は年齢も年齢だし、もともと体力がないので、夜行バスに乗るときっと寿命が縮む。というわけで、夜行バスを避けるため、中継地点のシワスで一泊することにしたのだ。その分交通費も宿泊費も余分にかかるが、旅行中の健康維持のためには止むを得ない。もう無理が出来ないお年頃ですのでね。

 

 

この日は、夜中までワインを飲みつつツイッターなどをやっていたせいで、3時間半しか眠れずに8時過ぎに起床。友人が8時45分にロビーに来てくれる約束だったので、朝食を取る時間はなかった。せっかくいいホテルに泊まれたのに、結局2日とも朝食を取り損ねた。美味しい朝食だったに違いないのに、もったいなかった…でも、しょうがない。どこに行っても夜型人間なのでね。

 

 

急いで身支度をして荷物をまとめ、ロビーに降りたら、間もなく友人がやってきた。彼女に導かれて、バスとアンカライ(地下鉄)を乗り継いで、オトガル(バスターミナル)に向かう。

 

 

アンカラ猫さん、さようなら~

 

 

オトガルには10時前に到着したが、シワス行きのバスが出たのは11時だった。

 

 

綺麗で現代的な建物だが、トイレはトルコ式

トルコ式や和式のトイレって、足の悪い人や高齢者やお相撲さんは大変だと思う。

 

 

待ち時間が長かったので、カフェで朝食を取ることにした。友人は食べてきたのでチャイだけ。

 

 

トルコのスープが飲みたかったので、エゾゲリンチョルバス(=花嫁のスープ、参考レシピ)という赤レンズ豆をベースに米やブルグル、トマトペースト、乾燥ミントなどを加えたスープを頼んだ。パンは料理を頼むと付いて来る。

唐辛子が入っていて、ピリッと辛くて濃厚な味で美味しかった。

 

 

やがてバスが来たので乗り込み、友人と別れた。彼女には今回、本当にお世話になりっぱなしだった。まあ出世払いで~(来世?)

 

 

シワス方面が専門のローカルなバス会社の便を選んだ。

 

 

車体はメルセデスベンツで、一列の席だったので快適。車掌さんも親切だった。

 

シートカバーもベンツアピール

 

 

走り出してしばらくしてから、アイスクリームが出てきた。

 

 

トルコの長距離バスには、飲み物やお菓子のサービスが付き物だが、アイスクリームが出てきたのは初めて。普通に美味しいバニラアイスだった。食べ終わった頃、車掌さんがコロンヤの瓶を持って歩き、手に振りかけてくれた。

 

 

アイスの後も飲み物のサービスがあったが、私はパスしてひたすら寝ていた。しかし、窮屈な姿勢なので眠りが切れ切れになり、熟睡は出来なかった。

 

 

ドライブインで30分休憩があったので、トイレに行き、チーズとハムのホットサンド(Karşık Tost)を食べて、チャイを飲んだ。

 

 

トイレはやはりトルコ式。ツタンカーメン型

 

 

ホットサンド、パサパサしていまいちだった…

 

 

休憩時間が終わる前に、早めにバスに戻った(バスが見つからなくて迷うことを想定)。他の乗客も全員戻り、予定時刻に出発。このバスの乗客は皆マナーが良くて、静かで快適だった。車掌さんがまたコロンヤを振舞ってくれる。

 

 

18時頃にシワスに到着した。市内に入る前に検問があり、一旦バスが停止。警官が乗り込んできて乗客の身分証をチェックして回った。私もパスポートを出したが、素通りされた。外国人観光客はスルーされることがある。

 

 

シワスのオトガルから市内に出るセルビス(長距離バス会社が運行するシャトルバス)はないということなので、車掌さんに市バスの乗り場を聞いて、そちらに向かう。

 

 

シワスのオトガル

 

 

オトガルの正面左手に遊園地があり、その近くにバス停があった。

 

 

フリスビー、コワそう

 

 

やってきた市バスの若い運転手さんに行先を聞くと、市内中心部に行くと言うので、試みに安いホテルがある辺りで降ろしてほしいと頼んでみたら、地球の歩き方にも出ているファーティフ・ホテル(Otel Fatih)の最寄りのバス停で降ろしてくれ、ホテルへの行き方まで教えてくれた。なんと親切な運転手さんであろうか。タクシーみたいだ。

 

 

ファーティフ・ホテルの隣りにも小さいホテルがあって、その前にいた呼び込みの男の子が近寄ってきたので、値段を聞いてみたらシングルは200リラだと言われた(当時のレートで1600円くらいだと思う)。とりあえず保留にさせてもらって、ファーティフ・ホテルの方に入って値段を聞いたら、200リラのところを170に負けておくと言われたので、こちらにした。テレビ、エアコン、Wi-Fi、冷蔵庫、トイレ・シャワー、朝食付き。さらに18時から24時の間は、チャイのルームサービスが無制限で無料だという。私は利用しなかったが、トルコ人にはこのチャイのサービスは嬉しいに違いない。

 

 

 

 

落ち着いた色調でまとめられた部屋

 

 

 

 

安ホテルにしては設備がよく、清潔でおススメだ。シワスに観光に行く物好きな人がいればだが…

 

 

窓の外は駐車場ビュー

 

 

下の廃屋っぽい建物のトタン屋根の辺りにオナガが止まっていた。トルコのオナガさん~(実はオナガではなくカササギだったことが後で発覚)

 

 

少し横になって休んでから、Wi-Fiを使ってみたら、電波が弱くて安定せず、あまり使い物にならなかった。このホテルの唯一の欠点だ。アンカラを出てからイタリアのSIMカードが繋がらなくなっていたので、ホテルのWi-Fiが使えないと困る。

 

 

外でWi-Fiが使えるカフェを探そうと思い立ち、PCをカバンに入れて出かけたが、そんなものは見当たらなかった。小さな町だからしょうがないか。

 

 

その代わりに、歴史の古そうな建物を見つけたので、入ってみた。

 

 

 

 

シワスに観光に来たという陽気なイラン人のおじさんにトルコ語で話しかけられたが、あまり聞き取れず、上手く意思疎通できなかった。アゼリー語(アゼルバイジャン語)だったのかもしれない。

 

 

彼はこの噴水を指さして、何か言っていた。

この写真では分からないだろうが、吹き出し口の周りに双頭の獅子の頭部が付いている。

 

 

後で調べたら、この建物は19世紀後半に建てられた「タシュハン」(Taşhan)という名前の歴史的な建造物だった。「タシュ」は石、「ハン」は隊商宿と言う意味だ。隊商宿として、切石を使って建てられたそうで、上の噴水も当時からあったらしい。現在は様々なショップやカフェが並んでおり、地元の人も観光客も訪れる憩いの空間になっている。

 

 

                      タシュハンの動画。最初の方に噴水が写っている。

 

 

2階に上がってみたら、そちらにもカフェが並んでいた。

 

 

何軒かあるカフェのうち、雰囲気の良いところでコーヒーを飲むことにして、外の通路に置いてあるテーブルに座る。

 

 

ここ

 

 

テーブルがタウラ(バックギャモン)のゲーム盤だった。

 

 

トルココーヒーは、綺麗な色のロクムが付きだ。器からも素敵オーラが出ている。

 

 

近くのテーブルに座っていた店の主人らしき女性も、給仕してくれた若い女の子もフレンドリーで感じがよく、かつて日本人がこの店を気に入って通っていたという話をしてくれた。なんと、シワスに長期滞在する日本人がいたとは…

 

アンカラより少し寒かったので、そう言ったら、彼女たちは「シワスに夏はないのよ」と言って笑っていた。気温の低い土地柄らしい。せっかくシワスに来たんなら、セルジュク朝時代のメドレセ(マドラサ)(参考)をぜひ見て行ってね!と勧められたが、もう夕方で閉館する時間だから間に合わない。翌日の午前中に行くことも可能だったが、移動前に観光するような根性はないので、結局行かずじまいになった。

 

考えてみたら、私がシワスを訪れたのはこれが初めてではない。かつてアンカラから黒海沿岸のトラブゾンにバスで旅した時にも、中継地点として立ち寄ったことがあったのだ(今思い出した)。その時は真冬で雪が積もっており、しかも夜遅く到着して翌朝出発したので、観光どころか街歩きもしないままに終わった。もし次にここに来ることがあれば、その時は2泊してちゃんと観光したいが、そんな日が来るかどうかは不明である。

 

 

観光はもう諦めモードだったが、カフェを出て適当に街を歩いていたら、由緒ありそうなモスクに遭遇した。入口に「ウルジャーミイ」(Ulu Camii=大モスク)と書かれている。

 

 

ウィキペディアによると、シワスのウルジャーミイは1196年にセルジュク朝の君主によって建設されたという、古い歴史を持つモスクだ。1196年と言うと、日本では鎌倉時代が始まった頃だ。まあ、平安時代より後に建てられたわけだから、それほど古いとは言えないわね、ふっ…(古い建物を見ると、突然京都風を吹かせて上から目線になる私。京都市内出身じゃないくせに)

 

 

モスクに入るのは遠慮して、外から眺めるだけにした。古めかしくて武骨な感じのミナレットがカッコよかった。

 

 

ホテルに帰る前に、ATMでお金を引き出し、夕食とビールを買って帰る必要があったので、ATM(使い慣れている銀行のもの)と酒屋を探して夕暮れ時の街をうろうろする。

 

 

途中で通りかかった果物屋さん

アンカラの市場で見かけたシェケルパーレという種類のあんずを250gだけ買った。ビタミン補給。

 

 

ケバブ屋でチキンサンドも買った。旅行中は食費節約のため、サンドイッチ類で食事を済ますことが多いが、安食堂やファーストフード店には普通ビールがないので、テイクアウトしてホテルで部屋食することになる。

 

 

酒屋はけっこう多かった。「TEKEL」と書かれた美しいブルーの看板が目印だ。

 

 

トルコの酒屋のビールコーナーはキラキラしていて、心がときめく。

 

 

しばらく熟考した結果、「VARIM」(=私は存在する)という自己主張の強い名前のわりに一番安いビールと、エフェス・エキストラ(アルコール度7.5%のやつ)を買う。だんだんカバンが重くなってきた。もともとPCが入っているのに。

 

 

ATMを見つけてお金も引き出し、もうホテルに戻ろうと思ったら、案の定道に迷って、重いカバンを抱えてさらに歩き回ることになった。方向音痴って大変だ…

 

 

でもそのおかげで、バラの茂みの中に佇むシワス猫さんに出会うことが出来たから、よしとしよう。

 

 

少女漫画のように満開のバラを背負った猫さんが~

 

 

かわいいアピールの舌出し~

 

 

シワスはバラの花壇が多く、ちょうど花盛りで乙女チック(死語?)な雰囲気だった。

 

 

なかなかホテルが見つからないので、途中で何人もの人に道を聞いたのだが、どの人も親切に教えてくれた。シワスに着いてから、親切な人にしか会っていない気がする。

 

 

ホテルに辿り着いた時は21時半くらいになっていた。疲れ切っていたが、力を振り絞ってシャワーを浴びてから、夕食にする。このホテルのシャワーはお湯の温度が高くて水圧も高く、なかなかよかった。

 

 

清々しいほど地味な夕食

 

 

デザートにあんずも食べた。シェケルパーレ、やはり甘くてとても美味しかった。

 


PCで日記をつけてから寝ようと思ったが、Wi-Fiが使えず、テレビも映らなかったので、早めに寝ることにした。翌日はまたバス移動だ。がんばろう~

 

 

(続く)

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