マキペディア(発行人・牧野紀之)

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非正規教員

2010年11月11日 | カ行
 各地の公立小中学校で、正規採用の教員ではない常勤講師や非常勤講師が増え、昨年は約10万5000人と全体の15・1%を占めた。文部科学者の調査でわかった。この7年間で約3万7000人増えており、こうした「非正規教員」が7人に1人を超えるまでになっている。財政難の自治体が、安い給料で済む非正規の採用に動いているためだが、任期が限られ、「教育活動の水準を保てない」と懸念する声が上がっている。

 文科省によると、全国の非正規教員のデータがあるのは2002年以降で、同年(5月1日)の人数は約6万8000人と教員全体(約67万3000人)の10・1%だった。以後、毎年増え続けており、2009年は約10万5000人に。全体の15%を占めるまでになった。

 内訳をみると、正規採用の教員と同じようにフルタイムで勤める常勤講師は2002年の約4万1000人から2009年には約5万7000人と38%増加。授業時間だけ勤務するなど、パートタイムで働く非常勤講師は2002年の約2万7000人から2009年には約4万8000人と8割近く増えた。背景には、少人数指導や35人以下学級を進めるため、給与のより安い教員で頭数をそろえようという自治体側の姿勢がある。国の規制緩和が後押しした。

 文科省は、1クラス40人を標準とした学級編成を2001年から都道府県レベルで弾力化。2006年には市町村も自前で教員を雇えば少人数学級にできるようにした。2004年、教員給与の半分を負担していた義務教育費国庫負担制度を緩め、国の計算した総額内なら、給与や人数を自由に決められるようにした。自治体側は人件費を抑制する動きを加速させ、非正規の採用が拡大した。

 自治体側には「少子化が進んで教員の数が過剰になっても、任期の限られた非正規教員を抱えておけば人数調整がしやすい」という思惑もある。

 ただ、非正規教員は「次年度も雇用されるあてがなく、学校側が人事などの計画を立てにくい」「特に非常勤講師の場合、児童生徒とのかかわりが細切れになり、生活全体を踏まえた指導ができない」といった問題が指摘されている。

 メモ

 常勤講師は正規教員と同じくフルタイム(週約40時間)働き、学級担任もできる。非常勤講師は「直接担当する授業時間だけ」「過20時間」といった限られた時間の指導を担う。いずれも、非正規の身分で教壇に立ちながら正規採用を目指す人が多い。

 月給は、たとえば大阪府の小中学校の場合、大卒の正規採用は、初任給が19万9700円、45歳では38万3500円、60歳は42万1500円。一方、常勤講師は初任給が19万5900円で、途切れず働き続けられたとしても45歳で31万円となった後は頭打ちに。非常勤講師は時間給で2790円と、さらに安い。
(朝日、2010年10月23日。編集委員・氏岡真弓)

  感想

 正規の教員の待遇の実態も明らかにするべきでしょう。「国の計算した総額内なら、給与や人数を自由に決められる」ならば、一方を下げれて他方を上げることも「原理的には」可能でしょう。後は、首長のリーダーシップの問題です。現場の校長が働きやすい環境を作ることも大切です。
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