マキペディア(発行人・牧野紀之)

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ライプニッツ

2014年04月04日 | ラ行
 ①ライプニッツは『モナド論』の第14節で、「一(l'unité)すなわち単純な実体(la substance simple)の中に多(une multitude)を含みかつこれを表現する推移的な状態は、いわゆる表象(la perception)に他ならない。これは意識的表象(l'aperception)もしくは意識(la conscience)と区別すべきである」と述べている。

 「単純な」(simple)といわれているのは「合成された」(composé)に対立する意味であって、「モナドとは単純な実体にほかならない」(『モナド論』第一節)といわれているように「単純な実体」とは「モナド」のことである。またそれが「一」とも言いかえられていることは、ヘーゲルの用語「一」とのあいだに用語上の連関さえあるように思われ、興味をひく点である。そして『デポスにあてた一七〇六年七月十一日の手紙』に「表象とは一の中における多の表出に他ならない」といっている(河野与一訳『単子諭』、岩波文庫版、二二三ページによる)ように、表象とは一のなかに多を含む・または表現するモナドの作用であって、意識されるものをも意識されないものをも含んでいる。したがってヘーゲルがここで「観念性という意味より以上の意味をもっていない」といっているのは、正確な解釈である。

 ②「モナドにはそれを通ってものが入ったり出たりすることができるような窓がない」(『モナド論』第七節)。「しかし単純な実体の中にあるのは或るモナドが他のモナドに及ぼす観念的影響(une influence ideale)だけであって、この影響も神の仲介によるのでなければその効果をもつことができない。すなわち神がもっている観念の中で或るモナドが『神は万物の始め以来他のもろもろのモナドを支配してゆくにあたってそのモナドをもかえりみる』ということを正当に要求できるというにとどまる。

 実際に、創造されたモナドは他の創造されたモナドの内部に物理的影響(une influence physique)を及ぼすことができないのであるから、或るモナドが他のモナドと依存関係をもつにはこの仕方による他ないのである」(同上書、第五一節)。──

 この二つの引用文をよめばわかるように、ここでヘーゲルが否定しているのは、モナド相互間の物理的影響である。神がもっている観念を媒介にしてモナド相互間に依存関係が存在するということは、ここでいっているように「モナドそのものには何のかかわりをももたない」ことなのである。(寺沢1、395頁)
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