マキペディア(発行人・牧野紀之)

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お粗末ジャーナリスト

2012年05月18日 | サ行
 5月16日の朝日新聞の「記者有論」に浜松支局長の高田誠さんが、「日本を元気にするヒント」と題する文章を載せています。まず、それを引きます。

 ──浜松市で開かれる浜松まつりは、家族で初めての子(初子)の誕生を町全体で祝う祭りだ。連休中の3~5日に開かれた。

 日中は173町が初子の名前などを記した大凧を揚げ、夜は83町が豪華な屋台を市中心部で引き回した。町衆はそろいの法被姿で「オイショ、オイショ」と掛け声を合わせて、すり足で進む。「練り」ど呼ばれる。参加は12万人に上った。

 戦国時代に城主が長男誕生を喜び、凧を揚げたのが起源という説がある。私は今年4月に浜松支局に異動してこの祭りを知った。取材して驚いにのは、初子の家族の地域への思いが半端でないことだ。

 屋台の引き回し後、町衆はラッパや太鼓を鳴り響かせ、初子を抱いた家族の元に練りながら詰めかける。大人も子供もちょうちんを掲げ、「バンザイ」を繰り返す。

 その後は家族が酒宴でもてなす。最大3・64㍍四方の凧代など家族の負担が100万円を超えることも珍しくない。それでも「地域の人に祝ってもらえるのなら惜しくはない」という声が多かった。

 江戸時代にはすでに商店が並んでいた中区肴町で乾物屋を継ぐ7代目の鈴木功雄さん(51)は子供の頃、屋台に爆竹を投げ入れ、こっぴどく叱られた。でも、「大人は子供たちを町の仲間として引き入れた。祭りの後も、温かく見守ってくれた」と言う。

 初子で祝ってもらった子たちは、成長すればお囃子の練習に、大人になれば準備にかり出され、酒を酌み交わす。祭り当日は大人も子供もー緒に盛り上げる。当初の祝いの対象は長男だったが、近年は女児も祝ってもらうようになった。結婚した娘に子が生まれれば、里帰りしてその町で祝ってもらうことも多い。

 浜松市は、人口80万人超の政令指定市だ。隣近所に誰が住んでいるかも分からないのが都会の暮らしなのに、浜松まつりが世代をつなぎ、地域の結びつきを保たせている。転勤族の私には、うらやましく思えたし、浜松でできるのなら、他の地域でもできるのでは、と考えた。

 町内運動会でもいいから地域の大人と子供が一体となる場を持ちたい。浜松まつりのように、大人も心躍る催しはできるはずだ。地域のつながりが生まれれば、いじめや学級崩壊などの問題にも、対処しやすくなるだろう。そうすればあちこちの地域が生き生きとして、日本中がもっと元気になれる気がした。──(引用終わり)

 感想を書きます。

 第1に、浜松の現状は、全体として、「元気」とは言えないと思います。浜松祭りがあるからか、あるいは浜松祭りがあるにもかかわらずなのか、は分かりません。少なくとも他の市の模範になるような点は、残念ながら、ほとんどないと思います。

 第2に、そもそも、「元気になる」ことが必要なのかも問題です。私は昨年、浜松市長選に「仮」立候補しましたが、その時のスローガンは「公正で楽しい浜松を」としました。日本の目標は、少子化の速度を緩くして、安定した社会に軟着陸することだと思います。

 第3に、いじめも学級崩壊も浜松では余所に比べて少ないか、これも疑問です。少なくとも、静岡県では教員の不祥事が続いています。県も市も何の対策も打ち出せないでいます。

 第4に、100万円もの金を出せない家もあると思います。我が引佐町は合併で浜松市に成りましたが、実質的には浜松祭りとは無縁です。これで好かったと思っています。旧浜松市の人でも、浜松祭りの現状に不満の人も少なくないはずです。

 日本の会社では、特に大きな会社では、転勤が当たり前のようです。新しい任地に着いたら、何かを言うのは、最低でも1年くらい調査をしてからにしたらどうでしょうか。

 高田さんは「支局長」だそうです。記者になって或る程度の経験もあるはずです。新任地に行ったら、まず何をしてそこの全体像を把握するか、自分の方法くらい持っていても好いと思いますが。

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