マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

公務員(05、委託屋になった官僚)

2010年03月18日 | カ行
 高い関心を集めた行政刷新会議の事業仕分けから2ヵ月。「仕分け人」として参加した滋賀県高島市の前市長、海東(かいどう)英和さんのもとに財務省から報告書が届いた。仕分け結果が政府の新年度予算案にどう反映されたかがまとめられていた。

 海東さんは6町村が合併してできた高島市の初代市長を務め、事業仕分けを4回実施した経験をもつ。

 今回、中央省庁の事業について「税金を投入した効果は何か」と聞くと、答えに窮する官僚の姿を何度も見せられた。なぜかと考えるうち、委託屋になった官僚の一面に気づいた。
 政策づくりのための市場調査から立案、執行、さらには報告書づくりやアンケートまで、コンサルタント会社や外郭団体に委託することばかりだ。だから、答えられないのではないのか。

 市長時代にぼんやりと感じていた「官僚はなぜ、現場が共感する仕事をしてくれないのか」という疑問に、答えを見いだした思いだった。

 一方で、仕分け作業が終わると、説明の省庁の局長たちの後ろに控えていた若手・中堅の官僚が近寄ってきて、「よく言ってくれた」と声をかけてくることも再三だった。

 志があり、現場をよく知った政治家が政策を考える。それを使命感を持った官僚がきちんとした仕事に仕上げる。「それが本当の政治主導だ」と海東さんはいう。中央でも地方でも、そこはきっと同じなのだろう。

    (朝日、2010年01月26日。論説委員室から。大峯伸之)

     感想

 私の経験でも、かつて浜松市のアンケートについて電話で聞いたら、質問項目の作成から集計まで、みな、業者にやらせるとのことでした。驚きました。