マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

国土交通省の概算要求

2009年10月24日 | カ行
 参議院議員、藤本祐司さんのメルマガ(2009年10月23日)から

 ──先週、来年度の概算予算要求の見直しが終わってほっと一息した。国会議員を含めて多くの方から「たいへんだったでしょう。」とか「国土交通省はよくあそこまでカットしたね」とお褒め(!?)の言葉を頂戴した。高速道路の無料化にかかる費用や国直轄事業の地方負担のうち維持・管理費を国費でまかなうとしたため、最終的には前年度より約1,700億円の減にとどまったが、前年度と同じ前提であれば9,320億円の削減だ。

 たしかに国土交通省の担当業務は多岐にわたっている上、事業の数が多いので作業量はべらぼうに多かった。その点、たいへんだったことは否定しない。しかし、私の場合、難しい作業だったかといえばそうでもなかった。別に自慢しているわけではない。その理由はこうだ。

  私を含め国土交通省の政務2役(副大臣と政務官)は全員が民間企業出身者である。私は約21年民間企業に勤め、一応管理職も経験している。要するに利益が少ないときは少ないなりに経費はカットするという当たり前のことを経験してきている。いかに効率性を高め、付加価値を高めていくかが問題だ。無駄な経費をいかにカットするかを常に意識して仕事をしてきた。その代わり、必要な事業や成長が期待できる事業には多少無理をしてでも投資をする場合もある。やる価値がある事業には1億円を投資しても、100円でももったいない。ケチだからではなく、1円の利益を生むことがどれだけたいへんなのかを知っているからである。民間企業出身の私たちには、こうした感覚が身についている。その点が多くの官僚と私たちが決定的に違う点だと予算見直し作業をしていて気がついた。

  環境が人を作るというが、官僚組織という環境が官僚の思考経路を変えてしまったのではないだろうか。特に財務官僚にその傾向が強いようだ。私は全体の予算を10~15%カットする代わりに成長が期待できる予算は最低でも現状維持、場合によっては増額した。例えば、観光予算は、昨年の4倍に増やし、予算のメリハリをつけた。前原大臣も観光は国土交通省の成長戦略の一つと断言している。私も同感だ。

  しかし、それに対して、財務官僚は「4倍はとんでもない。命をかけてでもゼロにしてやる」と言っているようだ(国土交通省幹部の言)。もともと少ない観光予算のカットに大事な命を懸けなくても良さそうなものとあきれてしまうが、それ以上にあきれることは予算の中身を見ずして4倍になったという理由だけでけしからんという財務官僚だ。本当にけしからん。これまで長年にわたってこんな財務省の馬鹿げた査定の末に予算が組まれ、各省庁も前年度の予算をベースにしてきたから日本の成長は止まってしまったのだろう。戦略性の全くない予算編成から脱しなければいけない。民主党政権は、政治家が官僚に丸投げしてきた自民党政権の歴史を変えようと戦っているのである。

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