まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

競技ダンスの構成的ルール

2010-11-06 16:36:49 | ダンス・ダンス・ダンス
先週の 「文化創造論」 で、スポーツにとってはルールというのがとても重要である、
そして、スポーツのルールには2種類あって、
構成的ルールと運営上のルールがあるというお話をしました。
例えば、サッカーにとっては手を使わずに足でボールを蹴ることというのが構成的ルールですし、
バレーボールにとってはボールをバウンドさせずに
ボレー (volley) で返すというのが構成的ルールです。
そこを崩してしまうと、その種目の本質が変わってしまい、別のスポーツになってしまうわけです。
それに対して、1試合の時間を何分にするとか何点制にするとかは運営上のルールにすぎず、
競技者の年齢・体力や主催者の都合に合わせて変更することが可能です。
陸上のトラック競技や競泳の種目において、
何回フライングしたら失格とするかは運営上のルールにすぎませんが、
そもそもフライングをしてはいけない (同時にスタートしなければいけない) というのは
構成的ルールであって、フライングをありにするということは絶対に考えられません。

とまあ、そんなことを話していたら、
では我が競技ダンス (社交ダンス) はどうなんだろうという疑問がわいてきました。
競技ダンス (社交ダンス) にとっての構成的ルールは何なのでしょうか?
今わざわざ 「競技ダンス (社交ダンス)」 と書いたように、
競技スポーツとなる以前から、社交ダンスというのはありました。
以前に書いたとおり、競技ダンスの歴史はほんの100年もないくらいですが、
社交ダンスというのは調べてみると18世紀頃から存在していたようです。
(社交ダンスの定義や歴史についてはウィキペディアを参照してください。)
どうやら social dance というのは和製英語のようで、
正しくは sociality dancing とか ballroom dance とか言わなければならないのだそうです。
この2つの英語が 「社交ダンス」、ひいては 「競技ダンス」 の本質を表していると言えるでしょう。
sociality dancing というのは男女がペアになって踊るダンスのことを意味しています。
そして、ballroom dance というのは、
舞踏会のように 「舞踏室 (場)」 でたくさんのカップルが同時に踊ることを指します。
したがって、社交ダンスとは、男女のカップルが同じフロアで同時に踊るダンスなのであり、
社交ダンスがスポーツとなった競技ダンスも、その2つが構成的要素となっているのです。

実際、現在の競技ダンスはあいかわらずそのスタイルで競技会を開催しています。
同じフロアで複数のカップルがいっぺんに踊りますので、
ダンス中に何組もが一箇所にかたまってしばらく動けなくなってしまったり、
互いにぶつかりあってしまうこともしばしばあります。
あまりに激しくぶつかって脳しんとうを起こしてしまった人も見たことがあります。
同じ美と技を競うスポーツでも、こういう競技形式を取っている種目はあまり見かけません。
フィギュアスケートも1人ひとり (1組ずつ) 踊りますし、
最近テレビでよく見かけるヒップホップダンスの大会なども1組ずつ踊っているようです。
それに対して競技ダンスというのは、舞踏会での社交ダンスから発祥していますから、
同じフロアの上でたくさん踊っているカップルの中で、
どこが最も美しく上手に踊っているかを競うというのが大事なのであり、
ぶつからないように他のカップルをよけながら臨機応変に踊っていくというのも、
技術のうちのひとつとして評価されるわけです。
それゆえ競技ダンスの採点は基本的に相対評価です。
つまり、一緒に踊っている他のカップルと比べてどうかという観点で評価されるのです。
そこから競技ダンスの独特の採点方法が生まれてきました。
この採点方法についてはまたの機会にご紹介することにしましょう。
そして、競技ダンスにとってのこの構成的ルールを変えていくことができるのか、
ということについても今後検討してみることにしたいと思います。
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