まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

卒業制作展・フィルジッヒ・蝶々夫人

2012-01-31 08:29:52 | 人間文化論
土曜日は予告通りアートな1日となりました。
そのあと予定外のディープな飲みになってしまったので (福コンではない)、
日曜日を失ってしまったり、月曜日は仕事に追われたりしていて報告が遅れましたが、
サクッと振り返っておきましょう。

日中はアオウゼで 「卒業制作展覧会」 を見てきました。
初日だからか、アオウゼだからか、今まで見たことのないような人出でした。
MAXふくしまに来てみたらたまたまやっていたから、ふらっと入ってみたという人も、
けっこういたのではないでしょうか?
みんなの作品が多くの人の目に触れるというのはとてもよいことだと思いました。
卒業制作展をやるには相当広いスペースが必要なので、
アオウゼのどの会場でやるのか不思議に思っていたのですが、
いつも 「てつカフェ」 で使っている小活動室あたりのパーティションが全部取っ払われて、
新たに広大なスペースが作られており、そこが会場となっていました。
「てつカフェ」 に参加したことがある人は、あそこがこんなふうに変わっちゃうんだぁ、
ということを確かめるためだけでも見に行ってみる価値があると思います。

「一番とんでもなくけしからん学年」 という触れ込みでしたが、
けっしてそんなことはなく、みんな真剣に創作に取り組んでいました。
それよりもやはり、あの 「3.11」 に少なからず影響を受けた作品があったことが印象に残りました。

・小学校での図工教育を見据えた、本格的彫刻
・動物がモップになっていたり、子どもが喜ぶ置物になっていたりする彫刻
・石膏で表現された衣服のしわ
・化粧も含めて顔の表現にこだわった、とにかくでかい鼻
・パッと見やさしいけれど、実は怖くて悲しいシュールレアリスム
・欠落によって自分の内面を描き出す抽象画
・絶滅危惧種のトラにこだわりまくった水彩画
・キャンバスに収まりきれずにキャンバスを作り出してしまう油彩
・紙袋その他のプレゼント用品と 「わ・た・し」 をプレゼントするための服
・小説の挿絵とマンガと無言劇 with 胎内
・自らの性や心身を見つめるマンガ風の絵 (GANSHAを含む)
・お盆や椅子からばかでかい四面屏風まで、動植物を巧みに表現した寄せ木細工

この代は 「文化創造論」 のときに、「絵画」 チームでひとつにまとまらず、
「油彩」 と 「水彩」 に分かれた上に 「美術館」 という1人チームまでできた、
たしかに一番変わった代でした。
たった15分のプレゼン時間のあいだに油絵をその場で描いてみせて好評を博したのもこの代でした。
この個性的なメンバーが卒業後どうなっていくのか楽しみです。
明日までの開催です。
まだの方は必見です!

そして、夜は音楽堂でオーケストラ・フィルジッヒのコンサートでした。
まずは嶋津先生の 「レクイエム」 です。
現代音楽というと無調性というイメージがあって苦手意識をもっていたのですが、
演奏が始まってみるととても調性感のある、私でも聴きやすい美しい音楽でした。
このレクイエムは人間のためではなく破壊された自然のためのレクイエムなのだそうで、
それがナレーションとしてバリトンの声で語られていきます。
バリトンは 「てつカフェ特別編」 にも来てくださっていた、
いかにもバリトンという身体つきの佐藤一成さんです。
福島大学にいたらきっとみんな一度や二度は見かけたことがあるでしょう。
佐藤さんのバリトンが入ってくるあたりから、
オーケストラは破壊された自然の叫び声を表すかのように無調の不協和な音を奏でていきます。
しかし、それがけっして too much にはならず、
そこにバリトンが 「ほ ほ ほたる来い」 と誰もが知っている調べをやさしくかぶせてきます。
そして最後はまた調性感を取り戻してわずかな希望を感じさせながら閉じられました。
私でももう一度聴きたくなる素敵な曲でした。
佐藤さんは今週の土曜日 (2月4日) にオペラ 「蝶々夫人」 を演るそうです。
あの竹澤先生が演出、美術の渡邉晃一先生が美術監督、うちの大学院生も出演するという、
夢のような機会ですが、残念ながら私は見に (聴きに) 行くことができません
私がお金を払ってもいいので誰か代わりに見てきてください

2曲目は中畑先生によるショパンのピアノ協奏曲第1番です。
これはもう圧巻でしたね。
ふだんは学生生活委員長としてしか見たことのなかったあの中畑先生が、
実はピアニストが本職だったんだと見せつけられた思いでした。
この曲はCDではいろいろなピアニストの演奏で聴いたことがありますが、
生で聴くのは初めてです。
やはり生で聴いてみるとCDで聴くのとは全然ちがって、
ここにはこんな音が入っていたんだとか、
ここにこういう間を入れるとこんなふうに聞こえてくるんだとか、
もちろん演奏家による独自の解釈もあるのでしょうが、
いろいろな発見をしながら聴くことができました。
あんなふうにピアノが弾けたら人生楽しいんだろうなあと、
本当に羨ましくなりながら聴いていました。

3曲目はまったく聴いたことのないフランクという人の交響曲です。
この頃にはお腹が空いてきていて、もう退席してもいいかなというくらいの気分だったんですが、
これは聴いておいてよかったです。
とてもいい曲でした。
知らない曲だし、知らない作曲家だからといって侮ってはいけませんね。
休憩時間にビオラ首席院生さんによる曲目解説で予習をして、
3楽章しかない交響曲であること、「循環形式」 という、
同じ動機 (=旋律) を楽章をまたいで何度もリユースする作りであることなどを知っていたので、
循環動機を探したりしながら最後まで楽しく聴き、
第3楽章が終わった瞬間にちゃんと拍手することもできました。
とても内容の濃い演奏会でした。

コンサート終了後は一緒に聴きに行った音楽教育のS先生や漢文学のS先生とともに、
「福コン」 の喧噪を避けて 「ビストロ鈴木」 や 「バー鈴木」 など、
福島市街地周縁部をチョウチョのように経巡り、記憶を失うまで飲み食いしたのでした。
とっても幸せな芸術の冬でした。

免震人間

2012-01-27 08:30:52 | 生老病死の倫理学
元日に地震があったらしいけれど、私はちょうど新幹線に乗っていて、

よくわからなかったという話を以前に書かせていただきました (「初揺れ?」)。

そのときはそれでも、走っている新幹線のなかでなんとなく、

お総菜を並べたテーブルがいつもよりガタガタ揺れているなあというのは感じ取っていたのですが、

その後、私はいっさい地震を感じなくなってしまいました。

聞くところによるとこの1月はけっこう大きめの地震が何度も発生しているらしいのですが、

私は今年に入ってからまだ一度も地震を感知したことがありません。

あるときは大学生協のあたりを歩いていて、近くの人びとがみんな大騒ぎし、

その後、食堂内では 「ただ今、震度4の地震がありました。建物から出ないようにしてください」

という放送まで流されるほどだったんですが、私は地震を感じることができませんでした。

「昨日の夜のはすごかったね」 とかその手の話が交わされるたびに、

「えっ?」 とビックリするばかりです。

地震不感症になってしまったんでしょうか?

地震に耐性がついてしまったんでしょうか?

それとも、頻発する地震に対抗するため私の身体が免震構造になってしまったんでしょうか?

地震のたびに怖い思いをせずにすむのはありがたいことですが、

万一の時に避難行動を取れないのは心配です。

大きな地震が発生したときは、私が逃げ遅れていないか誰か確かめてあげてください。

嶋津先生の新曲、中畑先生のピアノ・コンチェルト

2012-01-26 17:19:37 | 人間文化論
昨日に引き続き、今週末のイベント情報です。
今週の土曜日、オーケストラ・フィルジッヒの第8回演奏会が開催されます。
「オーケストラ・フィルジッヒ」 というのは福島に作られた非常設のオーケストラだそうです。
今まで私はその存在を知りませんでしたが、
私がやっている大学院の必修科目 「地域文化創造特論」 を取ってくれた院生さんが、
その団員だということで、情報をいただくことができました。
直接、福島大学と関係のない団体ではありますが、
福大の嶋津武仁先生がずっと芸術監督をやっていらっしゃいますので、
まったくの無関係というわけでもないでしょう。

今回のコンサートでは、その嶋津先生の新曲が演奏されるそうです。
まったく存じ上げず誠に申しわけなかったのですが、
嶋津先生は現代音楽の分野では世界的に知られた作曲家なのだそうで、
私、現代音楽って苦手なのですが、
この機会にぜひその 「世界の音楽」 に触れてみたいと思います。
「レクイエム (=死者追悼のための鎮魂曲)」 というタイトルから、
3.11を意識した曲だということがうかがわれます。
私も 「てつがくカフェ@ふくしま」 という形で哲学・倫理学の立場から、
3.11に迫ろうとしているわけですが、
音楽の立場からはどのようなアプローチがなされるのか楽しみです。

そして、今回はさらに福大のピアノの先生、中畑淳先生が、
ショパンのピアノ協奏曲第1番を弾かれます。
モーツァルトしか聴かなかった私が初めてモーツァルト以外の人の曲で好きになったのが、
このショパンのピアノ協奏曲第1番でした。
(ブーニンがショパン・コンクールで弾いたやつが私の初体験)
中畑先生もけっこう有名なピアニストで、
しかもショパンには一家言もっている専門家なのだそうです。
これまでは教員の送別会とかで1、2曲弾くのを耳にした程度でしたので、
ショパンのピアノ・コンチェルトをまるまる弾いてもらえるというのは、
ものすごく有り難い機会だと思います。
テンション上がりまくります。

フランクという作曲家はまったく聞いたことありませんでしたが、
専門家でもあまり馴染みのない音楽家だそうで、
その人が1曲だけ書いた交響曲を演奏会で取り上げるなんて、
相当マニアックな選曲なのだそうです。
上述した院生はヴィオラの首席奏者であるばかりでなく、
フランク交響曲の曲目紹介も書いたそうで、
誰も知らない作曲家とその作品をどのようにプレゼンテーションしたのか、
パンフレットを楽しみにしたいと思います。
28日はMAX福島で 「卒業制作展」 を見たあと、
音楽堂に足を伸ばしてフィルジッヒの演奏会を聴くという、
アーティスティックな一日にしたいと思います。
皆さんも 「芸術の冬」 を楽しんでみてはいかがでしょうか?


オーケストラ・フィルジッヒ 第8回演奏会

日 時    2012年1月28日 (土) 開場17:30 開演18:00

場 所    福島市音楽堂 大ホール

芸術監督  嶋津武仁

指 揮    橋裕之

全席自由   一般 \1,000 高校生以下 \800


演奏曲目   フランク/交響曲ニ短調作品48
         ショパン/ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11
               ピアノ:中畑 淳
         嶋津武仁<委嘱作品>/レクイエム(バリトンとオーケストラの為の)
                    -世界初演-      



P.S.
フィルジッヒというのは 「桃」 という意味のドイツ語だそうです。
な~るほどね。

平成20年度入学生 「卒業制作展覧会」

2012-01-25 09:13:58 | 人間文化論
昨年の12月下旬に、福大関係の芸術系イベントが立て続けにあったことがありました。
それを 「芸術の秋」 に対抗して 「芸術の冬」 と呼び告知しましたが、
今度の週末も芸術の冬となりそうです。
とりあえずひとつずつ告知することにいたしましょう。
今日は、例年お伝えしている美術の学生さんたちの 「卒業制作展覧会」 の告知です。
私はこの夏に同じメンバーによる 「○○○○展」 を見に行ってきました。
この半年で、あそこからさらにどれだけみんなが成長し、どんな作品を仕上げたのか楽しみです。





福島大学美術科平成20年度入学生 卒業制作展覧会  

●出品者 平成20年度入学 福島大学 美術科12名

●日時 平成24年1月28日(土)~ 2月1日(水)

       10時~19時 (最終日のみ16時まで)

●会場 MAXふくしま4F A・O・Z

●入場無料



HPの宣伝文句によると、
「一番とんでもなくけしからん学年 = 平成20年度入学生12人が開催する卒業制作展覧会です。
 各学生が必死に闘ってきた、研究テーマの集大成を是非御覧ください!」
とのことです。
どんなスゴイ学年なんでしょうか?
それはぜひとも見届けなければなりますまい。
そういえばこのポスター、福島駅の中央地下通路にもデカデカと貼ってありました。
あそこに広告打ったのは初めてではないでしょうか?
(あまりあの地下道通らないので、昨年まで気づかなかっただけかもしれませんが…)
いろいろな分野の作品が並び、かつ制作ノートなどもあったりするので、
素人でも楽しめる展覧会です。
しかも、今回は 「てつがくカフェ」 でもおなじみのA・O・Z (アオウゼ) での開催です。
駅からすぐなので飲み会の前にちょっと寄ってくこともできるじゃないですか。
ぜひ皆さんも足を運んでみてください!

明日は、28日に音楽堂で開かれるコンサートのお知らせです。
これもスゴすぎるっ!!

カレーの日

2012-01-23 21:44:01 | 飲んで幸せ・食べて幸せ
1月22日は 「カレーの日」 なんだそうです。

昨日たまたま何かのテレビで (CM?) そんな情報を仕入れてしまいました。

特に語呂合わせも思いつかないし、おせち料理に飽きるのはもっと早い段階だろうし、

なぜ1月22日が 「カレーの日」 なのか意味がわかりませんでした。

そこで調べてみたところ、学校給食が発祥みたいです。

1982年に、全国学校栄養士協議会が1月22日の給食のメニューをカレーにすると決め、

全国の小中学校で一斉にカレー給食が出されたらしく、

それにちなんで、1月22日が 「カレーの日」 となったのだそうです。

そうでしたか。

未だに1月22日には日本中の学校で給食にカレーが出されているのでしょうか?

残念ながら今年は1月22日が日曜日だったので、カレー給食はなしだったのでしょうか?

それとも今日23日がカレーの日になったんでしょうか?

全国の小中学生の皆さん、あるいはそれくらいのお子さんをお持ちの皆さん、

給食メニューに関する情報提供をお願いいたします。

さて、カレー好きの私としては、せっかくの 「カレーの日」 に敬意を表しないわけにはいかず、

昨日も、そして 「振り替えカレー日」 かもしれない今日もカレーを食べてしまいました。

といっても冷凍のご飯にレトルトカレーをかけただけですのでエラそうなことは言えませんが、

しかし、昨日は 「デリー」 のビーフマサラカレー、

今日は 「エチオピア」 のビーフカリーです。

いずれも東京にある超有名店です。

まあ店名を冠したレトルトが売り出されるくらいですから、ご存じの方も多いでしょう。

たかがレトルトとはいえ、ふだん気楽に食べられるようなものではありません。

おっ?と思って買い、大切な日のために大事に取っておいたのですが、

こんな日にこそ消費すべきなのでしょう。

やはりお店で食べるのとはわけがちがいますが、

わざわざ店を探していって食べた日の感動を思い出しながらいただきました。

福大でやり残したことはないか?

2012-01-20 16:07:23 | 飲んで幸せ・食べて幸せ
福大生の皆さん。

特に4年生や大学院2年生の皆さん。

今は卒論や修論の仕上げで忙しいと思いますが (特に修論は今日が締切!)、

皆さんは福大でやり残したことはありませんか?

卒業したあとで、しまった、あれをやっておけばよかったと後悔しそうなことはありませんか?

トイレでオシッコが出終わったんだけど、まだ全部出し尽くしていないような、

あの残尿感と同じイヤな感じを、福大に関して感じていませんか?

そうです。

みんなのなかにはまだレストラン 「グリーン」 を利用したことがない人がいるでしょう。

なんとなく大学会館の2階に何かあるみたいだなあと思いつつ、

4年間とうとう一度もあの階段を上ったことがないという人がいるんじゃないですか?

そんなことで福大を卒業したと言えるでしょうか?

すべての福大を味わい尽くさないままここを去って行ってしまっていいのですか?

「グリーン」 は混んでいてなかなか利用しづらかったという人も、

4年生の今となっては2限も3限も授業なんて入っていないでしょう。

昼休みを外して利用すれば快適です。

レストランならゆったりと寛ぐことができます。

ドリンクバーを頼めばジュースもコーヒーも飲み放題です。

福大最後のしゃべり場として、ぜひ 「グリーン」 を活用しましょう。

今年度の営業は2月3日までです。

最後のチャンスです、レストラン 「グリーン」 へ急ごうっ!


P.S.

まだ行ったことのない1年生、2年生、3年生もぜひっ!

第8回てつがくカフェ@ふくしま開催のお知らせ

2012-01-19 16:56:33 | 哲学・倫理学ファック
今年最初の 「てつがくカフェ@ふくしま」 が明後日開催されます。

テーマは 「幸せって何だろう?」 です。

根源的な問題ですね。

特に 「3.11」 以降の福島に暮らす者にとっては深刻な問題です。

私の昨年の 「倫理学概説」 を取った人には懐かしいテーマだと思います。

幸せとは何なのでしょうか?

幸せになるにはどうしたらいいのでしょうか?

私のブログの 「幸せの倫理学」 のカテゴリーなんかを復習してご参加ください。

(いや、もちろん復習なんかしなくても全然かまいませんが。

 どうせ私の私的な幸福体験や幸福論しか書いてありませんから。)

場所はいつもの幸せなお店 「サイトウ洋食店」 です。

皆さまのお越しをお待ちしております。



第8回 「てつがくカフェ@ふくしま」

日 時 : 2012年1月21日 (土) 開催時間 16:00~18:00

場 所 : サイトウ洋食店


     福島市栄町9-5栄町清水ビル2階・JR福島駅から徒歩4分・福島駅から313m・℡024-521-2342
     http://ggyao.usen.com/0005016325/

費 用 : ドリンク代 (珈琲300円)

事前申し込み : 不要(直接会場にお越しください)

問い合わせ先 : fukushimacafe@mail.goo.ne.jp

私のなかの偏見

2012-01-18 14:23:27 | 人間文化論
大学のキャンパスに入ると、グラウンドのまわりを知ってる学生がジャージ姿で走っていました。

でも、彼は陸上部ではなかったはずです。

「なんで走ってんの?」

「え? 柔道部ですよ」

「ああ、そうかあ…」

本当に 「ああ、そうかあ」 でした。

「柔道部ですよ」 というのは、「柔道部の練習でランニングしているんですよ」 というのを、

走りながらなので省略して言ったのでしょう。

それはぼくでもすぐにわかりました。

というか彼が柔道部なのはよく知っていたんです。

だけど、まったく部活の練習とは思わず、就活のための体力作り?とか考えていました。

自分には偏見なんかないと思っていたけど、けっこうあるもんだなあ。

「柔道部は走らない or 走れない」 みたいなね。

一緒にいる時間は愛の時間か?

2012-01-17 07:53:27 | 性愛の倫理学
私の 「愛は時間である」 の議論に対して、下記のような質問を頂戴しました。

> 相手のために割く時間ということは一緒にいる時間、も含まれますよね?
> 割く時間のなかで、共に過ごす時間は愛に比例するのだろうか?
> と疑問がわいてしまって…
> 責任感というか性格的な問題、遠距離など物理的な問題が、絡んでくる気がして、
> これは例外扱いでしょうか?

なるほど、「一緒にいる時間」、「共に過ごす時間」 というのは、
相手のために時間を割いているということになるかという質問ですね。
これは、ひとくくりに答えることはできない問題のように思います。
相手と一緒にいたいと思ってわざわざ時間を作り、
共に過ごしているのなら、当然それは愛の時間となるでしょう。
未婚のカップルや遠距離恋愛のカップルがデートをしている時間などがその例です。

それに対して、質問者が想定しているのは、
たぶん長年連れ添っているカップルで、
愛が冷め切っているけれどしかたなく一緒にいる、
というような事例ではないでしょうか。
たしかにそれを愛の時間とは呼べないような気がします。
一緒に暮らしていながら、相互にまったく無関心という場合、
そもそもそれは時間を共に過ごしてはいないように思いますし、
そういう場合、相手のために時間を割いているとは言わないでしょう。
ただ同じ家に住んでいるというだけでは、
相手のために時間を使っているということにはならないのだろうと思います。

とはいえ、じゃあ全否定してしまっていいかというとそれもちがうような気がします。
質問者は 「責任感」 ということばを使っていらっしゃいましたが、
もう愛してはいないのだけれど、責任感から相手のために食事を作ってあげるとか、
逆に相手が作ってくれた食事を同じ食卓で一緒に食べるとか、
しつこくねだられたので一緒に旅行に行くというような場合は、
それはそれで相手のために時間を割いているし、
それもひとつの愛の形かなという気もいたします。
ただし、じゃあその時間全部をその相手への愛の時間としてカウントしていいかというと、
やはりそうではなくて、食事の時間中に相手と一切話さず別のことを考えていたり、
旅行中に別の人のためのお土産を選んだりしていれば、
その時間は相手のために割いた時間とは呼べないでしょう。
というわけで、「一緒にいる」 とか 「共に過ごす」 ということの中身をしっかり見極めないと、
相手のために時間を使っているのかどうか一概に決めることはできないように思います。
わざわざ自分の人生の有限な時間を割いて誰のために使っているのか、
そこがポイントではないかと思います。

センター試験監督ダイエット

2012-01-16 16:14:24 | がんばらないダイエット
センター試験が終了しました。
今年のセンター試験は、地歴・公民と理科で試験実施方法が変わり、
日本全国で混乱が生じていたようです。

「センター試験「社会」新方式でトラブル 運営側の対応“予習”足りず」

地歴と公民の2教科、理科のなかの2科目を、
これまでのように別々の時間帯に行うのではなく、
10分間のインターバルをはさんで、
いっぺんに2つ受験してしまうという方式になりました。
今までだと、日本史と世界史の2つを受験するということはできませんでしたが、
今回からはそれが可能となったのです。
これ自体はいい改革だったと思うのですが、
監督する側からするとやはり大変でしたね。
配布物も増えましたし、説明事項も増えましたし、
今まで通りの時間でこなせというのは至難の業でしょう。
うちも含めて開始時間、終了時間を繰り下げた会場が相当あったようですが、
まあそれは想定されていた事態ですのでどうということはないでしょう。
問題冊子を配付し忘れたとか、
リスニングの機器が届いていなかったというのはちょっと大問題ですが、
これだけの大改革にもかかわらずこれくらいですんでよかったと言えるのではないでしょうか。

新方式にしたために発生したもうひとつの問題は、
「地歴・公民」 や 「理科」 の試験中にトイレに行く人が増えたという点でした。
拘束時間が長くなってしまいますので、いたしかたのないところです。
うちの教室でも、初日は誰もトイレに立つことはなかったのに、
2日目の 「理科」 では数名がトイレに行っていました。
去年あんなことがありましたし、
あんなことがなかったとしてももともと、誰かがトイレに行くときには、
監督者が付き添っていくことになっているのですが、
私が付き添っていったところ、1人の受験生が我慢の限界に達していたのか、
行くときは小走りでトイレに突進していったのです。
ところが終わった後はスッキリした顔でニコニコしながら、
私に向かって 「まさおさまですよね?」 と話しかけてきます。
「え? 何?」 と思って相手の顔を不審気に見てみると、
ものすごくうれしそうな顔で 「ぼく福高なんです」 と話しかけてきました。
そうか、昨年6月に講演をしたので、福高の3年生は全員ぼくのことを知ってるんですね。
彼はさらに何か話したそうでしたが、
「何言ってんだ。いいから早く戻れ!」 と言って試験室に戻らせました。
私のことを覚えていてくれて、こんなところで声をかけてもらえるのは大変ありがたいことですが、
解答時間が足りなくなってしまったりしたら大問題です。
せっかくの 「進路講演会」 が仇になってしまいます。
ロスタイムの分を取り返してくれたことを祈りたいと思います。

それにしても2日間よく歩きました。
監督控え室と教室のあいだを何度も往復し、
教室の中でも巡視のため歩き回っていました (もちろん足音は立てないように)。
両日とも軽く1万歩を超えました。
でも、あれぐらい歩かないと1万歩に届かないんだな。
久しぶりにちゃんと運動した感じです。
大学教員にしかできない 「センター試験監督ダイエット」 です。
打ち上げさえしなければ、体重減ってたかもしれないな

謎の店

2012-01-15 06:31:41 | 人間文化論
昨日、今日とセンター試験の監督です。

昨日の最後は英語リスニングで、これが一番気を使うし緊張するのですが、

(機械の不調など問題が発生してしまうと、同じことをもう一度やらされる)

おかげさまで何のトラブルもなく、無事に終了することができました。

そういうめでたいことがあると、当然乾杯しないわけにはいきません。

まだセンター試験が終了したわけでもないのに、とりあえずリスニングの打ち上げをしてしまいした。

でもみんな (参加者4名) 大人なので、店選びの段階から、

日本酒はやめておこうねとか、

ゼッタイに2軒以上行っちゃダメだからね、できれば1軒で解散しようねとか、

これは飲み会ではなくただの食事会なんだからね、などとお互いに言い聞かせながら飲みに繰り出しました。

結果、11時過ぎまで飲んでワインを4本開けてしまったものの、

最初に入った店1軒だけでちゃんと解散することができましたので、

自分たちの克己心に満足しながら眠りにつくことができました。

そして、朝こうやって無事に目覚めることさえできれば、

2日目の仕事ももう半分以上終わったも同然です。

今日は今日で打ち上げが行われるでしょう。

もう店も決まっています。

それを楽しみに監督業務を遂行してきたいと思います。

というわけで、今日はブログを書いているヒマがなさそうなので、

ミクシィから拾ってきた画像を紹介するだけにしたいと思います。

ちょっと小さくて見にくいかもしれませんが、謎の店の画像です。












思い出のポロシャツ

2012-01-14 06:11:43 | 人間文化論
facebook でK済K営学類のK沢先生の記事を読んでいて思い出しました。

3年前に卒業した福島大学人間発達文化学類の1期生たち、

そのなかの私がクラスアドバイザーをしていた文化探究専攻・地域生活文化クラスの学生たちは、

4年生のときにみんなでお揃いのポロシャツを作りました。

こんなやつ↓です。



どぎついショッキングピンクですが、なんかみんなでああでもないこうでもないと、

デザインについて相当議論しながら作っていました。

胸の 「C.S.B」 の文字はもちろん 「地域・生活・文化」 クラスの頭文字です。

背中側はこんな感じ↓。



なにかの影絵と、それとは何の関係もないある偉人の名言が刻まれています。

これではよく見えませんね。

もうちょっと寄ってみましょう。



「1クールのレギュラーより1回の伝説」。

これは知る人ぞ知る、江頭2:50さんのお言葉です。

これをやったら次回出られなくなるんじゃないかなんて考えずに、

その時もっているすべてを出し切る、という彼の芸人哲学が込められています。

地域生活文化クラス1期生の生き様をこの言葉に託したそうです。

そして問題はこの影絵のほうです。

これを見て何かすぐにわかったら相当なマニアですね。

ぜひ福島大学・人間発達文化学類・文化探究専攻・地域生活文化クラスにご入学ください。

答えは、K沢先生が紹介してくださっていたホームページでご覧いただきましょう (→ここ)。

うーん、このフィギュアはカッコいいんですが、影絵のほうはちょっと…。

クラスの誰かがチャチャッと描いたんだと思いますが、

口から出ているものが本当は6つでいいはずが、絵では8つになっています。

頭も大きすぎるような気がしますし。

ちなみに、私はてっきりVサインを出しているのかと思っていましたが、

フィギュアのほうを見て、そうではなかったことに3年ぶりに気づきました。

なぜこのデザインにしたのか聞いてみたところ、

日本史の教科書で写真を見てカッコよかったから、との答えが返ってきました。

うーん、そうだね、カッコいいね…。

地域生活文化クラス1期生たちとの思い出のポロシャツでした。



P.S.

私はこのポロシャツ着たことありません。

キーワードは…

2012-01-13 13:30:58 | 性愛の倫理学
私が使っているgooブログには、キーワードを勝手に抽出するという機能がついているようです。

たぶんgooブログのほうで登録しているワードがブログ記事のなかで使われると、

自動的にその記事の下にキーワードとして表示するというシステムなのでしょう。

だからキーワードなしという場合もよくあります。

今年書いたブログにはまだキーワードが表示されていませんので、

私がうまいことNGワードを使わずにすんでいるのか、

それともこのどうでもいい機能はあまり評判がよくなかったので、

今年からもうなくなってしまったのかはよくわかりません。

例えば、去年の一番最後に書いた 「『絆』 でしょうか、いいえ 『断』『捨』『離』」 という記事には、

「バーニャカウダ」、「メルトダウン」、「福島第一原発」、「日本漢字能力検定」 の4語が、

キーワードとして表示されていました。



さて、一昨日 「『星の王子さま』 翻訳問題」 という記事を書きましたが、

その内容との関連で、昨年の夏に書いた 「愛とは時間である」 という記事を引用しました。

「愛は相手のために割く時間に比例する」 というような内容の、

私にしては珍しく、真面目でかつ格調の高い文章です。

引用するために久しぶりにその記事を見てみたところ、

当時気づいていなかったんですが、この記事にもキーワードが1語だけ付されていました。

それが、なんであの文章のなかからわざわざそれを選ぶのかなあ、

というようなガッカリするような単語だったのです。

まあ、ぜひ皆さんもその記事をご覧になってみてください (「愛とは時間である」 を見る)。

私は、キーワード抽出機能廃止に一票を投じたいと思います。

「高校入試直前勉強会」 こども支援ボランティア募集

2012-01-12 17:38:00 | 教育のエチカ
福島大学人間発達文化学類では 「こども支援ボランティア 遊びと学び教室 〈未来のたね〉」
という取り組みを行っております。
学生たちが中心になって、仮設住宅にいる子どもたちに遊びと学びの場を提供しているそうです。
年も明けていよいよ受験シーズンが近づいてきましたが、
仮設住宅にいる子どもたちは、落ち着いて受験勉強をするスペースもなくて困っているようです。
そこで、2月12日2月19日の日曜日に、福島大学のM3教室を開放して、
高校受験を控えた中学生たちに勉強の場を提供するとともに、
大学生や大学教員が、彼らの学習の支援 (個別指導) をしてあげるという、
「高校入試直前勉強会」 が開催されることになりました。

佐原、笹谷、安達等々、県北各地の仮設住宅から大型バスで中学生を連れてきて、
朝の10時から夕方16時までみっちり受験勉強をしてもらい、
個別指導という形で学習支援もしようという大がかりな企画です。
ふだんから 「こども支援ボランティア」 に関わっている学生や教員もいるのですが、
いつものメンバーだけでは人手が足りないだろうということで、
この2日間に関しては拡大して人員を募集することになりました。
かくいう私もふだんは 「こども支援ボランティア」 に関与してはいないのですが、
その両日は、まだスケジュールが確定してはいないのですが、
たぶんひとり淋しく福島にいて、おそらく原稿締切にも追われていないだろうと思うので、
可能であればお手伝いしようかなと思っております。

しかしながら、中学生たちもこんなジィさんに教わるよりは、
歳の近いオニイさん、オネエさんに教わったほうが勉強効率が上がるでしょう。
というわけで、大学生ならびに大学院生のボランティアを募集いたしております。
どちらか一日だけの参加でもいいし、丸一日ずーっといられなくてもいいそうです。
学習支援だけですので、今までこども支援ボランティアに関わったことがなくとも、
例えば塾講師や家庭教師をやっているという人は気軽に参加できるでしょうし、
そうしたバイトをふだんやっていないけれども、教員志望だという人などには、
とてもいい機会だろうと思われます。
ぜひ参加してみてください。

今度の月曜日、1月16日の12:00から12:50まで
L1教室で学生説明会がありますので、関心のある方はご参集ください。
説明会には出られないけど、このボランティアやってみたいという人は、私までご連絡ください。
試験や卒論も終わってヒマをもてあましている2月の日曜日、
避難してきた子どもたちのためにちょっとだけ手を貸してみませんか。

『星の王子さま』 翻訳問題

2012-01-11 08:45:46 | お仕事のオキテ
昨年、「バラのための時間」 という記事を書きました。
そのなかで、「実を言うと私は 『星の王子さま』 を読んだことがない」 のだけれど、
それは自分が 「ファンタジーとは無縁の人間だった」 からなんでしょうと書いたところ、
コメント欄である方に、「ハリポタに涙して、ファンタジー嫌いを称するとは?という突っ込みはおいといて…
星の王子様、短い本ですし、一度読んでみたらいかがでしょう?」 と勧められました。
そりゃそうだなあと思い、早速入手しておいたのですが、
案の定なかなか読み進めることができず、この年末年始にやっと読み終えることができました。
やはり私にファンタジーは合わなかったのだなあと深く納得しましたが、
その点についてはまたの機会に書きたいと思います。

今日問題にしたいのは翻訳のことです。
上記ブログでは、ある方に教えていただいた、
王子さまとキツネの会話を取り上げました。
ほんの短い一節ですが、その部分をメールで送ってくださったのです。
それをもう一度引用しておきましょう。

(引用開始)

キツネは言いました。

「じゃ秘密を言うよ。簡単なことなんだ。ものは心で見る。肝心なことは目では見えない。」

「肝心なことは目では見えない」

と、王子様は、忘れないために繰り返しました。

「君がバラのために費やした時間の分だけ、バラは君にとって大事なんだ」

「ボクがバラのために費やした時間の分だけ、バラは…」

と、王子様は、忘れないために繰り返しました。

(引用終わり)

この部分が私の 「愛とは時間である」 という主張と似ているのではないかという話でした。
とても印象的なシーンですね。
ひじょうにスッキリした会話で、たいへん奥深いです。
ここのシーンを期待して私は 『星の王子さま』 を読み進めていたのです。
ところが、翻訳が全然違っていて、一瞬気づかないまま通り過ぎてしまうところでした。
私の読んだ訳書では当該箇所は次のように訳されていました。

(引用開始)

キツネがいいました。

「さっきの秘密をいおうかね。なに、なんでもないことだよ。

 心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。

 かんじんなことは、目に見えないんだよ」

「かんじんなことは、目には見えない」 と、

王子さまは、忘れないようにくりかえしました。

「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思ってるのはね、

 そのバラの花のために、ひまつぶししたからだよ」

「ぼくが、ぼくのバラの花を、とてもたいせつに思ってるのは…」

と、王子さまは、忘れないようにいいました。

(引用終わり)

あまりにも違いすぎませんか?
特にキツネのあのセリフ。
「ひまつぶし」 って…。
しかも、限定なのか理由なのか、文全体の論理構造が全然違っているし…。
原文のフランス語や英語がどう書かれているのか知りませんが、
日本語だけで読むかぎり、最初の引用のほうがはるかにわかりやすいですよね。
うーん、翻訳おそるべしっ。

私が買ったのは岩波書店のオリジナル版 『星の王子さま』 という本です。
調べてみると、もともと岩波書店がこの本の翻訳権をもっていて、
私の読んだ内藤濯訳が日本人にとってのルーツの 『星の王子さま』 だったみたいです。
その翻訳出版権が2005年に切れて、その後新訳がザクザク出されたのだそうです。
その数がハンパじゃなくて、今ではこんなにたくさんの 『星の王子さま』 があるみたいです。
いろいろな訳があるということを知っていたとしても、私は意外と権威に弱いところがあるので、
オリジナルの岩波書店版を買ってしまっていたかもしれませんが、
これから買うつもりの方にはぜひ、
XXI 章の最後の部分を読み比べてみてから買うことをお薦めいたします。