「倫理学概説」 の学生アンケート結果はすでにご報告しました。
ところが、新しい学生アンケートの様式には教員からの自由質問の欄があったのですが、
最後の授業のドタバタのなかでその欄のための質問をするのを忘れてしまいました。
ただまあ最後の授業のときにはワークシートも書いてもらい、
その最後で次のような質問もしてありましたので、それでよしとしましょう。
「『倫理学概説』 全体を振り返って、どんな学びがあったか、自分にどのような力がついたと思うか、
その他この授業や担当教員に対する感想や意見を自由に書いてください。」
この問いに対してみんなけっこうたくさん書いてくれていました。
1年生が多かったからなのか、少し余裕をもって時間を取ることができたからなのか、
たぶん例年にない熱いメッセージをいただくことができました。
受講生の皆さん、本当にありがとうございました。
文中
「ワールドカフェ」 とか
「フレーリーゲーム」 という単語が出てきますが、
それはリンク先をご参照ください。
今年は 「ワールドカフェ」 は2コマ使ってやりました。
最後は私がマインドマップにまとめる形で各班の発表を板書しました。
こんな感じです。
ちょっとこの日は私の調子が悪くて、せっかくのみんなの発表をうまくまとめられませんでしたが、
こうした試みや、その他私の授業全般からいろいろと学んでもらえたようです。
そして、私が重視している力 (=コンピテンシー) に関しても、
たった半年で身に付いたとは言えないかもしれませんが、ある程度伸ばしてもらえたようです。
似たようなことが書いてある場合もあるのですが、
なんだか取捨選択できなかったので、相当たくさんご紹介させていただきます。
●今まで、自由や幸福についてはっきりとした考えを持っていなかったし、考えたこともなかった。この授業でそれらのことを深く考えるようになり、具体性を帯びた考えが生まれていった。自分の考えを他の人たちと意見交換をすることで、自分の考えを人に伝える力というものが少しだけついたと思うが、それは難しいことで、まだまだ足りないと思った。先生の授業は板書が多かったが、書いていて嫌にならないようなおもしろくて、丁寧な説明があった。
●ただ単に先生の話を聞いて、板書したのをノートにとって、という授業ではなく自分自身の意見を考え、それをまとめ、発表までしなければならなかったので、とても大変でしたし、難しく感じましたが、これから先も発表の機会がありますので、今回のことを生かせるといいと思いました。
●グループワークが (他の授業と比較して) 多くて、うまくいかずにツラいなぁと感じることも多かったです。しかし、さまざまな学年・専攻の人たちと考えを深めようと努力できたことは良かったです。テスト…不安ですが、頑張りたいと思います。
●全体的にいろいろな思想・考え方を学んできたが、それを鵜呑みにして捉えるのではなく、自分の考え・意見を持つことをこの授業の中で大いに学んだ。自分が成長できたのか、よく分からない部分もある。しかし、グループの中で自分の意見を持ったり、相手を納得させるためにはどうしたらよいのかなど、考える力が付いたように思える。
●私たちが当たり前のように受け入れてしまっている社会に何らかの疑念を抱き、自らの求めるもの (自由や幸福) を実現するためにどう考えていけば良いのかの指標が得られたと思う。他の授業ではあまり経験できない体験 (ワールドカフェなど) を通して単に意見を言うだけではなく論拠を考える実践ができ、大変興味深い授業であったと考える。
●言われたことをただ信じるのではなく自分なりの考えを持ったり、批判的に見たりする力がついたと思う。またディスカッションやワールドカフェなどを通して相手の考えを整理する力もついたと思う。また自由とは何か?幸福とは何か?などの答えのない問題を自分なりに考えるのが面白いと思った。
●グループで知らない人と話す、という授業はとても為になるものだった。自分から積極的に話を持ち出す力であったり、人の意見を聞く力、それを理解する力、それに対して意見する力が私はこの授業で少しは身に付いたように思う。
●ものごとを言葉の意味から考えていく力、問題について答えだけでなく、その問題自体について考えていく力、発表やディスカッションをやる上でコミュニケーション能力をつけることができたと思う。
●講義型授業が主の中にフレーリーゲームやワールドカフェのようなグループワークが設けられているのが良いと思った。今、うまくいかなくても少しずつ自分の考えを述べられるようにならなくてはならないと思いしれされた。
●この授業では、話し合いの場が多くあり、初めは自分の意見を言ったり、相手に反論したりすることには躊躇しましたが、最後の授業では、あまり気にせずにそれらができたので、自分にそのような力が付いたと自信が持てました。人権、自由、幸福について考えるうちに、今まで疑問を持つこともなかった社会情勢、システムについても色々考えるようになりました。本当にいい機会になりました。ありがとうございました。
●最初は具体性が掴めない題材ばかりでとても大変だったが、結果として自分でも驚くほど考えが深まったように感じる。対人関係もあまり上手く出来なかったので、授業での話し合いを通して分かり易く自分の考えを伝えるのは難しかったが、とても良い内容にまとめることができたりして、楽しく学ぶことができたと思う。
●自分の考えをまとめることがうまくなったことと、さらに別の人の意見が話し合いを通して、より深く考えることができた。知識として、ただ留めておくのではなく、学んだことを生して、話し合いの幅を広げることができた。この授業で学んだことを別の授業でも生かしていきたい。
●ただ教えてもらうのではなく、皆で話し合い考えを深めていった。これこそが、真の 「学び」 なのだなと感じた。大学ではこの 「学び」 の力が必要だと感じ、その初めての 「学び」 が、しっかり話し合いができた 「倫理学概説」 で良かったと思う。正直まだ自由と幸福について自分の中でまとまっていないが、あと一週間で自分が納得できるようにまとめたいと思う。
●自分はこの授業を受けてから、ニュースやSNSの書き込み等を色々な事を考えて見るようになりました。また、海外の政治システムや国内の政治システムとを比べて、自由とか制限とか、これはどうなんだろうなど時に懐疑的に見ることが非常によく出来るようになったというのが少しずつですが、自分の中に感じられるようになってきました。この授業を活かして、これからも日常的にそういうことを少しずつでも考えながら生活していきたいと思いました。後はテストで失敗しないようにしたいと思います。面白い授業ありがとうございました。次に先生の授業が取れたら取りたいと思います。
●自分なりの考えは色々持っていて、新しい考え方を大学に入り身に付けてきたが、いざそれを制度・システムにするためにどのように生かすべきか考えたことがなかった。今でも、どうやったらいいとか明確なものはないが、自分が考えたことをどう生かすか考える時間をつくれたことは自分にとって、すごくプラスになっていくと感じた。身に付けるだけでは受け身で、生かそうとすると自分が動かなければいけない。自分から考えていけたのはとても良かった。ありがとうございました。
●話し合いをする機会が何回かありましたが、その中で自分から参加しようとすることが大切だと学びました。みんなそういう気持ちを持っていないと会話も続かないし、話し合いの意味もないと思いました。倫理学はとても奥が深い学問なので、半年の授業で理解するのは難しいと思います。しかし、他の学問とも関連するところがあるので合せて学びを深められたらなと思いました。質問は授業のはじめなどに口頭で答えていただいた方が良いと思いました。
●一つの単語 (「幸福」など) をラテン語などの元の言葉から説明していく手法は非常に効果的だと感じた。これを基に、自分でも倫理学について学びを深めつつ、自分がいざ教壇に立った際に参考にしたい。自身のブログを講義と連動するのは、とても新鮮で、復習しやすかった。ブックマークに入れているので定期的に覗いてみたい。
●学習内容の単語等は知っていたが、その概念やどのような流れで生み出され、変化してきたのかといったことについて知識・認識が浅いということを実感した。また、学習する上で、私は 「問いを問い直す」 という姿勢が足りないなと自分で思ってはいたのですが、なかなか直せていないので、この授業で学んだのをきっかけにこれから意識していきたいと思いました。普段の生活の内で倫理的な考え方をもって物事をとらえる力や、ワールドカフェで自分の考えをもつ力、他者の意見を理解しようとする力、話し合いの中で必要とされる力も身に付いたと感じる。
●「倫理」 とは、人間集団の中の決まりやルールであるが、その目的は人々の自由と幸福を実現するためのものであると自分なりに解釈しました。また、異なる意見を持つ人を尊重し、共存するための努力の大切さを学びました。今回の授業では、グループディスカッション、フレーリーゲーム、ワールドカフェといった学生同士の意見交換の場が多く楽しく参加させていただきました。公開授業として小野原先生の授業は三回受講させていただきましたが、用語の解説等も丁寧で大変理解しやすく有意義なものでした。また、紹介された図書や映画なども、出来る限り見るようにして、「倫理」 に関する興味を深めることができたことも大きな収穫でした。
●この授業を振り返って、私が一番成長したなと思うことは、様々な角度から物事を見るということである。ある意見をうのみにせず、批判的な視点をもって物事を見る力が付いたように思う。また、自分の意見を相手に伝える場面が多く、コミュニケーション能力も以前よりついたと思う。倫理学の授業は、いつも私に新しい発見をくれるので今回楽しんでうけることができた。ありがとうございました。
●やはり授業を受ける以前にも増して、誰もが幸せになる社会なんて理想でしかないという考えにはなってしまった。ただ結局この考えになったのも、ワークショップやワールドカフェをやったからであり、決して無駄ではないと思う。ギリシアのソクラテスあたりから始まった人々の自由や幸せというのはまだまだ2500年くらいしかないと私は思っている。だからこうして地球の人全員で、人々の幸せについて一生懸命にこれからも考えていけば、より良い世界に少しでもなっていけるとは信じている。この授業の努力だって決して無駄じゃない。
●「倫理学」 というと、高校の倫理のような、人物とその思想について学ぶものだと思っていたが、自分たちで考えていく、という内容が多かったので、予想をはるかに超えた密度のものでした。改めて、高校までの 「学習」 と大学の 「学問」 の違いが体感できました。自由と幸福については、問い続けなければならないテーマだと思うので、大学を出てからも、たまには考えてみようかなと思えました。
●普段何気なく、身近にある考えを考えるきっかけになりました。物事は全て当たり前ではなくて、様々な考えの上に成り立っているのだと考え直しました。そのおかげで、様々な角度から視点を変えて見るという力を付けられたように思います。先生の授業は、自分が教員になったときの授業を考える上でとてもためになりました。
●自由・幸福などの抽象的な事柄について考えを深めていくのは非常に難しいことであった。ただ、ドラマやドキュメンタリーを見た際、倫理について考えることが増えた。毎回、難しかったが考えさせられる講義であった。
●倫理学概説では、私たちが日々当たり前だと思っている考え方や事柄について深く考えるということが多くありました。よって、この授業では自分の思考力や関連付けて考える力を伸ばすことができたと思います。また、ワークショップなどを通して、相手の考えと自分の考えを比較し、生かしていくこともできるようになりました。この授業はワークショップなどの話し合う形式のものが多く、とても楽しかったです。普段話す機会のない人と深く話し合いができる授業はなかなかなかったので1年生の内に受講して本当に良かったです。
●人に自分の意見を言えるようになるプログラムが設定されており、少しずつ力を付けられた。考えたことのないようなことを学び、考えたことは大きな力となった。今後は相手を納得させられる力を身に付け、自分の意見に説得力を持たせられるようになりたい。
●みんなで難しいことを考える、答えなどないものを考えるという機会がなかなかないので、自分の考えの幅が広がり良かった。そして、大きく気付いたのは、自分は自由・幸福を何か分からず受け取っていたという恥ずかしさ。未だ、理解の域には至ってないが、これから社会に出たり、投票する上でとても大きなきっかけとなった。
●幸福の定義や今回の社会システムについてなど、自分なりの意見を考える作業や、昔の社会システムの欠点を見つけて批判する作業などがあったおかげで、ただ聞くだけではなく、その内容について深く考えるというステップを踏みながら学習することができた。
●物事を深く捉える方法を学び、特に自由や幸福、社会システムについては、本当に奥深くまで考えることができるようになった。また、倫理学概説なので倫理学の全ては捉えきれてないが、初歩としてはとても参考になり、もっと社会について、倫理について学びたいと思うようになることができた。
●時々行われるグループワークが、人見知りの私には少し辛かったです。ですがその分、前より落ち着いて発言できる様になった気がしました。貴重な危険だったと感じます。話を聞くだけでなく、意見の交換ができる授業だったので、様々な考えに触れることができて興味深かったです。教職関係の授業で聞いた 「学び合い」 「他者との対話・共有」 というフレーズを思い出しました。幸福や自由について真剣に考える機会は少ないと思うので、貴重な体験ができましたと感じました。幸福や自由についての視点が広がりました。
●視野が広がったように感じている。先哲の考えを知ることで、一つの言葉や現象がいかに多様に解釈されているか知ることができた。一つの考えに縛られないことを心がけるようになったと思われる。具体的には、幸福とは何なのかについて、これだけ真剣に悩んだのは人生で初めてだった。簡単に答えは出ないが、悩みがいのある課題であり、これからも悩んでいきたい。
●社会的弱者を意識して生活するようになりました。また、自分も転落する可能性はゼロではないとリアリティをもって日々何かしら選択していくことも大切だろうと思います。
●自由とは何か、幸福とは何かについて常に漠然とは考えており、先生と意見が合ったときは非常にうれしかった。しかし、本当に漠然としか考えていなかったため、詳しく解説されたり、他分野との関連についての話をされるとうなずけるものばかりで、自分の考え方の未熟さを思い知ったが、その分の考え方にはかなり変化が出て、様々な面から物事が見れるようになったと思う。そして、非常に良い講義で毎回毎回楽しみであったことが一番大きい。
●社会や倫理について考えを広げることができた。高校までの暗記とは違い、自分がどう考えるかをディスカッションできたのが良かったと思う。また、他学年や他学類の方の意見が大変深く、勉強になった。この授業は他と比べて 「大学の授業」 という印象が強かったです。また、先生のブログをよく拝読しており、そちらも勉強になりました。ありがとうございました。
●こういうものがあるっていうことを教えてもらうだけではなく、自分たちでより良い社会にするにはどうするべきか考えるということは高校までとは全く違っていたのでそういう力は少しついたと思います。でもそのためには、今あるものをきちんと理解していることが前提だと思うので、知識は大切だと思いました。
●予想とは違う内容の講義が多く、普段考えないような、自分にとってはとても難しいことを考えるようになった。自分の考えはしっかりあることに気づき、少しは認められているという自信もついたので、あとは知識を増やして、他者に納得してもらえるような説明をできるようにならなくてはいけないと気づいた。
●毎回正解の無いテーマを扱うので、自問自答しながら、考えながら講義を受けることができた。眠くはならないのだが、自分の価値観を見直す、問い直すような場面もあり、よく分からない疲労感を感じることもあった。しかし、このような “考え疲れ” を重ねることで、なんとなく頭の回転が早くなったような気もした。考えさせるような授業は、テーマの設定や教師の態度など、様々な要素がそろわないと実施は難しいが、私も教師を目指す者としてこのような授業のあり方を考えていきたいと思う。
●自分の考え方の方向性が広まったと思う。“自由” や “幸福” の定義についても講義を受ける前よりも具体的に考えることができるようになったし、様々な見方からアプローチできるようになったと思う。自分とは違う考え方が自分によい影響を与えるのだな、と理解できた。この講義を通して学んだことや、考え方が今後の生活においての政治面、倫理面における事象や出来事について、自分の立場や意見を明確にする手助けとなると思う。自分にとってとても有意義な講義でした。
●倫理学概説を通して、自分の社会に対する意識の低さが分かり、価値観が変わったと思う。社会を変えていくためには一人ひとりが全体のことを考えることが大切なのだと感じた。また、グループワークや、ワールドカフェを通して、コミュニケーション能力や思考力も深まったと思う。授業は全体的にとても楽しかったです。ありがとうございました。
●「倫理」 といった概念について論理的に説明を受ける、自分で考える、誰かと話すことが初めてだったので、まず自分がどういった意見をもっているのかについて考える機会が増えました。全く知らない人とグループワークすることで、どうしたら話しやすくなるのかも学びました。普段の講義ではない経験ができましたが、今期の講義での経験は 「気づき」 だと感じているので、今後またこういった機会があったときに今回より力を発揮できるよう、意識していきたいと思います。
●自由や幸福について追及していくというのはとても面白かった。自由には様々な分類があり、又幸福にもどのような幸福なのか誰の幸福なのかといったものがあり、普通に暮らしていれば絶対に考えなかったり、思いつかないことも出てきたので、とても充実していた。高校の倫理とは全く違う、自分で考えて自分なりの自由・幸福感をもつということができたのでとてもよかった。また、フレーリーゲームやワールドカフェなどの相手の意見を聞き、自分の意見を伝えるという機会があったのでよい経験になった。
●論理的思考や言及などがうまくやれるようになってきたのではないかと思う。また、文章にすることで自分の考えをまとめることができた。ブログを教材の一部にするのもとても面白いと思う。ブログ自体もとても面白いと思う。
みんな、こちらの思惑以上にいろいろ学び取っていただいたようで、本当にありがとうございました。
これからも考え続けていかなくてはいけない、さらに自分の力を伸ばしていかなくてはいけない、
そう感じ取ってもらえたとしたら教員冥利に尽きると言えるでしょう。
さて、それでは皆さんの半年間の努力の成果をじっくり評価させていただくことにいたしましょう。
今年は受講者が多かったから大変だけど、これから採点の祭典だあっ