万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

共産主義の悲劇は三度訪れる

2007年07月25日 18時24分14秒 | 国際政治
 共産主義国家の成立には、革命という暴力行為が伴うものです。しかも、暴力による政治的権力の奪取のみならず、共産主義により私的所有制度が否定されたため、個人財産の接収、さらには所有者そのものの抹殺をも伴う大惨事となりました。これが、共産主義の最初の悲劇です。

 しかしながら、共産主義の悲劇は一度では済まされませんでした。共産主義体制下においては、人々はあらゆる”自由”を奪われ、国家の隷属のもとに置かれることになりました。この抑圧が、体制下における第二の悲劇です。

 そうして、第三の悲劇は、共産主義が崩壊する時に起こりました。共産主義体制にあっては所有権は存在していなかったのですから、市場経済化の過程において多くの混乱が発生し、これを獲得できるのは、大凡、一部の特権的な元共産党員か怪しげな人々ということになったのです。これもまた、国民にとりましては、大いなる悲劇と言えましょう。

 共産主義の悲劇は、三度訪れるのです。ロシア、そうして将来の中国は、この悲劇をどのように乗り越えるのでしょうか。

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