万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

商品市場投機のブーメラン

2007年07月11日 17時04分19秒 | 国際経済
 近年に至って、バイオ燃料の普及による価格上昇が見込まれる穀物市場や、急速な経済成長を続けるBRICS諸国での需要増加を見越したエネルギー・資源市場などを対象に、投機的な資金が流入しているとの報道がなされています。これらの膨大な資金の流入はさらなる相場の上昇を招き、あたかもバブルのごとき様相さえ呈しています。

 短期的な取引で利ザヤを得るという意味において、確かに、投機的行為には合理性があるのかもしれません。しかしながら、長期的な市場の成長を考慮しますと、必ずしも利益に繋がらない可能性があるのです。何故ならば、原材料価格の高騰は製造業を直撃し、結果として市場全体の活動を低下させてしまうからです。景気の低迷は、当然に金融の分野にも及びますので、投機的な行動がブーメランの如く、自分自身の減益に跳ね返ってくるかもしれません。

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