
菅官房長官は、平成27年2015年3月23日(月)午後の記者会見で、
安倍晋三首相(自民党総裁)が
「4月26日から5月3日まで、米国のボストン、ワシントンD.C.、サンフランシスコ及びロサンゼルスの各都市を訪問する予定であります。このうち、4月27日から30日まで滞在予定のワシントンD.C.では、日米首脳会談を始めとする公式行事に出席をする予定であります」
と発表しました。
首相外遊の日程が1か月以上前に発表されるのは極めて異例。
発表後に、安倍首相は、自民党の高村正彦副総裁と公明党の北側一雄副代表から、地球の裏側までアメリカの戦争につきあい、弾薬と自衛官の命を際限なくつぎ込む戦争立法の中間とりまとめを受け取り、法文化作業に入るとしました。
高村副総裁はおなじ4月26日(日)から訪米する予定。
首相はワシントンで、米国議会上下両院合同会議でスピーチする方向で調整中。オバマさんですら年に1度しかはい晴れ舞台。これに先立つ、首脳会談で、安倍首相が前回1997年に高村外務政務次官らがかかわった「日米防衛協力のための指針(いわゆる日米ガイドライン)」の再改定について事実上決着させる(正式な署名は、日米の外相・防衛相の4名)とみられます。
その後の連邦議会議事堂(キャピタル・ヒル)でのスピーチでは、集団的自衛権に加えて、米議会与野党とも慎重派が多いTPPに関して前向きな姿勢と大統領へのTPA付与のお願いなどをする可能性が高まっています。
戦争立法の「新武力行使の3要件」について、23日の参議院予算委員会で横畠内閣法制局長官は「実際に他国に対する武力攻撃が発生した場合に事例に即して判断する」と答弁。この後、中谷防衛相が民主党の大野元裕さんから「急迫不正の侵害事実があった場合に、武力行使しない場合があるのか」と問われ、「それはない」と答弁。2月18日の総理の参議院本会議での「集団的自衛権は権利であって義務ではない」との答弁と不一致だとして、政府統一見解の提出を求めました。
実際問題、アメリカから集団的自衛権の発動を要請され、日本の旗を見せろ(ショウ・ザ・フラッグ)と言われて、日本が断ることは不可能です。
安倍首相は、米国議会でのスピーチ草稿を事前に国会に示すべきでしょう。
憲法63条、国会法70条は、衆議院先例487は「国務大臣が重要事件に関して報告しまたは演説する」とあります。この先例の一つとして、第156回国会の平成15年2003年3月20日に、小泉内閣総理大臣は、イラクに対する武力行使後の事態への対応について報告した、とあります。
この日はイラク戦争開戦日ですから、「事前報告」と言うこともできるでしょう。
この日の議事録では、総理報告後に、自民党から高村正彦さんが質問に立っています。 次に民主党幹事長だった岡田克也さんが質問し、この中で「今日の国際社会において、大量破壊兵器の保有の有無は、うやむやに放置しておけるような問題ではないのです」と述べ、大量破壊兵器がイラクに無い可能性を指摘していました。歴史的に極めて重要な指摘でした。
このように、安倍総理は事前に日本国会で報告し、岡田さんに質問してもらった方がいいでしょう。
[国会会議録データベースから抜粋引用はじめ]
第156回国会 本会議 第16号
平成十五年三月二十日(木曜日)
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
――――◇―――――
内閣総理大臣の発言(イラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告)
○議長(綿貫民輔君) 内閣総理大臣から、イラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) イラク問題についての政府の基本的な考え方を明らかにし、皆様の御理解と御協力を得たいと思います。(拍手)
(略)
○岡田克也君 民主党の岡田克也です。
本日昼に始まった米国などによるイラク攻撃に関し、我々の見解を述べつつ、小泉総理に質問します。(拍手)
とうとう戦争が始まりました。(略)
今日の国際社会において、大量破壊兵器の保有の有無は、うやむやに放置しておけるような問題ではないのです。
(後略)
[抜粋引用おわり]
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